仁美は左手でうちわを持っており、軽く仰いで花火が上がるであろう空を見ていた。
仙道は仁美の右側に並んだ。
仙道が隣に来たのを、仁美がチラッと見た様に見えた。

仁美は仙道の方は見ないで、マネージャー同士で話している。
仙道も同じ３年と話をしていた。

19時丁度にドンっと大きな音がして、大きな花火が１つ上がった。
花火大会が始まった。
みんな一斉に空を見上げて、大きな歓声が上がった。

ドンドン花火が上がり、周りは打ち上がった花火に夢中だった。
仙道は仁美を横目で見てみた。
仁美の大きな目に、打ち上がった花火が映っていて、色とりどりの光が仁美を照らし、とても綺麗だと思った。
仁美は歓声をあげながら花火を見ていまた。

真剣に花火を見ている仁美に少し寄って、仙道は仁美の手を握った。
仁美の体がピクッと動いたのが分かった。
横目で見た仁美は、顔は真っ赤にしながら、緊張している様に花火を見ていた。

仙道は言葉を、交わす様に仁美の手を握り直した。
仁美から握りかえされる事は無かったが、それは想定内で、それでも仙道は幸せだった。