正しいペットのしつけ方
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与えられた部屋に戻った青子。イラつきを抑えきれなくて扉に八つ当たりをすれば悲鳴を立てて勢いよく閉まる。大きな音が部屋に響くとうるさいと誰もいない空間に向かって声を張り上げた。今の彼女はどんなものであれイラつきの対象になり得た。サソリに言われた言葉にむしゃくしゃする。理想の男が欲しいと願う事の何が悪いのか。デイダラやサソリは理想の芸術を追い求め、角都はお金の為に、飛段は宗教の為にと己の思いのままに行動している。皆それぞれが自分の心に従っている。彼らの対象は物であるが、自分の対象はたまたま人であるだけなのだ。
荒々しい足取りで部屋の椅子に腰を下ろす。本当ならば外に出て気分展開をした方が早くこのイライラを解消できるだろう。だが、外に出るにはまた彼らの前を通らなければならない。出て行く方向を間違えた自分にも腹が立つ。このイラつきが解消できるまで部屋で大人しくするしかないと思い、近くにあった雑誌を手に取るも見たいという気持ちにならず、忍術書なんかはもっと眺めたくない。こんな時こそ暴れまわれればと頭を抱えた。
「もう、何で私が我慢しなきゃならないのよ!」
元を正せば喧嘩を売ってきたサソリが悪いというのに。脳裏に浮かぶ真っ赤な髪がこれだからガキはとせせら笑う。容易に浮かぶ見下した態度を思い出して、より胸のムカつきが増す。そんな自分に対して怒るだけ損だ、落ちつこうと深呼吸をする。一向に収まらない怒りに大人しくしているという選択肢は消えた。サソリの顔写真を壁に貼りつけて思いっきりぶん殴る。そう決めると以前角都にもらったビンゴブックを探し始めるのであった。
「あっれー? 何処にしちゃったかなぁ……」
サソリをぶん殴ると決めてから部屋を探し始める事数分。部屋の中はゴミ箱をひっくり返したように散らかっている。しかし、この部屋の主たる青子は気にもかけないで、記憶から薄れつつあるビンゴブックを懸命に探していた。以前、目を通して見かけたら狩っておくようにと言われ渡されたが、自分は賞金首狩りなんて面倒な事はしたくないと思い、はいと元気よく返したもののすぐに放り投げた。それから度々角都にどうだと聞かれていたが、出会っていないとのらりくらりかわしてきた。まさかこんな事に使うとは思いもしなかった。次からはもう少しまともに管理しておこうと意識を改め、気をつけるから早く出てきてくれないかなぁと散らかる部屋を歩きまわる青子の耳に扉の開く音が入った。
「ただいま取り込み中でーす、後にして下さーい」
「……汚ねぇ部屋だな」
扉を背に誰かに向かって声をかければ、今一番聞きたくない声が聞こえ動きを止めた。勢いよく振り返れば呆れた表情を浮かべたサソリが立っている。
「何しに来たのよ」
「てめぇに用があるからわざわざ来てやったんだ、感謝しろ」
壁に背を預け、腕組みをしながら簡潔に答えた彼に怪訝な表情が浮かぶ。先ほどまで睨みあっていた相手に一体何の用があるというのか。まさかさっきの事を根に持っていて、わざわざ仕返しに来たのではないかと青子は考える。その昔デイダラと飛段が餌食になったように、自分も毒薬を盛られるのではないかと身を固くして警戒する。サソリから目を反らさないでいれば、彼が悪かったと口にした。
「……は?」
「オレが悪かった」
夢を見ているのではないかと青子は思わず自分の頬を抓ってみる。じんわりと広がる痛みに夢でないと理解し、眉をひそめた。困惑している彼女を黙って見ていたサソリが何だその顔は、と話しかければ青子はおどおどしながら己の考えを口にした。
「いや、だって……まさか謝られるとは思ってなかったから」
「悪いと思ったから謝った、おかしな事じゃねぇだろ?」
表情を見る限り嘘をついているようには見えない。素直に謝罪をしたサソリに対して少しずつ罪悪感が沸いてくる。勢い任せに自分は彼の事を『お人形』と言った。事実ではあるが、だからと言ってバカにしていい理由にはならない。大人であるサソリから謝罪してくれたのだ、ならば自分もきちんと謝ろう。此処で意固地になってしまったらそれこそガキのままだ。
「私こそごめんなさい、言い過ぎました」
部屋の入口に立つサソリに近づいて、頭を垂れる。顔を上げろと言った彼の表情を見れば、イラつきは去っているようだ。そして、そう言えばお前は何をしていたんだと新たな疑問を投げかけられる。
「ちょっとね……」
ビンゴブックに載る貴方をぶん殴ろうとしていました、なんて口が裂けても言えない。もし、間違って伝えようものならまた喧嘩になってしまう。探しものをしていたらこんなになっちゃって、と半分本当の事を言えば手伝ってやろうかと返ってくる。普段なら絶対に口にしないであろう言葉に、青子の背中に汗が伝う。これ以上、踏み込んでこないでくれというのが本音だ。
「多分捨てちゃったと思うの!」
「そうか? なら片付けを手伝ってやる」
「あ、ありがと」
いつもは口が悪くて、手伝うなんて一度もしてくれた事がないのに今日は随分と優しい。彼なりに気を遣ってくれているならば嬉しいなぁ、と思いながらお願いしますと部屋に招き入れた。サソリがゆっくりと扉を閉めたのを見届け背を向けながら、じゃあこっちからお願いと言葉を紡ごうとした瞬間、口に圧力を感じる。それだけじゃない、さっきまで自由だった腕も動かない。何が起こったと混乱する頭で状況を把握しようと努める彼女の耳元で、事を起こした張本人のサソリが嘲笑を上げた。
「簡単に引っかかってくれるなんて、バカだな」
「……っ!」
耳元でくつくつ笑うサソリに、青子は騙されたのだと気づく。謝罪なんかする気は初めからなく、油断させる為にわざわざあんな一芝居を打ったのだ。性格の悪いヤツだと収まっていた怒りが増幅する。しかし、身動きが取れない以上、声を張り上げる事も暴れる事も出来ない。きっと、体を拘束するのはご自慢のチャクラ糸だろう。落ち着いて対処しようと息を吐いた彼女の口に、何かが侵入してきた。
「オレを怒らせた事……後悔させてやる」
彼の言葉を聞いて背筋に震えが走る。一体これからどんな事をさせられるのか……。不安を隠しきれない青子が口元へと視線を向ければ、彼の腕が見える。舌に当たる硬さは傀儡の指で間違いないだろう。普通なら噛みつけば解放されそうであるが、彼にしたところで意味がない。それどころか自分が痛い思いをする。冷静に分析をしていると口の中にいる指がゆっくりと動き始めた。異物が蠢 く様はただただ気持ち悪い。
「ふぁやくふいて」
「何言ってんのか、わかんねぇな」
歯茎や舌をなぞる指をそのままに愚弄する彼が忌々しい。痛くても噛みついてやろうかと顎に力を込めると、同時に舌の根を強く掴まれた。響く痛みに顎の力が抜け、涙が浮かぶ。痛いと言葉にしたくても上手く動かない口では声も上げられない。どんどんと強くなる痛みに涙がこぼれると、舌を掴む手をそのままにサソリが囁いた。
「オレを退屈させるなよ」
低く艶を含んだ声がゾワリと耳に走る。彼から放たれた不安に返答出来ずにいると、口の中を荒しまわっていた指がそっと離れていく。真っ赤な舌から伸びる銀糸がいやに目についた。
荒々しい足取りで部屋の椅子に腰を下ろす。本当ならば外に出て気分展開をした方が早くこのイライラを解消できるだろう。だが、外に出るにはまた彼らの前を通らなければならない。出て行く方向を間違えた自分にも腹が立つ。このイラつきが解消できるまで部屋で大人しくするしかないと思い、近くにあった雑誌を手に取るも見たいという気持ちにならず、忍術書なんかはもっと眺めたくない。こんな時こそ暴れまわれればと頭を抱えた。
「もう、何で私が我慢しなきゃならないのよ!」
元を正せば喧嘩を売ってきたサソリが悪いというのに。脳裏に浮かぶ真っ赤な髪がこれだからガキはとせせら笑う。容易に浮かぶ見下した態度を思い出して、より胸のムカつきが増す。そんな自分に対して怒るだけ損だ、落ちつこうと深呼吸をする。一向に収まらない怒りに大人しくしているという選択肢は消えた。サソリの顔写真を壁に貼りつけて思いっきりぶん殴る。そう決めると以前角都にもらったビンゴブックを探し始めるのであった。
「あっれー? 何処にしちゃったかなぁ……」
サソリをぶん殴ると決めてから部屋を探し始める事数分。部屋の中はゴミ箱をひっくり返したように散らかっている。しかし、この部屋の主たる青子は気にもかけないで、記憶から薄れつつあるビンゴブックを懸命に探していた。以前、目を通して見かけたら狩っておくようにと言われ渡されたが、自分は賞金首狩りなんて面倒な事はしたくないと思い、はいと元気よく返したもののすぐに放り投げた。それから度々角都にどうだと聞かれていたが、出会っていないとのらりくらりかわしてきた。まさかこんな事に使うとは思いもしなかった。次からはもう少しまともに管理しておこうと意識を改め、気をつけるから早く出てきてくれないかなぁと散らかる部屋を歩きまわる青子の耳に扉の開く音が入った。
「ただいま取り込み中でーす、後にして下さーい」
「……汚ねぇ部屋だな」
扉を背に誰かに向かって声をかければ、今一番聞きたくない声が聞こえ動きを止めた。勢いよく振り返れば呆れた表情を浮かべたサソリが立っている。
「何しに来たのよ」
「てめぇに用があるからわざわざ来てやったんだ、感謝しろ」
壁に背を預け、腕組みをしながら簡潔に答えた彼に怪訝な表情が浮かぶ。先ほどまで睨みあっていた相手に一体何の用があるというのか。まさかさっきの事を根に持っていて、わざわざ仕返しに来たのではないかと青子は考える。その昔デイダラと飛段が餌食になったように、自分も毒薬を盛られるのではないかと身を固くして警戒する。サソリから目を反らさないでいれば、彼が悪かったと口にした。
「……は?」
「オレが悪かった」
夢を見ているのではないかと青子は思わず自分の頬を抓ってみる。じんわりと広がる痛みに夢でないと理解し、眉をひそめた。困惑している彼女を黙って見ていたサソリが何だその顔は、と話しかければ青子はおどおどしながら己の考えを口にした。
「いや、だって……まさか謝られるとは思ってなかったから」
「悪いと思ったから謝った、おかしな事じゃねぇだろ?」
表情を見る限り嘘をついているようには見えない。素直に謝罪をしたサソリに対して少しずつ罪悪感が沸いてくる。勢い任せに自分は彼の事を『お人形』と言った。事実ではあるが、だからと言ってバカにしていい理由にはならない。大人であるサソリから謝罪してくれたのだ、ならば自分もきちんと謝ろう。此処で意固地になってしまったらそれこそガキのままだ。
「私こそごめんなさい、言い過ぎました」
部屋の入口に立つサソリに近づいて、頭を垂れる。顔を上げろと言った彼の表情を見れば、イラつきは去っているようだ。そして、そう言えばお前は何をしていたんだと新たな疑問を投げかけられる。
「ちょっとね……」
ビンゴブックに載る貴方をぶん殴ろうとしていました、なんて口が裂けても言えない。もし、間違って伝えようものならまた喧嘩になってしまう。探しものをしていたらこんなになっちゃって、と半分本当の事を言えば手伝ってやろうかと返ってくる。普段なら絶対に口にしないであろう言葉に、青子の背中に汗が伝う。これ以上、踏み込んでこないでくれというのが本音だ。
「多分捨てちゃったと思うの!」
「そうか? なら片付けを手伝ってやる」
「あ、ありがと」
いつもは口が悪くて、手伝うなんて一度もしてくれた事がないのに今日は随分と優しい。彼なりに気を遣ってくれているならば嬉しいなぁ、と思いながらお願いしますと部屋に招き入れた。サソリがゆっくりと扉を閉めたのを見届け背を向けながら、じゃあこっちからお願いと言葉を紡ごうとした瞬間、口に圧力を感じる。それだけじゃない、さっきまで自由だった腕も動かない。何が起こったと混乱する頭で状況を把握しようと努める彼女の耳元で、事を起こした張本人のサソリが嘲笑を上げた。
「簡単に引っかかってくれるなんて、バカだな」
「……っ!」
耳元でくつくつ笑うサソリに、青子は騙されたのだと気づく。謝罪なんかする気は初めからなく、油断させる為にわざわざあんな一芝居を打ったのだ。性格の悪いヤツだと収まっていた怒りが増幅する。しかし、身動きが取れない以上、声を張り上げる事も暴れる事も出来ない。きっと、体を拘束するのはご自慢のチャクラ糸だろう。落ち着いて対処しようと息を吐いた彼女の口に、何かが侵入してきた。
「オレを怒らせた事……後悔させてやる」
彼の言葉を聞いて背筋に震えが走る。一体これからどんな事をさせられるのか……。不安を隠しきれない青子が口元へと視線を向ければ、彼の腕が見える。舌に当たる硬さは傀儡の指で間違いないだろう。普通なら噛みつけば解放されそうであるが、彼にしたところで意味がない。それどころか自分が痛い思いをする。冷静に分析をしていると口の中にいる指がゆっくりと動き始めた。異物が
「ふぁやくふいて」
「何言ってんのか、わかんねぇな」
歯茎や舌をなぞる指をそのままに愚弄する彼が忌々しい。痛くても噛みついてやろうかと顎に力を込めると、同時に舌の根を強く掴まれた。響く痛みに顎の力が抜け、涙が浮かぶ。痛いと言葉にしたくても上手く動かない口では声も上げられない。どんどんと強くなる痛みに涙がこぼれると、舌を掴む手をそのままにサソリが囁いた。
「オレを退屈させるなよ」
低く艶を含んだ声がゾワリと耳に走る。彼から放たれた不安に返答出来ずにいると、口の中を荒しまわっていた指がそっと離れていく。真っ赤な舌から伸びる銀糸がいやに目についた。