第20話 鬼灯(ほおずき)
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この小説の夢小説設定鬼滅の刃のIFストーリー(もちろん二次創作)
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無限列車・・・久々の運行とのことだが、人々も不安がっている」
「ええ、私も母も気になって先ほど占いをしてみたのです」
「どうだった?」
「雪の粒が赤く染まっていくのが視えて・・・そして一つの大きな炎が虎の如く駆け抜けていきましたが、最後に砕け散りました」
「『雪が赤く染まり』、『炎が砕ける』・・・お前と母上の占いはよく当たる。
何かあっては後の祭りだ、こちらも手を打っておくとしよう。椛、頼みがある・・・今日の夕暮れに音羽を香炉家に走らせてくれ」
「はい」
「私は岩倉家に遣いを出す、例の物を『人間』の体に使用できる調整が進んでるかどうか聞いてみる」
「那津蒔兄さんには・・・」
「わかっている、あいつには今から先行して動いてもらう」
「そうですか、香炉家の方はお任せください」
「ああ・・・」
晴哉は部屋に戻って行く。
〈私たちは鬼のことを知るために家族に迎えるとともに鬼との戦いに向けて犠牲にしてきた。
生きている鬼の血を抜き取り、『代替わり』を望まぬ鬼たちの命を研究の糧にしてきた〉
そう、家族とはいったものの契約を交わした主が寿命で命尽きた後、使役鬼は一度契約が無くなる。
結ぶ主が存在しなくなったからだ、そうすれば飢餓状態に陥り、また人喰い鬼に戻ってしまう。それを使役鬼たちは望まないし、主たる呪術師も望まない。
そのため主の交代をするのだ、それを一門では『代替わりの儀式』という。
しかし使役鬼の中には『その主でなければ契約をすることを拒否する』と拒絶する者もいた、
そこで最終手段として『代替わり』をしない鬼たちは鬼にのみ作用する毒を使って殺すのだ。
敢えて体を残すために日輪刀や術を使って葬るのではなく、毒殺をする。
毒殺した後の鬼の遺体は研究の材料として使用される、臓器、血肉、骨に至るまですべてを研究に使用する。
〈今の私たちは使役鬼たちの犠牲の上で成り立っている・・・〉
晴哉は足を止めた、その顔には涙が伝っている。
晴哉は毒殺する場面を見たことがある、祖父の使役鬼を始末する時だ。
その鬼は祖父と友のように仲が良く、孫の自分にも可愛がってくれた。
祖父が己の若い頃に契約を結び、息を引き取る数十年を共に戦い続けて来た。
その鬼にとって祖父は『本当に理解者』だった、祖父は死ぬ前に鬼に『晴哉の使役鬼になってくれないか?』と頼んでいた。
でも――・・・
『俺たちは友だ、俺はお前だったからついて行くと決めたんだ・・・お前の孫は好きだが、お前の代わりにはなれない』
そう言って『代替わり』を断った、そのため毒殺することが決まったのだ。
彼は毒を飲む前にこう言った。
『俺は使役鬼となってこの数十年、償いをしてきた・・・だが、俺の罪は償った数よりも重いだろう。
だが、もし俺に来世があるならば人間に生まれたい・・・そしてあいつとまた『友』になりたい』
そして幼い自分を振り返り――・・・
『姿は違うものになるが、俺はお前と家族を守り続ける・・・だから繋げてくれ、俺の命を』
「つっ――・・・」
〈鬼の被害を最小限にするために研究を続けて来た、大好きなあの人の命を繋げて・・・あの人だけじゃない、今まで多くの使役鬼の守護の元私たちは守られてきた。
鬼のために辛い思いをもっと減らさなくてはならない・・・霧香を四年前の椛のような目には遭わせん!〉
涙を拭うとまた歩き出す晴哉。
向かう場所はもちろん――・・・
続く