長い参りの列にやっと並んだ。
紗栄子と話しながらだったから、待つのは苦じゃなかった。
100円入れて、参拝する。

ーどうか、楓と先輩達が全国へいけます様にー
ゆっくり心の中で願った。
ー‥どうか、先輩がずっとバスケを続けます様に、離れても先輩のプレイが目に届きます様に。

欲張り過ぎだが、願わずにはいられなかった。
せめて、そのプレイがこの先見る事が出来たなら、それだけで十分幸せだ。

頭を下げている間に、右横に人の気配がした。
びっくりして顔を上げると、参拝している山道先輩が居た。
驚いて、何も言えなかったが、紗栄子は嬉しそうに先輩に声をかけていた。

先輩は偶然を装っているけど、きっと見つけて来てくれたのだろう。何でかは分からないが。
先輩に少し話せないかと聞かれた。

わざわざ言ってくるという事は、深刻な話なのか、聞くのが怖いけど頷いた。
紗栄子は彼氏に会いに行ったので、2人で歩き出した。
何処に行くか決めていない様なので、うちに来ないか提案した。

家について、先輩を紹介した。
お父さんもお母さんも、大袈裟に驚いていて少し恥ずかしかった。
先輩が挨拶してくれたので、離れに案内した。
部屋の中は、小学生組がまだ起きていて騒がしくしていたが、話が出来なくはなかった。