自分の家のマンションの前の植木に人影が見えた。
暗くてよく分からないが、その人影に胸がなった。
私は足早にその人影に向かった。
近くにきて鮮明に姿が現れ、私はその姿を見てその場に泣き崩れた。

奈美は私が側に来たのを悟ると、顔を上げて、泣き崩れている私を見下ろした。
私は、座っている奈美の手に自分の手を伸ばした。
奈美は拒否する事はなかった。
私は奈美の手を握りながら、ごめんなさいとずっと繰り返す。

「‥友達じゃない理由を教えて。」
奈美の言葉に私は顔を上げた。
下から見上げた奈美は、泣きはらした目をして、怒った様に私を見ていた。
私は顔を拭いて、奈美の隣に座った。

嗚咽を整えるが、言葉が見つからない。
何て言ったら良いのだろう。
「‥仙道君が好きなの？」
奈美が涙を溜めながら小さな声で聞いてきた。
私はゆっくり奈美を見た。

奈美がこっちを見たので、奈美の目を見ながら答えた。
「‥好きだよ。」
奈美はためていた涙をこぼしながら、私から顔を逸らした。

「仙道も奈美も2人共大好きで、仙道にも奈美にも嫉妬してた。
写メの子の事を奈美に言わなかったのは、それを知っている優越感があったのと、純粋に奈美に傷付いて欲しくなかったから。」

奈美はハンカチを持っている手をぎゅっと握る。
その手を見ながら続ける。