何の思い出も無い中学時代だった。
学校に友達は居たが、グループで遊びに行くことはあっても2人で遊ぶような親友は居なかった。
特に勉強が好きな訳では無かったが、昔から要領が良かったので、頑張れば頑張るだけ結果が出た。

しかし、元々頑張る事があまり好きではないので、高校は頑張らなくても卒業出来そうな地元の湘北高校に入った。
見た目も人並みで特に勉強以外取り柄のない私は、新生活には何の期待もしないで入学式で新入生代表で挨拶した。

きっと高校生活で皆の目に止まるのはこれが最後だろう。
そして目立たない私は名前すらその内忘れられるのだろう。
そんな事を考えて、入学式が終わり自分の教室に戻ると、教室内はもう数人のグループが何個か出来ていた。

何も期待してはいなかったが、人並みに友達が欲しかった私は出遅れた事に焦った。
とりあえず、自分の席に向かおう、そして近くの子に声をかけよう。
元々人見知りする私は、心臓がドキドキするのを抑えて自分の席を黒板に貼られている座席表から探した。

『南里』
私は短い自分の名前を探す。
座席番号を確認して、そこにあろう自分の席を探すと人だかりで埋もれているようだ。
そこにはこのクラスで1番多いグループが出来ているようだ。

流石にそのグループに話しかける事は出来なくて、私はひたすら気配を消して自分の席を探すのだった。