正しいペットのしつけ方
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「いい男って何処で会えるんだろう? 此処にはまともな男なんていないし……」
薄暗い暁のアジトの奥で難しい顔をしている女・青子は深いため息をつきながら愚痴を溢した。彼女の悩みは良い男に出会えない事である。彼女の言う良い男とは見た目が麗しく、背が高く、頭も良い。それに性格も穏やかで優しく、羽振りも良くて、自分の全てを受け入れてくれる男の事である。そんな都合の良い、いわば聖人君主のような人間が存在するのかそもそも怪しい。もし存在していても犯罪者である彼女を選ぶかも問題となろう。
突如、響いた失礼な発言に同じ空間にいる同僚達の一人、飛段が聞き捨てならないと噛みついてきた。立ちあがり、未だ唸る彼女に近づくとこめかみをヒクつかせながらおいとイラつきを隠さないで声を上げる。呼び声に考えを中断し顔を向ければ、飛段は己に向かって親指を差した。
「此処にいるだろーが!」
「何の冗談よ!」
飛段の台詞が耳に入ると憂いから一変して青子は口を曲げて喚いた。そして、何処がいい男よ! ほど遠いわ! と返し、一人一人に指を向けながら己の感想を溢す。目の前の飛段には快楽殺人狂、その奥で目を瞑っているイタチには何を考えているかわからないつまらない男、事の経緯を見ている鬼鮫には丁寧口調の戦闘狂、粘土を捏ねているデイダラには粘土遊びが止められないくそガキ、一枚一枚間違えないように銭勘定をしている角都には守銭奴のジジイ、そして黙々と傀儡整備を行っているサソリにはそもそも人間を止めたヤツなんか選択肢に入る訳がないと言いきる。本人を前にして悪口を放った青子にそういうてめーだって鼻ったれじゃねーか! と飛段が言い返せば、こんなにいい女が分からないなんてあんたの目は節穴ねと鼻で笑いながら減らず口を叩く。いつまでも続きそうな口喧嘩に待ったをかけたのは意外にもこの喧騒を楽しんでいそうな鬼鮫であった。
「落ち着いて下さい、二人とも」
「こいつが喧嘩ふっかけてきたんだっつーの」
「私は思った事を口にしただけよ」
今にも殺し合いを始めそうな雰囲気の二人にまぁまぁと声をかけながらなだめる。次いで互いを睨む二人に我々がまともではないなんてこの組織に身を置いている時点で分かりきっている事でしょうと告げた。鬼鮫の的確な発言にいがみ合っていた二人は言葉を失くす。正論過ぎて何も言い返せないのだ。舌打ちを落とす飛段と、不服を隠さない青子。とりあえず言い争いは収まったと息を吐く鬼鮫の心中を察さず、むしろこの状況の悪化をさせたいと思う者が口を開いた。
「お前の言う良い男ってのはどんな奴だ?」
「……サソリさん」
手を止めずに、視線も傀儡に向けたままサソリが口を開いた。暁でも古株に入る彼に、鬼鮫を始めとした若手は強く出られない。短気な性格の彼につっかかれば後々に面倒事が起こるからだ。以前、任務の事でデイダラと飛段が喧嘩を起こした際、うるさいからという理由で自作の毒薬を盛ったのだ。死なない程度には気をつけたとあっさり告げていたが、盛られた二人は強い腹痛に悩まされ三日三晩寝込んだ。毒薬が抜けた頃、頬は痩せこけ、顔面は青を通り越して白い顔になっていた。あまりにも悲惨な表情に遠目から見ていた鬼鮫とイタチは逆らうのは己の為に良くないと心に誓ったくらいである。
「カッコよくて、背が高くて、お金持ちで、優しくて、他には……」
「下らねぇ、お前に従順な男が欲しいって訳か? 小娘相手に誰が言う事を聞くんだ」
目を輝かせて理想を語る青子。彼女の口から次々と単語が飛び出すたびにサソリの表情は馬鹿らしいと呆れたものになっていく。彼女が指を四本折り曲げたところで、聞くに耐えなくなり下らないと切り捨てれば、話を折られた彼女が頬を膨らませむっつりとした。青子の不機嫌な表情を目にすると、止めにもっと現実を見ろと放つ。サソリの口が閉じきる前に拳をギュッと強く握り、体を小刻みに震わせる彼女の怒りが爆発した。
「あんたみたいに人間捨てたヤツに何が分かるのよ!」
「……何だと、小娘?」
「そうでしょ? だってあんたもうお人形さんなんだから、人間の気持ちなんか分かる訳ないのよ!」
ふんと鼻を鳴らす青子と、言い返された苛立ちで歪む表情のサソリ。以前の喧騒を思い出した鬼鮫は、何か起きそうだと背筋を震わせる。自分の事ではない以上、二人がどんな喧嘩を起こそうが一向に構わない。だが、迷惑が降りかかるのはご免被る。未だ視線を合わせ、いがみ合っている二人を尻目に他の面々へと視線を送れば、皆が皆、苦虫を噛み潰したような表情を浮かべていた。特に地雷を踏み抜いたデイダラと飛段の両者は過去を思い出したのだろう、顔から大量の汗を滲ませている。何も起こらないのを期待するのはムリだ。
無言で睨みあっていた二人。終止符を打ったのは、青子の方だった。顔を見たくないと捨て台詞を吐き、背を向けて去って行く。そんな彼女の背を鋭い眼光と歯ぎしりをしながら憎々しさを隠さないサソリ。近くで彼の行動を見続けていたデイダラは強い怒りを感じ少しだけ距離を取る。その時、サソリの歪んでいた口元がにたりと愉悦を浮かべたのを見逃さなかった。あぁ、何か悪巧みでも思いついたのかと長い付き合いで察したデイダラは心の中で青子に向かい頑張れとエールを送るのであった。
薄暗い暁のアジトの奥で難しい顔をしている女・青子は深いため息をつきながら愚痴を溢した。彼女の悩みは良い男に出会えない事である。彼女の言う良い男とは見た目が麗しく、背が高く、頭も良い。それに性格も穏やかで優しく、羽振りも良くて、自分の全てを受け入れてくれる男の事である。そんな都合の良い、いわば聖人君主のような人間が存在するのかそもそも怪しい。もし存在していても犯罪者である彼女を選ぶかも問題となろう。
突如、響いた失礼な発言に同じ空間にいる同僚達の一人、飛段が聞き捨てならないと噛みついてきた。立ちあがり、未だ唸る彼女に近づくとこめかみをヒクつかせながらおいとイラつきを隠さないで声を上げる。呼び声に考えを中断し顔を向ければ、飛段は己に向かって親指を差した。
「此処にいるだろーが!」
「何の冗談よ!」
飛段の台詞が耳に入ると憂いから一変して青子は口を曲げて喚いた。そして、何処がいい男よ! ほど遠いわ! と返し、一人一人に指を向けながら己の感想を溢す。目の前の飛段には快楽殺人狂、その奥で目を瞑っているイタチには何を考えているかわからないつまらない男、事の経緯を見ている鬼鮫には丁寧口調の戦闘狂、粘土を捏ねているデイダラには粘土遊びが止められないくそガキ、一枚一枚間違えないように銭勘定をしている角都には守銭奴のジジイ、そして黙々と傀儡整備を行っているサソリにはそもそも人間を止めたヤツなんか選択肢に入る訳がないと言いきる。本人を前にして悪口を放った青子にそういうてめーだって鼻ったれじゃねーか! と飛段が言い返せば、こんなにいい女が分からないなんてあんたの目は節穴ねと鼻で笑いながら減らず口を叩く。いつまでも続きそうな口喧嘩に待ったをかけたのは意外にもこの喧騒を楽しんでいそうな鬼鮫であった。
「落ち着いて下さい、二人とも」
「こいつが喧嘩ふっかけてきたんだっつーの」
「私は思った事を口にしただけよ」
今にも殺し合いを始めそうな雰囲気の二人にまぁまぁと声をかけながらなだめる。次いで互いを睨む二人に我々がまともではないなんてこの組織に身を置いている時点で分かりきっている事でしょうと告げた。鬼鮫の的確な発言にいがみ合っていた二人は言葉を失くす。正論過ぎて何も言い返せないのだ。舌打ちを落とす飛段と、不服を隠さない青子。とりあえず言い争いは収まったと息を吐く鬼鮫の心中を察さず、むしろこの状況の悪化をさせたいと思う者が口を開いた。
「お前の言う良い男ってのはどんな奴だ?」
「……サソリさん」
手を止めずに、視線も傀儡に向けたままサソリが口を開いた。暁でも古株に入る彼に、鬼鮫を始めとした若手は強く出られない。短気な性格の彼につっかかれば後々に面倒事が起こるからだ。以前、任務の事でデイダラと飛段が喧嘩を起こした際、うるさいからという理由で自作の毒薬を盛ったのだ。死なない程度には気をつけたとあっさり告げていたが、盛られた二人は強い腹痛に悩まされ三日三晩寝込んだ。毒薬が抜けた頃、頬は痩せこけ、顔面は青を通り越して白い顔になっていた。あまりにも悲惨な表情に遠目から見ていた鬼鮫とイタチは逆らうのは己の為に良くないと心に誓ったくらいである。
「カッコよくて、背が高くて、お金持ちで、優しくて、他には……」
「下らねぇ、お前に従順な男が欲しいって訳か? 小娘相手に誰が言う事を聞くんだ」
目を輝かせて理想を語る青子。彼女の口から次々と単語が飛び出すたびにサソリの表情は馬鹿らしいと呆れたものになっていく。彼女が指を四本折り曲げたところで、聞くに耐えなくなり下らないと切り捨てれば、話を折られた彼女が頬を膨らませむっつりとした。青子の不機嫌な表情を目にすると、止めにもっと現実を見ろと放つ。サソリの口が閉じきる前に拳をギュッと強く握り、体を小刻みに震わせる彼女の怒りが爆発した。
「あんたみたいに人間捨てたヤツに何が分かるのよ!」
「……何だと、小娘?」
「そうでしょ? だってあんたもうお人形さんなんだから、人間の気持ちなんか分かる訳ないのよ!」
ふんと鼻を鳴らす青子と、言い返された苛立ちで歪む表情のサソリ。以前の喧騒を思い出した鬼鮫は、何か起きそうだと背筋を震わせる。自分の事ではない以上、二人がどんな喧嘩を起こそうが一向に構わない。だが、迷惑が降りかかるのはご免被る。未だ視線を合わせ、いがみ合っている二人を尻目に他の面々へと視線を送れば、皆が皆、苦虫を噛み潰したような表情を浮かべていた。特に地雷を踏み抜いたデイダラと飛段の両者は過去を思い出したのだろう、顔から大量の汗を滲ませている。何も起こらないのを期待するのはムリだ。
無言で睨みあっていた二人。終止符を打ったのは、青子の方だった。顔を見たくないと捨て台詞を吐き、背を向けて去って行く。そんな彼女の背を鋭い眼光と歯ぎしりをしながら憎々しさを隠さないサソリ。近くで彼の行動を見続けていたデイダラは強い怒りを感じ少しだけ距離を取る。その時、サソリの歪んでいた口元がにたりと愉悦を浮かべたのを見逃さなかった。あぁ、何か悪巧みでも思いついたのかと長い付き合いで察したデイダラは心の中で青子に向かい頑張れとエールを送るのであった。