「‥先輩‥」
言いかけた言葉は、急に割って入ってきた、楓に消された。
楓は先輩の手を取って、私から剥がすと先輩を睨んでいる。

先輩は少しびっくりした様に見たが、流川が楓君ねと笑った。
楓が、その言葉に反応して、私を見る。
「仙道さん、中学の時の先輩なの。」
「仙道が先輩‥。」
再び2人は睨み合う。

「仁美に何の用だ？」
「‥流川には関係ない話だよ。」
関係ないと言われて、楓が余計イライラしてる。
一触即発の空気に耐えれなくて、私は楓にすがりついた。

「楓お願い何でも無いから‥先輩今日は先輩のプレイを久しぶりに見れて良かったです。」
さようならと付け加えて、私は楓を引っ張って湘北メンバーの所へ戻る。
先輩はそれ以上何も言って来なかった。

嫌がる楓を先輩達に押し付けて、やっと春子ちゃん達と帰路に着いた。
春子ちゃんが先輩の事を聞きたがっているのが表情で分かる。

「仁美ちゃんの好きな人って、仙道さんだったの？」
耐えきれなくて、春子ちゃんが聞いてきた。
私は電車に揺られながら、ゆっくりと頷いた。
あらためて聞かれると恥ずかしい。

春子ちゃんは、やっぱりーと嬉しそうに驚く。
ちょっと声が大きいので、制した。
「でも話しなくて良かったの？」
不思議そうに春子ちゃんが聞いてきた。