第22話 合流
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この小説の夢小説設定鬼滅の刃のIFストーリー(もちろん二次創作)
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「やれやれ、仕方のない奴だ」
止血を終えて立ち上がる杏寿郎。
〈君を一人でなど行かせるわけがないだろう〉
隊員に後を任せ、杏寿郎も呼吸を整える。
〈全集中の呼吸・・・〉
身体機能が上昇し、速さが増す。
ザザザザッ――――・・・
前を駆けている霧香の背中が見えた。
「海野少女!」
「つっ!」
振り向く霧香。
「煉獄さん!医療班が到着してからでいいと言ったのに!」
「君を一人で向かわせるわけないだろう!共に行こう!」
肩を並べて走る杏寿郎。
「まったく・・・『よもやよもや』ですね」
「むっ!」
「フフフフッ」
「ハハハハッ!」
笑い合っても速さは落とさない、二人は例の駅へと駆ける。
――――――――――――――――
一方、鬼は駅に到着して弁当の匂いを辿っていた。
「匂うぜ・・・」
同じ頃、弁当屋の少女の福は開店準備を終わらせて『今日も一日頑張るぞ!』と意気込んでいた。
「匂う、匂うぜ・・・くせえ弁当の匂いが沁みついてやがる」
鬼が現れた。
「お前に恨みはないが・・・死んでもらうぜ」
鬼が福に近づいていく。
鬼という存在を信じていなかった福にとって今の状況は予期せぬこと、体が動かない。
そこへ・・・。
「逃げるんだよ!福!」
祖母が鬼に弁当を投げつけた。
「くっ・・・何しやがるっ!このババア!!」
「!」
我に返った福は『立ち入り禁止』の扉を開けて線路に飛び出す。
しかし、鬼の方が早かった。
「っ!!」
「ヒヒヒヒッ!」
福の細い首を締め付けて悦に浸る鬼、しかし側面から吹雪と炎が迫る。
ゴツッ!!
「があっ!!」
鬼が奇声をあげる。
「あなたたちは・・・」
福は気が付くと杏寿郎に抱えられていた。
霧香が鬼の顔に膝蹴りをし、よろめいた隙に杏寿郎が福を救ったのだ。
「大事はないか?」
「は、はい・・・あっ!お祖母ちゃん!」
鬼は負傷しながらも今度は祖母を狙いに駅の中へ戻って行った。
「つっ・・・・」
「ババア、さっきはよくも・・・」
体を引きづり、老婆に近づく鬼。
「そこまでだ」
「!」
振り向くと杏寿郎と霧香が立っている。
「お、お前ら・・・!一体、どうやって追いつきやがった?」
「あなたが言ったんじゃない。
その人たちを助けたければ自分よりも早くここに来ることだって、少し到着が遅れたけど間に合った」
日輪刀を抜く霧香。
「お前のような悪鬼を野放しにしておくわけにはいかない」
「チッ・・・」
「うむ、それに『過信するな』と言った筈だぞ」
杏寿郎も羽織を肩からずらす。
鬼は歯ぎしりしている、鬼狩りよりも速いと思っていたのに、この二人はいとも簡単に追いついて来てしまったのだ。
「試してみようじゃねーか・・・お前たちが俺の頸を斬り落とすのが先か、俺がこのババアの喉を切り裂くのが先か・・・」
「そんなの比べるまでもない、ねえ?煉獄さん」
「ああ、何故なら・・・お前は遅い!」
ゴオォッ!
「!」
「炎の呼吸・壱の型――『不知火(しらぬい
)』」
鬼の一人が呆気なく頸を落とされた、追撃を受けまいと飛び退くもう一方の鬼。
「ば、馬鹿な・・・こんなに速くっ!」
「逃がさない」
「!」
「雪の呼吸・伍の型――・・・『雪ばしり』」
雪の一閃が鬼の頸を刎ねた。
「・・・・・!」
二人の攻撃を見た老婆が涙を流している。
「お祖母ちゃん!」
福が駆け寄る。
「あなたは・・・救ってくださったのですね」
「お祖母ちゃん・・・?」
涙を流しながら座り込む祖母、脳裏に孫の福が生まれる前の記憶が蘇る。
雨の降る日、自分は娘といるところを鬼に襲われたのだ。そこである人物が救ってくれた。