第25話 上弦の鬼
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この小説の夢小説設定鬼滅の刃のIFストーリー(もちろん二次創作)
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左の筋から斬り込み、頸を切断するため力を入れる
霧香。
しかし猗窩座が左拳を霧香の顔にくらわせようとする。
ギチッ!
〈止めたッ!?何だ、この女は!刀を振るう力も、腕を掴む力も、急所を貫かれているのに・・・一体どこから出てくるんだ!?〉
「お前はここで倒れるんだっ・・・絶対に逃がさない!!」
「ぐっ!」
刃がもう半分、頸の肉を斬っている。
そしてこの少女は決して自分の頸を刎ねるまで離しはしないだろう。
「!」
そこへもっと最悪なものが見えた、東の空が明るくなり始めている。
夜明けが近い、朝日が来る、しかも猗窩座のいる位置は陽の光が確実に当たる。
〈くそっ!早くコイツを殺して逃げなければ!!〉
貫いていた腕を引き抜こうとするが腕が抜けない。
「!?」
「『逃がさない』と言ったでしょう・・・」
「お前っ、何を!?」
「『波流門呪術・『血縛り(ちしばり)』」
霧香の血が鎖の模様の呪印を猗窩座の腕に描く。
「お前の腕は・・・もう抜けないっ!」
そして再びグッと力を込める、頸を斬り落とすために!
「ああああああっ!!!!」
「このっ―――!退けええェェ!!」
「霧香!」
「伊之助!動くんだ!霧香さんのために動け―――っ!!!」
「おう!」
炭治郎と伊之助が猗窩座に突撃する。
「獣の呼吸・壱の牙!『穿ち抜き・・・っ』」
伊之助が技を出そうとした時、猗窩座の姿が消えた。
「「「!」」」
猗窩座はこの場の最後の力で霧香の日輪刀を歯でへし折り、両腕を自分で引き千切り、上空に飛び退いた。
〈早く陽光の陰になるところへ行かなければっ・・・!〉
猗窩座の頭にはもうそれしかなかった、死にたくないとただそれだけだった。
森の中に身を隠し、できるだけ太陽から離れる。その頃には日輪刀が食い込んでいた傷も自分で引き千切った傷も完治していた。
「梃子摺った!しかし杏寿郎は深手、あの女ももうじき死ぬだろう!」
自分の役目は果たしたと思った矢先、自分の体を日輪刀が貫いた。
「つっ・・・!?」
「逃げるな、卑怯者!!」
振り返れば炭治郎が叫んでいる。
〈何を言っているんだ、あのガキは?脳味噌が頭に詰まってないのか?
俺は鬼殺隊(お前ら)から逃げてるんじゃない、太陽から逃げてるんだ!〉
「いつだって鬼殺隊はお前らに有利な夜の闇の中で戦っているんだ!!生身の人間がだ!!
傷だって簡単には塞がらない!!失った手足が戻ることもない!!
逃げるな、馬鹿野郎!!馬鹿野郎!!卑怯者!!
お前なんかより煉獄さんと霧香さんの方がずっと凄いんだ!強いんだ!
二人は負けてない!誰も死なせなかった!戦い抜いて守ったんだ!!お前の負けだ!!煉獄さんと霧香さんの勝ちだ!!」
最後は嗚咽交じりに叫んでいる炭治郎。
「・・・・・炭治郎」
「!」
「もういいんだよ・・・あなたも軽傷じゃないんだから・・・そんなに叫んだら、せっかく止血した傷が開いてしまう・・・」
「・・・・っ」
炭治郎は霧香の所に駆け寄る。
「よく頑張ったね、えらいかったよ・・・」
「霧香さんっ・・・動かさないでくださいっ・・・出血が・・・」
霧香は腹部に触れようとした炭治郎の手を掴む。
「もうすぐ、私は倒れる・・・その前に炭治郎にお願いがあるの」
「お願い・・・?」
「うん・・・すぐに天樹門・香炉家へ鎹鴉を飛ばして来てもらって・・・あの一族は医療に長けているから多くの人を助けられる・・・」
「その一族なら霧香さんも救えますかっ!?」
「わからない・・・私ほどの重症なら、到着を待つことができないかもしれない・・・」
「そんなっ・・・」
「・・・・でも、炭治郎たちや・・・煉獄さんは助けられる・・・」
霧香は伊之助に付き添われている杏寿郎を見る。
「みんなを助けてほしい・・・お願いね・・・」
霧香の目からは涙が流れていた。
「霧香さんっ・・・」
「それから、もう一つ・・・響凱に『ごめんなさい』と・・・今後はあなたの自由にーー・・・」
言い終わる前に霧香の意識は無くなった。
続く