第20話 鬼灯(ほおずき)
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この小説の夢小説設定鬼滅の刃のIFストーリー(もちろん二次創作)
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「霧香、俺んとこの鬼・・・って、何してんだ?」
そこへ那津蒔が来た、手には獣肉がある。
「あれ?兄さん、何でここに?」
「何でって・・・もうそろそろ二人の飯時だから獣肉持ってきたんだよ。
そしたらこいつらの庵にはいないしよ、阿古夜たちは『知らねぇ』って言うし・・・。
もしかしてと思って来たら、今の状況だよ」
〈ああ、なるほどね〉
「で?どうなってんだ、こりゃ・・・・またか?」
「うん、また」
「はあ~・・・しょうがねーな」
コキコキと肩を鳴らす那津蒔。
「黒椎!紅虎!」
「「!?」」
那津蒔の声にビクッとした時、響凱が二人の拳を上から押した。
二人の拳は解かれ、卓に同時に着いた。
「なるほど、これは両成敗ですね」
音羽が笑いながら言う。
「飽きないな、お前らも」
那津蒔は呆れてる。
「那津蒔様、申し訳ございません」
「でもよ、そろそろはっきりさせたくてよ」
「はっきりさせる必要なんてない!お前らはお互いが気を許せる者同士だ、どちらかが上に立つかなんてことは考えるな!
お前らは『力による支配』なんざお互い考えてないはずだ」
「はい、もちろんです」
「当たり前だ」
「なら、心強い味方がいるってくらいの認識にしとけ。戦場じゃお前らの力がお前らの命を守るんだからな」
「「承知」」
那津蒔の言葉に低頭する二人。
「響凱、悪かったな」
「いいや、気にしていない」
「お前は素直ないい奴だ!」
ニカッと笑うと酒瓶と獣肉を持って立ち上がる那津蒔。
「お前ら行くぞ、俺も今日は仕事で一杯やりたいんだ!付き合え!」
「はい」
「おうよ!」
三人は庵を去って行った。
「では私もそろそろ椛様がいらっしゃると思いますので、庵に戻ります」
「うん、じゃあね」
使役の契約を結んだ鬼たちと主は毎日ではないがたまに鬼灯で各々の庵で食事をする。
それは『家族』に迎えた彼らと少しでも絆を育みたいと思って始めたことだ。
『鬼』は孤独ではない、種族は違えど互いを分かり合えるのだと感じるためだ。
霧香も響凱が人肉に反応しなくなる頃合いを見て食事を共にしようと思っている。
それまではこうして間隔を空けての訪問になるのだ。
ある日、幾度かの任務を終えて帰宅した霧香にある指令が下された。
無限列車の被害甚大、現地にいる煉獄杏寿郎と合流し、鬼を討伐すべし――・・・
首都から関西までを走る蒸気機関車の無限列車、聞けば既に四十人以上が消息不明になっているそうだ。
この指令は華陽隊に下されている、しかし現段階で他の二人は単独任務で別地へ派遣されている。
そのため任務終了後に派遣先から合流することになる、つまり自分が一足先に向かうという事だ。
「煉獄さん・・・」
こんなに早く柱と合同任務を行うことになるとは思ってもみなかった。
隊服を着て雪華紋の羽織に袖を通した霧香は刀を携える。
「霧香」
振り向くと椛がいる。
「姉さん」
「無限列車の鬼の討伐に行くそうね」
「はい」
「あの杏寿郎さんも一緒だとか」
「ええ」
椛は霧香の顔を撫でる。
「あの方を信じなさい」
「姉さん・・・?」
「そしてあなたはどんな時でも『強い心』を持ちなさい」
そのままギュッと抱きしめる。
「あなたは強いわ、自信を持って・・・杏寿郎さんと帰って来るのを待ってるわ」
「はい」
「いってらっしゃい」
「行ってまいります」
礼をして屋敷を後にする霧香、その背中を椛は見送る。
「どう思いますか?」
「・・・・そうだな」
椛は背後にいる晴哉に話しかける。