第23話 悪夢
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この小説の夢小説設定鬼滅の刃のIFストーリー(もちろん二次創作)
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それほど自分が夢に入り込んだこの女性は温かい人なんだろう。
この鬼の数だ、この女性の知らない先祖の鬼もいることだろう。
そんなに長い間、慕われる心を持った一族の女性の心を自分は壊せるのだろうか?
自分の一時的な感情であの鬼に喰らわせたら自分は一生悔やむのではないか・・・。
『迷うなら、この子に聞いてみると良い』
女は少女の肩を包んだ。
『お前はまだ戻れる、目覚めたら私の愛しい子に話をすると良い』
女の顔が霧香に似ていると少女が思った。
――――――――――――――――
「手こずってるな、どうしたのかな・・・まだ誰の核も破壊できてないじゃないか」
先頭車両で待っている魘夢、ウズウズしてきている。
「まあ、時間稼ぎができているならそれでいいけれど・・・」
魘夢が待ちくたびれていた最中、炭治郎は目を覚ました。
夢の中で禰豆子の血鬼術により自分の置かれた状況を思い出し、ある手段を使って戻って来た。
目覚めたものの自分以外はまだ術にかけられたままだ。
そこで炭治郎は禰豆子に全員の縄を焼き切るように頼む。
この判断は日輪刀で縄を切るか迷ったが故のものだ、その結果、正しいものだった。
日輪刀で縄を切っていた場合、夢の主ではない者、つまり魘夢の言いなりになっていた男女五人の意識は戻らなかった。
その危険性をそもそも魘夢が説明などしていなかった、人間は使い捨てのものであり、己の食料でしかない。
「善逸!伊之助!起きろ!起きるんだ!!」
二人を揺さぶる炭治郎、気づかせてくれた禰豆子にも礼を言う。
その時、杏寿郎の夢に入り込んでいた少女が炭治郎に刃物を向ける。
「邪魔しないでよ!あんたたちが来たせいで夢を見せてもらえないじゃない!!」
「夢?つっ!?」
気づけば周囲には善逸や伊之助の夢に入っていた男女も立ち上がって向かってくる。
「さっさとコイツを始末するのよ!じゃないと幸せな夢を見せてもらえない!!」
「もう止めて!!」
仕切っている少女の手を別の少女が抑える、それは霧香の夢に入っていた少女だ。
「もう止めよう・・・」
「な、何言ってんのよ!裏切る気!?
あんたもあの人に幸せな夢を見せてもらうんでしょ?邪魔されたらそれもできないのよ!?」
「自分のために他の人を犠牲にしたって『幸せな夢』なんて見れるわけないじゃないっ!!」
「そうだ・・・『幸せ』なんてこない」
すると別の席に座っていた青年が立ち上がる。
この青年は結核を患っていた、不治の病に苦しみ、逃れるためならば人を傷つけてもいいと思っていた。
そして魘夢に協力し、炭治郎の夢の中に入り、心に触れた。
炭治郎の心の中はどこまでも続く青空が広がっていた、そして何より『温かい』。
そこに小人がいた、光る小人・・・これは炭治郎の優しさの化身だ。
この小人たちにより炭治郎の精神の核を見つけた、しかし核を目の前にした瞬間、青年は泣いた。
温かい・・・ずっとここに居たい・・・。
苦しみは感じない、ただただその温かさに触れていたかった。
でも炭治郎が目覚めたことにより青年は現実へと呼び戻された、そんな青年に光る小人が一人ついてきた。
小人は青年の心に宿り、暗く沈んでいた心を明るく照らした。
青年は自分の間違いに気づいたのだ。
「ごめん、俺は戦いに行かなきゃならないから」
そう言うと炭治郎は制止した二人をの除いた三人を昏倒させた。
「幸せの夢の中にいたいよね、わかるよ・・・俺も夢の中にいたかった」
「・・・・・」
少女は『この人もあの女の人と同じなんだ』と思った、とても優しい声だ。
「行ってください、他の人は私たちで起こします」
「うん、ありがとう」
炭治郎は少女にお礼を言うと禰豆子を連れて走って行った。
他人の夢に入るということは非常に危険なことである、夢はその持ち主の意識が強いので共鳴を受ける時がある。
炭治郎を助けた青年や少女がまさにそうだ、故に魘夢は人の夢には入らない。
「起きてください!お願い!」
「ん・・・?」
杏寿郎は彼女に呼び起された。
「君は・・・?」
「ごめんなさいっ・・・私たち、鬼の言いなりになってあなたたちを・・・」
涙を流して話す彼女に自分が見ていた夢が鬼の術であることが理解できた。
「大丈夫だ、君たちは悪くない。悪いのは人の気持ちにつけ込んだその鬼だ」
杏寿郎は彼らを責めなかった。
見ると善逸や伊之助もまだ眠っている、霧香もだ。
「ムーッ!」
そこへ禰豆子が走って来た。
「君たちは彼らを起こしてくれ、彼女は俺が起こす」
「はい」
杏寿郎は霧香を顔を見た、彼女は泣いていた。どんな夢を見ているかは分からないが彼女は夢の中で涙を流している。