第23話 悪夢
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この小説の夢小説設定鬼滅の刃のIFストーリー(もちろん二次創作)
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〈入れた、これがあの女の人の夢の中・・・〉
霧香の夢の中に入り込んだのは少女だった、この少女は鬼に親を殺され、身寄りがなく人買いに出された。
だが、そこを脱走して今日まで残飯を集めて食い繋いできたのだ。
でもそれももう限界だった、両親と一緒だったあの時に戻りたい。あの温かった頃に・・・。
そこへ魘夢が現れたのだ、自分に協力すれば願いを叶えると・・・。
「まあ、綺麗な花嫁さんだこと」
「これならばご子息が一目惚れしても無理はありませんな!」
目の前の風景は祝言だ、今まさに祝言の最中だ。
〈あの女の人、私が入り込んだ夢の主に似てるわ〉
「五大呪術家の海野家と言えば代々占いに秀でていると有名だもの、これで何があっても災厄を回避できるわ」
「椛さんは占いの才が兄妹の中でも一番だとか!良い貰い物だわ!」
「これで我が家も安泰だ!」
相手方の親族だろうか、やけに上機嫌だ。
しかし『椛』と言われた女性の親族席は笑顔はあるものの、どことなく愛想笑いに見える。
しかし相手方は自分たちの未来の安泰が約束されたことへの安堵感からそのことに気付かない。
庭には護衛だろうか、跪いて待機している人が数名いる。
そのうちの一人が花嫁を見ている、花嫁も時折その護衛を見ている。
〈この二人、もしかして・・・〉
少女も気づいた、この二人は想い合っていると・・・。
しかし、急に景色が暗転したとき耳を劈く悲鳴が聞こえた。
「!」
次に移ったのは障子や襖に飛び散った血、体が引きちぎられた死体・・・・それは人間のものでもあり、鬼のものでもあった。
『鬼に襲われた』
少女は直感した、そして控えていた護衛たちと花嫁側の親族が鬼と闘っている。
鬼の亡骸は彼らが倒したものだろう。
そのうち数匹の鬼が花婿と花嫁に迫る。
「ひ、ひいいィィ!!く、食うならこいつを食え!お、俺は死にたくないィィ!!」
「!」
なんと花婿が花嫁の背後に隠れて突き出していた。
〈え?自分のお嫁さんなのに!?一目惚れしたんじゃないの!?〉
夫婦というのはお互いに支え合うものではないのか?
少なくとも自分の両親はそうだった、お互いを想い合い、助け合い、子供である自分のことを愛してくれた。
しかし目の前にいる男はどうだ?
自分が逃れたい、生き延びたいがために自分の伴侶を鬼に喰わせようとしている。
「助けてくれっ!!」
花婿は這いながら部屋の隅へと逃げていく。
花嫁はというと胸元に入れていた刀で鬼を斬り付けている。
刀は退魔の効果があるのか鬼は再生せずに死んでいく。
しかし圧倒的に鬼の数が多い、椛は追いつめられてしまう。
「うおおおおぉぉぉっ――――!!」
「!」
そこへあの護衛が現れた、刀を振り、鬼の体を切り刻み、突き、首を刎ね、椛に群がる鬼を倒してしまう。
「貴様らっ・・・この方を傷一つでもつけてみろ!俺が貴様らの臓器を一つずつ抉り出してやる!!」
鬼の血を浴びて赤く染まっている姿・・・それはもはや人間には見えない。
でも大切な人を守り戦っている、鬼神のようだ。
同じ鬼でも人喰い鬼のようなものではなく、人を守護をする神のようだ。
「この人に害を為す者は全て斬り捨てる!」
その言葉通り、襲いかかってくる鬼を斬って斬って斬りまくる。
鬼の数がどんどん減っていく、人間のどこからこんな力が出て来るのか・・・少女はだんだん恐ろしくなった。
鬼が一通り討伐された時、涼やかな男の声が聞こえた。
「ほう・・・生身の人間でここまで鬼を殺すとは、興味深い」
「!」
女の姿をしているが声は確実に男だ。
「何だ、お前は?」
「私のことはいい、それよりもお前に興味がわいた」
「!」
女はその護衛の背後に周り、首筋を引っ掻いた。
「ぐあっ!」
痛みに膝から崩れる。
「貴様・・・私に何をしたっ!?」
「力をやったのだ、お前の才は人間にしておくには惜しい・・・鬼となり、私に従え」
「何っ!」
「ほら、お前の『最も憎むべき男』が逃げようとしているぞ」
女が指した先には花婿がそろりと逃げようとしている。