第22話 合流
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この小説の夢小説設定鬼滅の刃のIFストーリー(もちろん二次創作)
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「忘れもしません、その顔、その羽織・・・私とこの子の・・・福の母親は二十年前にあなたに助けていただきました」
「!」
杏寿郎の表情が変わった。
「それはきっと俺の父でしょう、俺は父の後を継ぎ、鬼を狩っているのです」
「!」
「父と同じくあなたを救えたこと・・・光栄です」
そう言った杏寿郎の表情はとても嬉しそうだった。
「でも、まだ信じられない・・・鬼が本当にいたなんて、お祖母ちゃん・・・ごめんなさい、私」
福もその場に座り込む。
「知らなくていいこともある」
「え?」
「鬼を知らず、遭遇しないでいる方が幸せな時もある」
霧香が手ぬぐいで福の顔を拭う。
「怖かったでしょう・・・すぐに駆け付けてあげられなくて、ごめんなさい」
「い、いいえ・・・あなたたちが来てくれたから私たちは助かったんです、ありがとうございます・・・」
安心したのか福は涙を流した。
鬼の被害を防ぐことができた、安心したのは杏寿郎も霧香も同じだ。
「炎柱!ご無事ですか?」
そこへ隊員と隠がやってくる。
「うむ、今片付いたところだ」
「そうですか、それで無限列車は?」
「今夜中に整備を整え、明日から運行を再開するそうだ」
「よかった、これで万事解決ですね!」
「それはどうでしょうか・・・」
隠に二人を任せて霧香が向かってくる。
「どういうことですか?」
「確かに今回斬った鬼たちもこの鉄道で起きている不可思議な事件の一部でしょうが・・・四十人以上の被害を出した根源にしては簡単すぎます」
「俺も同じ意見だ、解決だと判断するのは早計かもしれん」
杏寿郎は無限列車の収められた整備場に目を移す。
「おそらく無限列車の鬼は別にいる・・・もっと強力な得体のしれない鬼が潜んでいる」
「では、明日、無限列車に・・・」
「うむ、乗り込む!といっても、もう今日だがな!」
線路から外を見れば朝日が昇っていた。
そして朝一番に無限列車の最初の運行を車掌に聞きに行ってくれた霧香が戻って来た。
「煉獄さん、運行は夕方からだそうです。なので少し休みましょう」
「そうだな、この近くに俺の宿泊している宿がある、夕方になるまでそこで休もう!」
「え?私は一人で茶屋にでも・・・」
「合流するのにまた時間をかけるのは勿体ない、一緒に行こう」
「あ・・・」
手を引かれて宿に連れて行かれる。
「お帰りなさいませ」
女将さんだろうか、出迎えてくれる。
「ありがとう、彼女は俺の客人だ。部屋にあげさせてもらうぞ」
「はい、後ほどお茶をお持ちしましょう」
「うむ。それから女将、夕方には宿を出るので夕餉の支度は必要ない」
「かしこまりました」
杏寿郎の宿泊している部屋に通されて、ちょんと座っている霧香。
女将さんが淹れてくれたお茶をいただいて少しホッとしたもののまだ動きがぎこちない。
「そう固くならなくてもいいぞ」
「い、いえ・・・なんといいますか・・・」
兄以外の異性と同じ部屋にいるのが変な気分だとは言えない。
「ん?どうした?」
「あの、初めてなんです・・・」
「何がだ?」
「兄以外の異性の方と同じ部屋にいるのがです・・・」
俯きながら告げる霧香、若干赤くなっている。
〈・・・・可愛いっ〉
不覚にもそう思ってしまった杏寿郎。
瀬津寿から『婚姻の申し入れ』は折を見て話すと言われていたが、話したくなってしまう。
〈いかん!我慢だ、杏寿郎!ここで霧香と妙な溝を作っては任務に支障が出る!〉
必死に自分自身と葛藤し抑えてる。
「あの・・・」
「ん?どうした?」
声をかけられたので振り向く杏寿郎。
「休まないんですか?」
「俺は大丈夫だ!海野少女こそ、横になるといい!」
「柱の前で自分だけ横になることはできません」
「遠慮するな、疲れているだろう」
「それは煉獄さんも同じです」
お互い、相手が横にならない限り譲る気はなさそうだ。
「フッ・・・」
「クスッ・・・」
「「ハハハハハ!」」
自分たちは何をやっているのだろうか・・・
あまりにも子供じみたことをしているので互いに自然に笑みがこぼれた。