第25話 上弦の鬼
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この小説の夢小説設定鬼滅の刃のIFストーリー(もちろん二次創作)
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「肆の型――『盛炎のうねり』!」
虚空の砲撃を炎の壁が防ぐ。
〈虚空の拳で撃つと攻撃がこちらまで来る、一瞬にも満たない速度〉
間違いない、遠隔距離での攻撃でできたこちらの隙を突いて仕留める気だ。
「雪の呼吸・弐の型――『霙(みぞれ)』」
「!」
距離を取って戦われるのは少し分が悪いと思い、距離を詰めようとした杏寿郎だが、氷の突きが猗窩座に撃ち込まれる。
「ハハハハ!いいぞ、霧香!柱にも劣らぬその反応速度!」
「参の型――『八星模様(はちせいもよう)』!」
猗窩座の連続的な拳の突きを横、斜め、縦と受け流していく霧香。
一旦猗窩座の両腕を切断して腹を蹴り飛ばす、そして横、左右斜め、縦と連続して刀を振り切る。
ビシッ!
猗窩座の体に八角の線が刻まれる。
〈くっ・・・踏み込みが一歩浅かったっ〉
「ハハハッ!!この剣技も素晴らしい!失われていくのが悲しいぞ!
杏寿郎、そうは思わないか?彼女のこの力も!お前のその力も!老いるごとに衰えていくのだ!!」
「誰もがそうだ!人間なら!!当然のことだ!!」
刀を握り直す杏寿郎。
「煉獄さんっ・・・」
炭治郎が動こうとするが杏寿郎が止める。
「動くな!傷が開いたら致命傷になるぞ!!待機命令だ!!」
「(ビクッ!)」
杏寿郎の気迫に体が動かなくなる炭治郎。
「弱者に構うな、やはりそいつは殺しておいた方が良さそうだな」
フッと消えた猗窩座。
「陸の型――『なだれ』!」
炭治郎を殴りつけようとした猗窩座の頭上から刀を振り下ろす霧香。
「私の弟に・・・手を出すな!!」
炭治郎の目の前にあの背中が見える、自分を背負ってくれた温かい背中。
自分はまたあの背中に守られている。
「炭治郎は殺させない」
刀を鞘に収めて抜刀術の構えを取る。
「行くぞ、猗窩座!」
「来い!見せてみろ、お前の・・・いや!」
振り向くと杏寿郎が猗窩座の背後にいる。
「お前らの全力を!」
「雪の呼吸・伍の型――『抜刀・雪ばしり』!」
「炎の呼吸・伍の型――『炎虎(えんこ)』!」
霧香の技は吹雪の鶴を形取り、杏寿郎の技は炎の虎を形取り、猗窩座に向かっていく。
鶴が鳴き、猗窩座の体を雪の結晶が傷つける、虎は吠え、猗窩座を飲み込もうとする。
「!」
「・・・・」
炭治郎は動けなかった、そして炭治郎の異変に気付いて駆けつけた伊之助もまた動くことはできなかった。
二人と上弦の鬼の戦いはとても自分たちが入り込めるようなものではなかった。
何度体を傷つけ、拳を切り落とそうとも鬼は回復する。
そして杏寿郎は額を裂かれ、右の肋骨に負傷を負う。
霧香は顔に傷が入り、左腕の骨が砕ける。
「杏寿郎、霧香、生身を削る思いで戦ったとしてもすべて無駄なんだよ・・・。
見てみろ、お前たちが俺に食らわせたこの素晴らしい斬撃もすぐに完治してしまう。
だが、お前たちはどうだ?潰れた左目、顔の傷、砕けた骨、傷ついた内臓・・・もう取り返しがつかない。
鬼になれば瞬きする間に治るんだ、そんなもの鬼なればかすり傷だ。
どう足掻いても『人間』では『鬼』に勝てないんだ」
「ハア・・ハア・・・」
確かに鬼からしてみれば自分たちのこの負傷は酷い有様だろう、だが杏寿郎にはそんなことは関係ない。
何故なら――・・・
『杏寿郎』
『はい、母上』
『よく考えるのです、母が今から聞くことを・・・何故自分が人よりも強く生まれたのか』
『・・・・・』
『わかりますか?』
『うっ・・・わかりません!』
『弱き人を守るためですよ。
生まれついて人よりも多くの才に恵まれた者は、その力を世のため人のために使わねばなりません。
天から賜りし力で人を傷つけ、私腹を肥やすことは許されません』
それは母が生前に病の床にいながらも自分に問うたことだった。
『弱き人を助けることは強く生まれた者への責務です、責任を持って果たさなければならない使命なのです。
決して忘れることのなきように・・・いいですね?』
『はい!母上!』
まだ幼かった自分には母の言っていることが半分も理解できなかった。
それでも母は自分を信じ、強く抱き締めてくれた。