Story-01
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もうやめてほしい。
脳みそが溶けてしまいそうなほど、全身が熱くて熱くてたまらない。
こんなに恥ずかしいのに、悲鳴をあげて助けを呼びたいのに、誰にも見られたくない。知られたくもない。リゲイドに触れられるたびに体が跳ねるラゼットの思考回路は、先ほどから同じ言葉に繰り返し支配されていく。
「気持ちいいって顔してるぜ」
「ァッ…リゲイドさまぁ…ッん…ぁ」
どうしてこんなに溶けてしまいそうなほど、気持ちいいのかわからない。誰にも見せたことのない大事な部分でしゃべる男の顔を殴りたいのに、その舌に舐められるたびにゾクゾクとした背徳感がこみあげてきて意識が飛びそうになる。
「ヒッ…ぁ…ッ!?」
蜜をすすり上げるように音を立てるリゲイドの唇の隙間から、角ばった指が内部に侵入してきた。また体の奥からジンとした熱い感情があふれ出してくる。
「ぁ…イヤッ…それな~~~ンッ…ぁ」
舐められているだけとはまた違う。体の中から何かを探り当てられるような不思議な感覚に眩暈がしそうになる。
「ァッッ!?」
ビクリと大きくひきつけを起こしたラゼットの反応に、下部に顔をうずめるリゲイドの口角がクスリとあがった。
「ヤッ…リゲイド様っヤメッぁ~~ぁ」
もう、声を抑えるとか押さえないを考えている余裕はどこにもなかった。
あるのは、感じたことのない強烈な感覚と、こみ上げてくるモノの恐怖だけ。その正体が何か。誰も教えてくれなかった甘美な痛烈が、内部から弾けるように伝線してくる。
「怖ぃ…ッぁ…やっ…いゃ」
イヤだと言っているのに、リゲイドがやめる気配はどこにもない。逃げようとした腰は秘部に突き刺さる手とは逆の腕につかまり、リゲイドに食べられていくようにその果実はぐちゃぐちゃと柔らかく音をたてて散っていく。
「アッ…ぁなにッぃヤッ…ぁあヒッ」
ふっと、リゲイドが笑みをこぼした気がした。
「アァッ…ァ…アアアァァァァァッア」
のけぞるように甲高い悲鳴をあげたラゼットの体は、しなやかにくねりながらリゲイドにその果実を提供していく。そうしてビクビクと小刻みに複数痙攣したラゼットは、感じたことのない快楽の絶頂に耐え切れず、そのままぐったりと意識を閉ざしていった。
「って、まじかよ」
意識を失ったラゼットの秘部から顔を上げたリゲイドの顔がひきつる。
「ったく、これからってときにそりゃねぇぜ」
はぁと、哀愁を漂わせた深い息がリゲイドの口からこぼれ落ちた。
結婚初夜。本番はこれからだというときに、出鼻をくじかれた身としてはいささか受け入れがたい現実が目の前に広がってる。
「かといって、気絶した女をヤる趣味は俺にはねぇ」
どうしたものかと、リゲイドは前髪をガシガシとかいていたが、ついには盛大なため息を吐いて敗北を了承した。
「まじでやってらんねぇぜ」
今日は本当に踏んだり蹴ったりな一日だと思う。
気を失ったラゼットの体にシーツをかけてやりながら、リゲイドはそっとベッドから降りて窓の方へと近づいていった。
「あれが、本来の祈りの塔か」
窓の向こうにかすかに映る星のように小さな明かりを見つけて、リゲイドは窓の淵に腰かける。
今は夜。まだ月が顔を見せないのか、深淵の闇のようにオルギス王国の夜は暗い。そのとき、ふいに空がぐにゃりと歪んだ。
「ま、初夜は狙い目だと思うわな」
どこかあざ笑うかのように、リゲイドはその場所を見つめて笑みをこぼす。
おそらく、それはテゲルホルム連邦の方角から発射されたに違いない。グニャリと歪んだ空間は、淡い紫の光を放ちながら何十発と飛んできた砲弾を跳ね返したあと、何事もなかったかのように静寂な夜を保っている。
「最強の盾、ね」
リゲイドは静かな寝息をたてるラゼットの方に視線を向けながら、冷たい瞳でその言葉を吐き捨てた。ついで、ポケットの中から取り出した小さな石に目を向けたリゲイドの瞳は、先ほどとは打って変わって熱を帯びた色を見せはじめる。
「やっとここまで来たんだ」
急に真面目に変わった声色にドキリと空気が音を立てて震えた。
気づけば、先ほどの爆撃を皮切りに、テゲルホルム上空から激しく砲弾が降り注いでいる。けれど、そのすべては淡い紫の光に跳ね返されて何事もないのか、街には火の粉すら降り注いでいなかった。そんな明滅した光の饗宴を聞きながら、リゲイドはその手のひらの中で転がる小さな石を指で愛しそうになぞる。
「ぜってぇ、見つけ出してやる」
石に唇を寄せてまぶたを閉じるリゲイドの声は、寝静まった室内では誰の耳にも届かない。白く滑らかな石だけが、そのどこか悲しく、切ない声に支配されたリゲイドの真剣なまなざしを受け止めていた。