【完結】【鬼滅の刃】霞屋敷のふろふき大根には柚子の皮が乗っている【時透無一郎】
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🐿
「………良かったあ、ハッピーエンドで本当に良かった……」
「ねえ君、ちょっと泣きすぎじゃない?」
ここはとある映画館内の八番シアター。
一組のカップルがたった今、恋愛映画を鑑賞し終えた所だ。
作品タイトルは〈霞屋敷のふろふき大根には柚子の皮が乗っている〉
女は彼氏と思われる青年からハンカチを渡され、両目から溢れている涙を静かに拭いていく。
「映画に出てくる彼があなたに本当に似てるから、私感情移入しまくりだったんだもん……」
「そう? 僕あんなに辛辣じゃないよ。 髪が長い所だけでしょ、似てるの」
「そんな事ないよー、凄く似てた!」
「わかったから……係の人が入って来たよ。まずここから出よう」
長髪の男は横で変わらず涙を流している彼女を立たせ、それから空になったポップコーンやドリンクの容器を入れたトレイを手に持つと、出口へと向かい始める。
後ろにいた女は両手が塞がっている彼の右腕に、スルッと手を絡ませ、男の後を付いていった。
★
「来場者特典、貰えて良かったね! 私、彼のカードが欲しいなあって思ってたから嬉しい」
「……そうだね」
「? どうしたの、何か機嫌悪い?」
「そんな事ない」
彼女に吐き捨てるように答えた男は手に持っているカードを、睨みつけるように凝視する。
「全然似てないんだけど……」
「……映画すっごく良かったから、また観に行こうよ」
「僕は一回でいい」
「えー!? そんな事言わないで〜」
「いや、行かない」
その後も押し問答を数回繰り返しながら、カップルは映画館が設置されているショッピングモールから仲良く出て行ったのである。
「ねえ、無一郎さーん! また観に行こう?」
「絶対いや。しつこいよ、ゆずは一人で行って」
〜エピローグ おしまい〜
「………良かったあ、ハッピーエンドで本当に良かった……」
「ねえ君、ちょっと泣きすぎじゃない?」
ここはとある映画館内の八番シアター。
一組のカップルがたった今、恋愛映画を鑑賞し終えた所だ。
作品タイトルは〈霞屋敷のふろふき大根には柚子の皮が乗っている〉
女は彼氏と思われる青年からハンカチを渡され、両目から溢れている涙を静かに拭いていく。
「映画に出てくる彼があなたに本当に似てるから、私感情移入しまくりだったんだもん……」
「そう? 僕あんなに辛辣じゃないよ。 髪が長い所だけでしょ、似てるの」
「そんな事ないよー、凄く似てた!」
「わかったから……係の人が入って来たよ。まずここから出よう」
長髪の男は横で変わらず涙を流している彼女を立たせ、それから空になったポップコーンやドリンクの容器を入れたトレイを手に持つと、出口へと向かい始める。
後ろにいた女は両手が塞がっている彼の右腕に、スルッと手を絡ませ、男の後を付いていった。
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「来場者特典、貰えて良かったね! 私、彼のカードが欲しいなあって思ってたから嬉しい」
「……そうだね」
「? どうしたの、何か機嫌悪い?」
「そんな事ない」
彼女に吐き捨てるように答えた男は手に持っているカードを、睨みつけるように凝視する。
「全然似てないんだけど……」
「……映画すっごく良かったから、また観に行こうよ」
「僕は一回でいい」
「えー!? そんな事言わないで〜」
「いや、行かない」
その後も押し問答を数回繰り返しながら、カップルは映画館が設置されているショッピングモールから仲良く出て行ったのである。
「ねえ、無一郎さーん! また観に行こう?」
「絶対いや。しつこいよ、ゆずは一人で行って」
〜エピローグ おしまい〜
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