日記
「…目覚めを迎えるのに
2026/10/12 10:42理想的な部屋だと、扉を開けた瞬間に思った。
通りに面した窓から、クリスマスシーズンの店や行き交う人、車を眺めることが出来る。
わかりやすく言うと、シャーロック・ホームズとワトソンの暮らすロンドンの221Bの窓から眺める景色を、縮小して湖水地方版にしたような感じだ。
窓辺にウェルカム・ドリンクとしてシェリー酒の小瓶が置かれてあり、荷解きをしてからグラスに注いで少し口に含んだ。
このシェリー酒がまたすこぶる美味い。
あまりに美味いので、何処のメーカーものかと思い瓶を手にしてぐるりと回し見るが、あいにくのラベルレス。
このホテルはスタッフが姿を見せない無人式のホテルなので、誰かに尋ねることも出来なかった。
一気に飲み干したいのを我慢して、私は名前のわからないシェリー酒を外出から帰宅する度にチビチビと、少しずつ消化していった。
この部屋にはシャワールームが備え付けられていない。
大げさではなく部屋の七割を巨大なベッドが陣取っていて、あとはサイドテーブルや椅子すら置かれていない。
ベッドの向かいに厚みのない幅広のサイドボードが狭そうに突っ立つだけだった。
おかげで食料を買い込んだ時は必ずベッドの上で飲み食いするハメになったが、それでも快適だった。
突き詰めれば体ひとつ分の快適な寝床があり、飯が食えれば生きていける。
旅の最中はよくそんなことを考える。
話を戻して、ではバスルームはというと、部屋を出て10歩歩くと別の扉があってその中に収まっている。
私だけが使える専用のバスルームだ。
六畳ほどの広めの空間には、シャワー付きの猫足の白いバスタブが置かれていた。
思い切り足を伸ばしても、端に足が届かないくらい大きなバスタブだ。これはのんびり湯に浸かれると思い嬉しくなった。
蛇口の上にはテレビが備え付けてあったが、毎回『Very Best Of Diana Krall』をかけて入浴を楽しんだので、遂にテレビは一度も点けなかった。
英国の寒空の下にある薄暗い浴室で、泡風呂に沈みながら聴く彼女の声は極上だった……」
通りに面した窓から、クリスマスシーズンの店や行き交う人、車を眺めることが出来る。
わかりやすく言うと、シャーロック・ホームズとワトソンの暮らすロンドンの221Bの窓から眺める景色を、縮小して湖水地方版にしたような感じだ。
窓辺にウェルカム・ドリンクとしてシェリー酒の小瓶が置かれてあり、荷解きをしてからグラスに注いで少し口に含んだ。
このシェリー酒がまたすこぶる美味い。
あまりに美味いので、何処のメーカーものかと思い瓶を手にしてぐるりと回し見るが、あいにくのラベルレス。
このホテルはスタッフが姿を見せない無人式のホテルなので、誰かに尋ねることも出来なかった。
一気に飲み干したいのを我慢して、私は名前のわからないシェリー酒を外出から帰宅する度にチビチビと、少しずつ消化していった。
この部屋にはシャワールームが備え付けられていない。
大げさではなく部屋の七割を巨大なベッドが陣取っていて、あとはサイドテーブルや椅子すら置かれていない。
ベッドの向かいに厚みのない幅広のサイドボードが狭そうに突っ立つだけだった。
おかげで食料を買い込んだ時は必ずベッドの上で飲み食いするハメになったが、それでも快適だった。
突き詰めれば体ひとつ分の快適な寝床があり、飯が食えれば生きていける。
旅の最中はよくそんなことを考える。
話を戻して、ではバスルームはというと、部屋を出て10歩歩くと別の扉があってその中に収まっている。
私だけが使える専用のバスルームだ。
六畳ほどの広めの空間には、シャワー付きの猫足の白いバスタブが置かれていた。
思い切り足を伸ばしても、端に足が届かないくらい大きなバスタブだ。これはのんびり湯に浸かれると思い嬉しくなった。
蛇口の上にはテレビが備え付けてあったが、毎回『Very Best Of Diana Krall』をかけて入浴を楽しんだので、遂にテレビは一度も点けなかった。
英国の寒空の下にある薄暗い浴室で、泡風呂に沈みながら聴く彼女の声は極上だった……」
追記
「旅先での手記」(小説風)

