離さなくていいのに。
この熱を冷ましたいのに、仁美が離れると寂しくなる。

結局その日はシャワーから出ても全然クールダウン出来ずに、ずっと仁美にくっついていた。
セットのとれた仙道の髪型を見た時に、また胸が高鳴る。
今日は何度仙道にトキメけばこの気持ちはおさまるのだろう。

結局夕飯も食べずに、その日はずっと喋ったり抱き合ったり、気が付いたらいつの間にかベッドで2人で寝ていた。

起きて目の前に仁美がいる事にまた胸が熱くなり、朝からキスをする。
流石にお腹が空いたので、夕飯用のお弁当を朝食べた。

今日でこの幸せな時間も終わってしまう。
今からカウントダウンが始まり、仁美が帰る時間までずっとくっついてその時間を堪能した。
それでも帰る時は寂しくなる。

仙道は仁美の最寄駅まで送る。
あんなに一緒に居たのに、離れがたい。
しばらく向き合って手を握り、どちらもお別れの挨拶が出来ないでいた。

「来週また会おう。」
土曜日部活があれば日曜日、泊まりではなくたって会いたい。
仁美は頷いて仙道の手を離した。

仙道に見送られて帰路につく。
自分の部屋に帰れば、たった1日あけただけなのに、とても久しぶりの様な感覚になる。
会ったばかりなのに、またすぐ会いたくなる。
仁美は帰宅のLINEをすぐ仙道にする。
仙道からの返事を見ながら、今日は仙道の余韻の中、夢でも逢いたい。
そう思った、初めての外泊だった。