第22話 合流
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この小説の夢小説設定鬼滅の刃のIFストーリー(もちろん二次創作)
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「ここが無限列車のある駅・・・」
深夜に霧香は牡丹の案内で駅に到着した、理由はもちろん先日受けた無限列車に出没する鬼を討伐するため先に派遣された煉獄杏寿郎と合流するためである。
「煉獄さん、どこにいるんだろう?」
「おお!海野少女!」
「(ビクッ!!)」
背後から聞こえるこの聞き覚えのある声、忘れるはずもない。
「煉獄さん」
「要から援護部隊が来るということだったが君だったか!」
「はい、本当は華陽隊全員に指令が来たのですが・・・生憎、彼女たちは別の任務で遠方にいます。
ですから一足先に私がこちらに参りました」
「うむ!助かる!」
「異常ナシ!」
そこへ杏寿郎の鎹鴉の要が戻ってきた。
「あら、あなたは・・・」
「要だ、君に言伝を頼んだ」
「ええ、覚えています。お久しぶりですね」
ニッコリ微笑みかける霧香、そして自分の肩にいる鎹鴉を腕に乗せる。
「この子は私の鎹鴉です、名を牡丹といいます」
「牡丹か、うむ!君の鴉らしい綺麗な名前だ!」
「炎柱!」
そこへ一人の少年剣士がやってきた。
「戻ったか?」
「はい、見て回りましたが変わったところはありませんでした」
「そうか、ご苦労だった!」
「炎柱、こちらの方は?」
少年剣士が霧香を見る。
「本部より指令を受けて参りました、階級・癸、華陽隊の海野霧香と申します」
「み、癸!?」
階級最下位の剣士が派遣されたことに驚いている。
「彼女ならば大丈夫だ、下弦の鬼と互角に戦うこともできる。何よりお館様がお決めになったことだ、問題はないだろう!」
「はあ・・・」
全く不安も感じていない杏寿郎に困っている霧香。
そこへ少女の声が聞こえた。
「鬼なんかいないよ!」
三人が振り向くと駅で弁当を売っている老婆とその孫娘らしき少女がいた。
「また鬼の話!駄目だよ!頑張ってお弁当を売らなくちゃ・・・・お母さんはお腹が大きいし、お父さんは定食のお店、うまくいってないみたいだし・・・」
「そんなことは大人がすればいいの、早朝と夜はお祖母ちゃん一人でやるよ」
「お祖母ちゃんが切り裂きまに襲われたらどうするの!?」
「お前の身代わりとして死ねるなら本望だよ・・・」
「お祖母ちゃん・・・」
孫を気遣っての言葉だろう、確かに鬼は若い娘を好んで襲う。しかし、孫娘の方も大切な祖母を犠牲にするわけにはいかない。
すると何を思ったのか杏寿郎が二人の前に出る。
「やあ、気持ちのいい月夜ですね!」
勢い良く話しかける。
「俺は鬼を探している者です!鬼を見ていませんか?」
「ええ!?そんないきなりィィっ!?」
「杏寿郎様、単刀直入ガ過ギマス!?」
隊士と要があたふたしている。
「お、鬼!?変なこと言って・・・何なんですか!?近づかないでください!」
少女は自分よりも体格の大きい杏寿郎の前に出て祖母を庇う姿勢を取る、しかし恐怖で体が震えている。
「危ない!そんなにブルブルしていたら大切なあんパンを落としてしまうぞ!」
〈心配どころはそこじゃなーいっ!!〉
話の噛み合わなさに脱力している霧香。
「来ないで―――!」
少女が投げたあんパンが杏寿郎の顔面に当たる。ところが杏寿郎はあんパンを掴むとかじりついた。
「うまいっ!」
一瞬、固まる一同だが霧香が身を乗り出す。
「何、食べてるんですか!それはその子のでしょう!!」
「むっ!」
そこで杏寿郎はハッとした。
「すまん!でもうまいぞ!」
「そうじゃなくて・・・」
ため息をつきながら懐から包みを取り出す霧香。
「ごめんなさい、あなたのご飯を煉獄さんが食べてしまって・・・これ、代わりにどうぞ」
「おにぎり・・・」
「ええ、この後もお仕事をするんだからしっかり食べておかないとね」
霧香がニッコリ笑うと少女は照れ臭そうに包みを受け取る。
「あ、ありがとう・・・」
「いいえ、とんでもない・・・ごめんなさい、いきなり聞かれて驚いたよね」
身を屈めて少女に優しく語り掛ける。
「福、この人たちは悪い人たちじゃないよ」
少女の祖母が後ろから肩を抱く。
「うん・・・ごめんなさい、このところ切り裂き魔事件で神経が張り詰めちゃって・・・」
「無理もないです、ねえ?煉獄さん」
「うむ、今しがた聞くところによるとあなた方は夜遅くから準備して我々のために弁当を売りに来てくれるのだな。
実にありがたい!そのような人々が傷つけられることは決してあってはならない!」
杏寿郎は少女に視線を移す。
「安心するがいい、切り裂き魔は俺たちが片付ける」
「ええ、だからあなたもお祖母さんのことも心配しないで」
ニッコリと再び微笑む二人に福という少女は本当に安心すると同時に不思議な気持ちになった。