頂き物
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他人のモノが欲しい。サソリがそう思ったのは幼い時からだった。
サソリは幼い頃、戦争で両親を失った。祖母のチヨはサソリを心から愛していた。しかしサソリにはそれがうまく伝わることがなかったのだ。サソリには本物の親に手を繋がれ、遊びに行った記憶なんてない。サソリがうまれた頃は、戦争で里は荒れ、たくさんの人が死んでいった時代だったからである。
チヨがいくらサソリに目を向けても、サソリに愛情を与えられるのは両親しかいなかったのだ。サソリは常に戦争を終えて平和になった世界を想像した。アカデミーから帰ると母親が「おかえりなさい。」と言い、美味しい夕食を作ってくれる。休日には父親と修行して立派な忍になる。そんな姿を思い描いていたのだ。でも手を伸ばしても、大切な何かを手に入れることは出来なかった。現実というモノのは残酷らしい。
そんなサソリが歪んだのも、愛情不足と一言で片付ける訳ではないが、多くはそれが影響していた。その結果、大切な何か、を手に入れるには他人の大切なモノを奪うことで解決すると思ったらしい。サソリは強い忍を殺し、傀儡にすることで、その忍が使用していた術自体を手にすることが出来る人傀儡を開発した。そこからは狂ったように他者を殺めていった。人を殺すとその人物が愛されて、大切にされていたことが多いとサソリは知った。その人物の周りにいた人間は悲しみ、泣き、だんだんと死を受け入れていく。サソリはそれを見ることも好きだったのだ。あの砂隠れ最強と言われた、三代目風影を殺し、人傀儡にした時はその瞬間を一番感じたようだ。里の全員が三代目の死を悲しんでいた。みんなが愛する三代目を自分のモノに出来たことに、サソリは幸福を感じたのだ。
それから暁に入り、サソリには一人の少女が目に映っていた。その少女の名は青子といった。
青子はデイダラと恋仲であった。サソリはいつしか、あの時と同じような感覚を味わいたいと思うようになっていた。三代目を含め、これまで計九十八体の傀儡を作ったが、なかなか三代目を超える幸福に出会えたことはなかったのだ。そしてそこにあらわれたのが、青子である。青子は暁のメンバーというより、サソリにとってのカブトや由良のような部下に当たる立ち位置だった。所謂、デイダラの部下である。しかし、ただ部下というよりは明らかに互いを好いている関係だったのだ。二人がこっそりアジトで手を繋ぎ、互いの名前を呼んでいるところもサソリは何回も目撃していた。サソリは特にそのことをデイダラに言及することはなかった。でもサソリは青子を自分のモノにしたいとふつふつとその想いを募らせていたのである。
その想いを感じた時からだった。サソリは青子に対して、自分へ好意を持たせるように仕向けていった。無駄に名前を呼び、青子に任務を渡し、デイダラから離れるよう誘導した。任務を成功させると、頭を撫で、口角をあげて笑ってみせた。青子はデイダラのモノだが、自分のモノしたい。そう思って行っていた。
しかし、現実はそう簡単にいくものではない。どう頑張っても青子はサソリに振り向くことはなく、青子の心の中にはいつもデイダラがいた。デイダラが笑えば青子も笑う。その一方で、サソリが笑っても青子は表情を変えることはなかった。青子にはサソリはただの上司に過ぎないのだ。任務をこなし、褒められたとしても、青子にはデイダラのために間接的になったとしか感じないようだ。サソリはそんな青子に対して、愛情をどんどん注ぐようになった。自分の方へ向け、とそれは狂気へと変わっていったのだ。
サソリはついに青子を捕まえて、誰も侵入出来ないように結界を張った部屋へ閉じ込めてしまった。
▼▼▼
青子が目を覚ますと、そこにはなにもなくただベッドの上に身体を固定されているだけだった。首を横に動かして周りをみても、白い壁が続いているだけ。窓もなく、天井も床も壁と同じ白。声をだして助けを呼んでも、自分の声が部屋に反響するだけだ。青子がもう一度声を出すと、白い壁の一部がゆっくり動き、そこにはサソリがニヤニヤと笑いながら立っていたのだ。
「サソリ様…?」
「青子、起きたか。」
サソリは青子に近づくと、頬にキスをした。青子はサソリの行動に口を開く。普段のサソリからはあり得ない行動だったからだ。青子の頭の中は、何故サソリがこんなことをするのかが分かっていなかった。何故、サソリが自分にキスをしたのだろう。青子は考えても答えが見つからない問題にぶつかった。
そんな青子のことを知らないサソリは、青子の驚いた表情をみて、目を細める。これが自分のモノになると思うと、楽しみで仕方がなかったようだ。
「サソリ様っ、申し訳ないのですが……。」
しかしサソリが青子の心の中を読めないように、青子もまたサソリの心の中は読めていないのだ。青子は自分がてっきり敵につかまったと思い、サソリにこの拘束を解くようにお願いした。
さっきまで笑っていたサソリの表情が一変したのを青子はすぐに理解した。そして自分は敵に捕らえられたのではなく、サソリの手によってこの状況にされているということも理解した。
「何故、サソリ様が私なんかを……?」
青子はサソリの行動の答えを知ろうと質問を投げかけた。だが、この質問はサソリにとっては大きな地雷だった。サソリは青子の首を強く絞めて、怒りを露わにした。
「っ、くるし、い……!」
青子にはサソリが恐怖へと変わっていた。何故いきなりキスをされ、そうしたら首を絞められているのか。サソリが怖い。はやく帰ってデイダラに会いたい。こんなところから早く抜け出したい。青子はそう強く願った。
そうして青子の監禁生活が始まった。一日中青子はサソリにただただ見られる生活だった。食事は一日一回、すべてサソリの手から渡されていった。親鳥が雛へ餌を分け与えるように、青子もサソリの手から全て食べ物を渡された。青子はだらしなく口を開いて食事を入れてもらうのを待つしか出来なかった。トイレと風呂も可能だが、必ずサソリのいる前で行うことが条件だった。他人に排泄行為を見られることは青子にとって一番の苦痛だった。入浴も青子は動くことが許されず、サソリに身体を丁寧に洗われるのを我慢しか出来ない。それ以外は一日中ベッドに横になって、サソリの視線を常に感じていた。
だんだんと青子の生活にサソリが侵食していった。恐怖によって出来た心の隙間に、サソリが一日中自分のお世話をする。青子が堕ちたのは、サソリが青子を監禁して二か月が経った時だった。
なんと青子はあんなに恐怖を感じていたサソリに愛の言葉を吐くようになっていた。
好きです、愛しています、私をもっとサソリ様のモノにして下さい……。
サソリは最初青子の言葉に少なからず疑いをもっていた。この場所から逃げ出したい、と青子が思ってそう言ったと考えていたのだ。しかし、三ヶ月も経つと青子の言葉は本心から出たものだとサソリは確信するようになった。
「…サソリ様、発言してもよろしいでしょうか?」
「……ああ、なんだ。」
「ああ……。ありがとうございます。」
青子は恍惚そうにサソリを見つめた。そして消え入りそうな声で「私をここから出さないで下さい…。ずっと閉じ込めてサソリ様のモノにして下さいませ……。」と言ったのだ。
サソリはその瞬間に青子がやっと自分のモノになったと喜んだ。三ヶ月もこの青子という少女に時間を使ったのだ。サソリはその幸福を噛みしめながら、青子のことを目に焼き付けた。
しかしサソリにはこれから青子をどうしたらいいのかを思いつかなかったのだ。青子がデイダラの部下であり、優秀な忍であることは理解していたが、三ヶ月も横になっていてまともに食事も与えていなかったため青子はがりがりにやせ細ってしまった。更に排泄行為もサソリが一人で行っていいと許可しても青子は一人で行くことはなく、そのままサソリが放置したらその場で漏らすようになっていた。そして青子の一番の魅力である、デイダラだけに見せていた表情もしなくなった。その表情をサソリへ向けると思っていたのに、青子の表情はサソリへの愛ではなく、サソリへ何かを縋るような表情だったのだ。
人傀儡にするには不十分なモノであり、愛を埋めるには違いすぎるモノに青子は変わってしまっていた。青子は壊れてしまったのだ。家畜のように命令をしないと何も出来ず、豊かだった表情はまるで傀儡のように。サソリは青子を見つめることを止め、その部屋に行かなくなっていた。一言でいうと、飽きたのだ。青子という存在に。
デイダラもいなくなった青子のことはすっかり忘れて、アジトにまた新しい部下と言う名の恋人を連れ込んでいた。二人が楽しそうに笑う様子をサソリは遠くから見つめて、こう思った。
今度はアイツにしよう。次は失敗作を作らないように、と。
サソリは幼い頃、戦争で両親を失った。祖母のチヨはサソリを心から愛していた。しかしサソリにはそれがうまく伝わることがなかったのだ。サソリには本物の親に手を繋がれ、遊びに行った記憶なんてない。サソリがうまれた頃は、戦争で里は荒れ、たくさんの人が死んでいった時代だったからである。
チヨがいくらサソリに目を向けても、サソリに愛情を与えられるのは両親しかいなかったのだ。サソリは常に戦争を終えて平和になった世界を想像した。アカデミーから帰ると母親が「おかえりなさい。」と言い、美味しい夕食を作ってくれる。休日には父親と修行して立派な忍になる。そんな姿を思い描いていたのだ。でも手を伸ばしても、大切な何かを手に入れることは出来なかった。現実というモノのは残酷らしい。
そんなサソリが歪んだのも、愛情不足と一言で片付ける訳ではないが、多くはそれが影響していた。その結果、大切な何か、を手に入れるには他人の大切なモノを奪うことで解決すると思ったらしい。サソリは強い忍を殺し、傀儡にすることで、その忍が使用していた術自体を手にすることが出来る人傀儡を開発した。そこからは狂ったように他者を殺めていった。人を殺すとその人物が愛されて、大切にされていたことが多いとサソリは知った。その人物の周りにいた人間は悲しみ、泣き、だんだんと死を受け入れていく。サソリはそれを見ることも好きだったのだ。あの砂隠れ最強と言われた、三代目風影を殺し、人傀儡にした時はその瞬間を一番感じたようだ。里の全員が三代目の死を悲しんでいた。みんなが愛する三代目を自分のモノに出来たことに、サソリは幸福を感じたのだ。
それから暁に入り、サソリには一人の少女が目に映っていた。その少女の名は青子といった。
青子はデイダラと恋仲であった。サソリはいつしか、あの時と同じような感覚を味わいたいと思うようになっていた。三代目を含め、これまで計九十八体の傀儡を作ったが、なかなか三代目を超える幸福に出会えたことはなかったのだ。そしてそこにあらわれたのが、青子である。青子は暁のメンバーというより、サソリにとってのカブトや由良のような部下に当たる立ち位置だった。所謂、デイダラの部下である。しかし、ただ部下というよりは明らかに互いを好いている関係だったのだ。二人がこっそりアジトで手を繋ぎ、互いの名前を呼んでいるところもサソリは何回も目撃していた。サソリは特にそのことをデイダラに言及することはなかった。でもサソリは青子を自分のモノにしたいとふつふつとその想いを募らせていたのである。
その想いを感じた時からだった。サソリは青子に対して、自分へ好意を持たせるように仕向けていった。無駄に名前を呼び、青子に任務を渡し、デイダラから離れるよう誘導した。任務を成功させると、頭を撫で、口角をあげて笑ってみせた。青子はデイダラのモノだが、自分のモノしたい。そう思って行っていた。
しかし、現実はそう簡単にいくものではない。どう頑張っても青子はサソリに振り向くことはなく、青子の心の中にはいつもデイダラがいた。デイダラが笑えば青子も笑う。その一方で、サソリが笑っても青子は表情を変えることはなかった。青子にはサソリはただの上司に過ぎないのだ。任務をこなし、褒められたとしても、青子にはデイダラのために間接的になったとしか感じないようだ。サソリはそんな青子に対して、愛情をどんどん注ぐようになった。自分の方へ向け、とそれは狂気へと変わっていったのだ。
サソリはついに青子を捕まえて、誰も侵入出来ないように結界を張った部屋へ閉じ込めてしまった。
青子が目を覚ますと、そこにはなにもなくただベッドの上に身体を固定されているだけだった。首を横に動かして周りをみても、白い壁が続いているだけ。窓もなく、天井も床も壁と同じ白。声をだして助けを呼んでも、自分の声が部屋に反響するだけだ。青子がもう一度声を出すと、白い壁の一部がゆっくり動き、そこにはサソリがニヤニヤと笑いながら立っていたのだ。
「サソリ様…?」
「青子、起きたか。」
サソリは青子に近づくと、頬にキスをした。青子はサソリの行動に口を開く。普段のサソリからはあり得ない行動だったからだ。青子の頭の中は、何故サソリがこんなことをするのかが分かっていなかった。何故、サソリが自分にキスをしたのだろう。青子は考えても答えが見つからない問題にぶつかった。
そんな青子のことを知らないサソリは、青子の驚いた表情をみて、目を細める。これが自分のモノになると思うと、楽しみで仕方がなかったようだ。
「サソリ様っ、申し訳ないのですが……。」
しかしサソリが青子の心の中を読めないように、青子もまたサソリの心の中は読めていないのだ。青子は自分がてっきり敵につかまったと思い、サソリにこの拘束を解くようにお願いした。
さっきまで笑っていたサソリの表情が一変したのを青子はすぐに理解した。そして自分は敵に捕らえられたのではなく、サソリの手によってこの状況にされているということも理解した。
「何故、サソリ様が私なんかを……?」
青子はサソリの行動の答えを知ろうと質問を投げかけた。だが、この質問はサソリにとっては大きな地雷だった。サソリは青子の首を強く絞めて、怒りを露わにした。
「っ、くるし、い……!」
青子にはサソリが恐怖へと変わっていた。何故いきなりキスをされ、そうしたら首を絞められているのか。サソリが怖い。はやく帰ってデイダラに会いたい。こんなところから早く抜け出したい。青子はそう強く願った。
そうして青子の監禁生活が始まった。一日中青子はサソリにただただ見られる生活だった。食事は一日一回、すべてサソリの手から渡されていった。親鳥が雛へ餌を分け与えるように、青子もサソリの手から全て食べ物を渡された。青子はだらしなく口を開いて食事を入れてもらうのを待つしか出来なかった。トイレと風呂も可能だが、必ずサソリのいる前で行うことが条件だった。他人に排泄行為を見られることは青子にとって一番の苦痛だった。入浴も青子は動くことが許されず、サソリに身体を丁寧に洗われるのを我慢しか出来ない。それ以外は一日中ベッドに横になって、サソリの視線を常に感じていた。
だんだんと青子の生活にサソリが侵食していった。恐怖によって出来た心の隙間に、サソリが一日中自分のお世話をする。青子が堕ちたのは、サソリが青子を監禁して二か月が経った時だった。
なんと青子はあんなに恐怖を感じていたサソリに愛の言葉を吐くようになっていた。
好きです、愛しています、私をもっとサソリ様のモノにして下さい……。
サソリは最初青子の言葉に少なからず疑いをもっていた。この場所から逃げ出したい、と青子が思ってそう言ったと考えていたのだ。しかし、三ヶ月も経つと青子の言葉は本心から出たものだとサソリは確信するようになった。
「…サソリ様、発言してもよろしいでしょうか?」
「……ああ、なんだ。」
「ああ……。ありがとうございます。」
青子は恍惚そうにサソリを見つめた。そして消え入りそうな声で「私をここから出さないで下さい…。ずっと閉じ込めてサソリ様のモノにして下さいませ……。」と言ったのだ。
サソリはその瞬間に青子がやっと自分のモノになったと喜んだ。三ヶ月もこの青子という少女に時間を使ったのだ。サソリはその幸福を噛みしめながら、青子のことを目に焼き付けた。
しかしサソリにはこれから青子をどうしたらいいのかを思いつかなかったのだ。青子がデイダラの部下であり、優秀な忍であることは理解していたが、三ヶ月も横になっていてまともに食事も与えていなかったため青子はがりがりにやせ細ってしまった。更に排泄行為もサソリが一人で行っていいと許可しても青子は一人で行くことはなく、そのままサソリが放置したらその場で漏らすようになっていた。そして青子の一番の魅力である、デイダラだけに見せていた表情もしなくなった。その表情をサソリへ向けると思っていたのに、青子の表情はサソリへの愛ではなく、サソリへ何かを縋るような表情だったのだ。
人傀儡にするには不十分なモノであり、愛を埋めるには違いすぎるモノに青子は変わってしまっていた。青子は壊れてしまったのだ。家畜のように命令をしないと何も出来ず、豊かだった表情はまるで傀儡のように。サソリは青子を見つめることを止め、その部屋に行かなくなっていた。一言でいうと、飽きたのだ。青子という存在に。
デイダラもいなくなった青子のことはすっかり忘れて、アジトにまた新しい部下と言う名の恋人を連れ込んでいた。二人が楽しそうに笑う様子をサソリは遠くから見つめて、こう思った。
今度はアイツにしよう。次は失敗作を作らないように、と。