第21話 下弦の鬼の解体
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この小説の夢小説設定鬼滅の刃のIFストーリー(もちろん二次創作)
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ベンッ――・・・
それはある時、突然だった。
階段、障子、床、無限に続く空間。
十二鬼月の下弦の鬼たちが集められた。
十二鬼月は『上弦』と『下弦』に分かれている、順番としては『上弦の壱から陸』、『下弦の壱から陸』がある。
一番強いのは『上弦の壱』、一番弱いのは『下弦の陸』だ。
そして『上弦』と『下弦』にはある特徴があった、下弦は『片目』にしか数字が刻まれないのに対し、上弦は『両目』に刻まれる。
そのため強さがはっきりと示される、格差を見せつけられる。
同じ十二鬼月でも下弦は上弦に蔑まれるのだ。
そして鬼舞辻無惨は己の血を分け与えた者の思考を読みとることができるのだ。
姿が見える距離ならば全ての思考が読み取りが可能だ、離れれば離れるだけ鮮明さは薄れるがいる位置は全て把握している。
本来ならば元々は無惨の配下である響凱や禰豆子が五大呪術家や産屋敷家に連れて行かれたことで彼らの本拠地が無惨に知られてしまうはずなのだ。
しかし響凱は使役の術という五大呪術家の長年培ってきたある種の『他者との縁を断ち切って結び直す契約』もののため無惨の血の呪いを破壊してしまう。
さらに無惨の細胞を増やさないために特殊なエサをやって育てた獣肉を喰わせるのである、無惨の細胞を薄めて五大呪術家の妖の霊力でのみ体を構成させるために・・・。
そして禰豆子の場合は珠世と同じく鬼舞辻の把握を外しているので居場所が分からないのだ。
「何だここは?」
下弦の鬼たちは見たこともない空間に驚いている、すると琵琶の音が再び響く。
見れば女鬼が琵琶を弾いている、下弦の鬼のみが集められたのはあの女鬼の血鬼術だろう。
そしてもう一人――・・・
琵琶を弾いている女とは別に黒い着物を身に纏った妖艶な女が立っている。
「頭を垂れて、つくばえ・・・平伏せよ」
『!?』
下弦の五人は恐怖を感じた、威圧感が体中を駆け巡り、一斉に膝を折り、首を垂れる。
〈無惨様だっ・・・気が付かなかった、姿も気配も全然違うっ!〉
下弦の陸が汗を流しながら思った、いや汗をかいているのは下弦の陸だけではない。
この場に呼び出されたほとんどの下弦がその状態だろう。
「も、申し訳ございませんっ・・・お姿も気配も異なっていらしたので・・・」
「誰が『喋って良い』と言った?」
「!?」
発言をした下弦の肆が震えあがった。
「貴様共のくだらぬ意志で物を言うな、私に聞かれたことにのみ答えよ」
よく考えてみればわかることだ、鬼の思考が読める。
五人が目の前にいるのだから自分の姿や気配がわからずに気づかなかったことなど百も承知だろう。
「累が殺された、下弦の伍だ・・・そして元十二鬼月だった響凱が私の呪縛を逃れた」
下弦の鬼の消滅と解放に驚く五人。
「私が問いたいのは一つのみだ。
『何故に下弦の鬼はそれまでに弱いのか』
十二鬼月に数えられたからといって終わりではない、そこからが始まりだ。
より人を喰らい、より強くなり、私の役に立つための始まり・・・・ここ百年余り、十二鬼月の上弦の顔ぶれは変わらない。
鬼狩りの柱共を葬ってきたのも常に上弦の鬼たちだ。しかし下弦はどうだ?何度入れ替わった?」
無惨はすらすらと責めの言葉を紡ぐ。
〈そんなことを俺たちに言われても・・・〉
「何だ?」
「!」
「『そんなことを俺たちに言われても』・・・その先を言ってみろ」
〈まずい・・・〉
「何が『まずい』のだ?言ってみろ」
「っ!?うわあああっ!!」
下弦の陸が吊し上げられた、無惨の自身の細胞によって・・・。
「お許しくださいませ!無惨様、どうか・・・どうかご慈悲をっ!!」
細胞の塊が口を『ぐぱあ・・・』と開ける。
「申し訳ありません!申し訳ありません!申し訳・・・ギャアアア!!」
バリバリバリと肉や骨を噛み砕く音が響く、下弦の陸は細胞に喰われた。
〈なんでこんなことに?殺されるのか?せっかく十二鬼月になれたのに・・・〉
下弦の参が絶望する。
「私よりも鬼狩りの方が怖いか?」
次に無惨は下弦の肆を見た。
「い、いいえ!!」
「響凱が私の呪いから解放されたことが羨ましいか?」
「いいえ、私はそのようなことなど思ったことはありません!!」
「お前はいつも鬼狩りの柱共に遭遇した場合、『逃亡しよう』と思っているだろう?」
「いいえ、思っていません!!私は貴方様のために命をかけて戦います!!」
「・・・・・・お前は私が言う事を否定するのか?」
「!」
あまりの恐怖に下弦の肆は涙も流す、そしてまた―――・・・
グシャッ・・・
喰われた。
〈駄目だ、お終いだ・・・思考は読まれ、肯定しても否定しても殺される、もちろん戦って勝てる相手ではない〉
下弦の参は最終手段を取った、それは――・・・逃げる事。