第22話 合流
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この小説の夢小説設定鬼滅の刃のIFストーリー(もちろん二次創作)
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「では、行こうか!」
「ちょっと待ってください、煉獄さん。彼女にあんパンを食べてしまったことを謝って下さい!」
羽織を掴んで引き留めるとピタッと気持ちのいいくらい動きが止まった。
「む・・・そうだな、すまない、君の大事なあんパンを食べてしまった」
「あ、いいえ・・・それはもう良いんです」
「よくはない!このままでは俺の気が済まん!」
『悪いことをした』と本気で申し訳なく思っているようで、『どうすれば許してくれるか』と聞く杏寿郎。
「じゃ、じゃあ・・・もしよければお弁当を買ってくれませんか?」
少女が祖母と一緒に作った駅弁を見る。
「うむ、では・・・全部いただこう!!」
「へ?」
「え?」
「「!?」」
杏寿郎はお金を支払い、本当に駅弁を買い上げてしまった。
全部を風呂敷に詰めて、その中の一部を自分と霧香で持ち、後は任務に同行していた剣士に『他の隊員たちの夜食にしてくれ』と持たせた。
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「本当に全部買っちゃうんですね・・・」
「うむ!あの少女には悪いことをしたからな、これくらいは当然だ!」
二人は今、汽車に乗っている。
しかし無限列車ではない、この汽車は回送だ、これから整備のため車庫に向かう。
無限列車もそこにあるだろうと思い、乗車したのだ。
「ところで君があの少女に渡したのはもしや、さつま芋ご飯の握り飯か?」
「ええ、そうですよ」
「よもや!」
海野家で食べたあの味が忘れられない杏寿郎。
味を想像したのだろう、目がキラキラして顔が紅潮している。
「・・・・任務が終わったら、また食べに来ますか?」
「うむ!そうさせてもらおう!その時は弟も一緒に連れてきてもいいだろうか?」
「煉獄さんの弟さん?」
「うむ!千寿郎というんだ、弟もさつま芋ご飯が好きなんだ!」
弟のことを語るその表情は『兄』の顔になっている、実に微笑ましい。
「フフフ、いいですよ。弟さんも連れていらしてください」
「うむ!楽しみだ!ハハハッ!」
そこへ車掌がやってきた。
「なっ!お前たち、誰だ?!どこから入ってきた!」
車掌の問いに対して杏寿郎は風呂敷を解き、中を見せた。
「俺たちは見ての通りの弁当売りだ、決して怪しい者ではない」
「は、はあ・・・弁当売り?でもこの列車は車庫に入りますので」
「うむ、了解している。そこに無限列車があると聞いた」
「え?無限列車ならもう車庫にはありませんよ?」
「どういうことですか?」
霧香が弁当を包み直して問う。
「今朝がた、整備の整った工場に運ばれて行きました」
「そうですか・・・その工場はここから近いんですか?」
「はい、そこです」
車掌が指した方向には灯りの付いた大きな建物が見えた。
「ほう・・・では、我々はここで降りるとしよう」
「そうですね、ありがとうございました。車掌さん」
二人は弁当の包みを持って後部車両に移った。
「ええ!?降りるって・・・つっ!」
車掌が言い終わらないうちに二人は勢いよく飛び上がり畑を越えた反対側の車線に降り立った。
そこは無限列車が収納されている整備工場だ。
「行くか」
「はい」
二人は互いの鎹鴉を従えて工場に向かって歩き出す。
灯りの中で目にする『無限』と名前のついた蒸気機関車。
「これに間違いありませんね」
「ああ、微かだが鬼がいた気配がある」
二人がもっと探るために近づこうとするのを工員が引き留めた。
「ここは関係者以外立ち入り禁止だぜ?」
「俺たちは鉄道管理局に依頼されて弁当を差し入れに来た者だ」
「夜遅くまでご苦労様です、どうぞ召し上がってください」
その言葉に疑いもなく工員は他の仲間たちを呼んでくる。
仕事に区切りをつけて集まってくる工員だち。
「はい、どうぞ」
「ありがとよ、お嬢ちゃんも大変だね」
「いいえ、仕事ですから」
霧香は手を綺麗に洗って来た者たちから順番に弁当を渡していく。
「おい、詰め所で待機している辰坊にも一つ持って行ってやんな」
ここのまとめ役と男性が工員に一つ弁当を手渡した。
「無限列車は何故ここに運ばれたんだ?」
「車体に問題があるわけねーのに・・・巷では『人喰い列車』だなんだと噂されて、俺たちはそれが悔しいんだ。
だから運行再開が決まった今、最高の整備をして送り出してやろうと思ってな」
「やはり運行は再開するんですね」
「ああ、明日の夜だ。だから今日のみんなこうやって・・・」
「「つっ!」」
お館の言葉の遮るように二人の体に気配を捉える。
「うわあああっ!!」
辰坊という工員に弁当を渡しに行った男の叫びも同時に聞こえて来た。
二人は奥の詰め所に走り出す。
「「鬼ダッ!鬼ガイルゾッ!」」
互いの鎹鴉の鳴き声が響く。
詰め所には少年が一人、鬼に背後から捕らえられている。
「うぅ・・・」
身動きが取れないくらい強い力で掴まれているようだ、しかも腹には鬼の爪が食い込んでいる。