恥ずかしかったが、仙道を見ると笑顔だったのでそのままそこに座る事にした。
陵南の試合はハラハラする事もなく、楽しく観戦出来た。

仙道は相手に合わせてプレイをする所があるので、流石に全力の仙道は見れなかったが、十分仙道が調子がいいのが分かった。
チラホラ聞こえる女性の声援の方が気になってしまった位だ。

試合が終わり二階席を見上げると、仁美は満面の笑みで拍手していた。
仙道と目が合うと余計嬉しそうだ。
仙道はそんな仁美を目を細めて見ていた。

表面は笑っている様に見えたかもしれないが、内心はそうでもなかった。
先ほどの流川と仁美を思い出す。
今泣いていない仁美を見て、この位の試合じゃ泣かないかと言う気持ちと、泣いて喜んだ事への嫉妬と入り混じっていた。

今日は試合で終われる為、仙道はLINEで仁美に待っていて欲しいと伝える。
LINEはしばらくして既読になり、仁美から返事が来る。
着替えながらミーティングを終えて、仙道はそのまま部員達と離れて解散する。

仁美が待ってるであろう駅のスタバにそのまま迎えに行く。
すぐに1人席でスマホを眺めている仁美を見つける。
流川とLINEのやりとりでもしているのか、スマホを見てるだけで思わず勘ぐってしまう。

自分がこんなにもドロドロとした感情を持っているとは思っていなかった。
仁美と付き合って、初めて感じた感情だった。