入部して、何度も何度もこの感覚になる。
先輩のプレイを見ていると、身体中に電撃が走る。
「先輩！凄い！」
先輩も初めての成功だったのだろう。
すごく驚いて喜んでいた。

気が付いたら、何故か手を握り合って喜んでいた。
その手はすぐ離れて、先輩は何も無かった様にダンクが成功した感想を興奮しながら語っていたので、ドキドキしたのは自分だけだと、心を落ち着かせた。

先輩と居ると、私の心は忙しなくなる。

それから夏はすぐに来た。
予選の決勝リーグで、先輩達は負けた。
何故だろう、自分でプレイした訳でもないのに、こんなに苦しくて悔しい気持ちになるのは。
涙が止まらなかった。

先輩達に申し訳なく、私は女子控え室に逃げ込んだ。
声は出せなかったけど、涙が落ち着くまでそこに居た。

3年の先輩ではなく、山道先輩のプレイばかり思い出される。
負けた時の先輩の背中を思い出すと胸が締め付けられる。
先輩の顔は見れなかった。