障子目蔵
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お前のせいでこんなことになってんだよ、って言ったら障子くん目に見えて顔色悪くなってた。笑っちゃったよね。あんたがカッコつけて異形の口ふさいだせいで私ら異形はまた静かに「フツウ」の奴らから殴られるサンドバッグになるしかなくなっちゃった。あのとき、障子くんが異形個性の革命を止めたから。お前だけいいかっこして、「フツウ」の奴らに受け入れられているお前は安全なところにいるから、そうやって綺麗事言えるんだよ。
だからそう、この感情は失恋というより失望に近いんだと思う。勝手に理想像を形作ってその形から外れたからって怒ってんだ。私は。
「この傷も、このアザもそう。フツウのやつらにやられたんだよ。障子くんがフツウのやつに囲まれて、安全圏から綺麗事いったせいで」
「それは、その田中さんに暴力を振るったやつが悪いんだ」
「俺のせいじゃないって? ふざけんなよ。あのとき異形の革命が成功してたらフツウのやつらがあんなふうにでかいツラするようなことにはならなかった、お前のせいで、お前の」
「違う、違う。暴力は振るう側が悪くて」
「だからそれが綺麗事だって言ってんだよ。暴力振るう側が悪いことだと認識するまでどれだけの異形が殺されると思ってんだよ。奴ら、害虫駆除ぐらいにしか思ってないんだよ。同じ人間だと思われてないんだよ。障子くん、きみもきっと……クラスメイトは優しくしてくれてるだろうけど、裏では」
「それは違う。それだけは断言できる。あいつらはそんなことする奴らじゃない。それだけは訂正してほしい。田中さん。俺は常に正しくありたいと思っている。けれど、ときに間違えてしまうこともあると思う。綺麗事に聞こえてしまうこともあると思う。それでも、俺はヒーローだから……綺麗事だとしても唱え続ける必要があるんだ。異形個性を持ったヒーロー像として」
なんかそんな、カッコいいこと言っちゃってさ。私が好きになった障子目蔵の顔をしていたんだ。
「……ごめん、他の人にまで悪く言ったのは謝るよ。でもなんでそんなイバラの道を歩こうとするのさ」
「それは……そうだな。たとえイバラの道だとしても、俺が先に歩けば道になるだろう。そうしたら、田中さんも、ほかの異形個性のみんなも歩きやすくなるだろう」
まばゆい。魂に光がともるのなら、間違いなく目を焦がす光を網膜にとどけるのだろう。私は直視しないように目を細め、そうなんだ、やさしいんだねと言った。
「優しさだけでは、お題目だけでは人を救えないから、こうして突っかかってくる人がいた方が張り合いがある」
「そう、じゃあまたチクチクしちゃるわ」
「そうしてくれ。できればプロになっても」
「なにそれ」
こんなに強い光を浴びて蝋の翼がとけないやつがいるかよ。ふざけんな。卒業したらバイバイだよ。
私は時々テレビやネットニュースで出てくる障子くんを見ては痛みが走るような錯覚に襲われる。ただ一人理想を追って努力する人を腐すようなことをした自分を思い出しては失恋に似た失望がよみがえる。未だにイヤなこというフツウの奴らはいるけど、だいぶマシになった。とりあえず学校通えるし、制服を切られたり汚されたりしないし、殴られる回数もだいぶ減った。けど、けどね。障子が結婚を考えてたコの親に差別を受けて付き合ってたコと別れたと聞いた。それでも、まだあんなこと言えるのかな。知りたいような知りたくないような気がして、その痛みに私なら寄り添えると手を差し伸べたくなって……そして、やめた。そんな傷の舐め合いみたいなことしなくてもきっと障子くんは平気なんだと思う。殴られても、排除されても平気だったんでしょ、結果的に。だから雄英に入ってるんだよね。だから希望を持っていられるんだよね。待ってるよ、もうなんの希望゚もなくしてしまったら私があなたを救ってみせる。笑ったりなんかしない。綺麗事だったよね?なんて意地悪もしない。やさしく抱きとめて守ってあげるよ。
2023年2月4日
2023年2月3日 オールジャンル失恋夢オンリーイベント「大失恋祭」投稿作品
だからそう、この感情は失恋というより失望に近いんだと思う。勝手に理想像を形作ってその形から外れたからって怒ってんだ。私は。
「この傷も、このアザもそう。フツウのやつらにやられたんだよ。障子くんがフツウのやつに囲まれて、安全圏から綺麗事いったせいで」
「それは、その田中さんに暴力を振るったやつが悪いんだ」
「俺のせいじゃないって? ふざけんなよ。あのとき異形の革命が成功してたらフツウのやつらがあんなふうにでかいツラするようなことにはならなかった、お前のせいで、お前の」
「違う、違う。暴力は振るう側が悪くて」
「だからそれが綺麗事だって言ってんだよ。暴力振るう側が悪いことだと認識するまでどれだけの異形が殺されると思ってんだよ。奴ら、害虫駆除ぐらいにしか思ってないんだよ。同じ人間だと思われてないんだよ。障子くん、きみもきっと……クラスメイトは優しくしてくれてるだろうけど、裏では」
「それは違う。それだけは断言できる。あいつらはそんなことする奴らじゃない。それだけは訂正してほしい。田中さん。俺は常に正しくありたいと思っている。けれど、ときに間違えてしまうこともあると思う。綺麗事に聞こえてしまうこともあると思う。それでも、俺はヒーローだから……綺麗事だとしても唱え続ける必要があるんだ。異形個性を持ったヒーロー像として」
なんかそんな、カッコいいこと言っちゃってさ。私が好きになった障子目蔵の顔をしていたんだ。
「……ごめん、他の人にまで悪く言ったのは謝るよ。でもなんでそんなイバラの道を歩こうとするのさ」
「それは……そうだな。たとえイバラの道だとしても、俺が先に歩けば道になるだろう。そうしたら、田中さんも、ほかの異形個性のみんなも歩きやすくなるだろう」
まばゆい。魂に光がともるのなら、間違いなく目を焦がす光を網膜にとどけるのだろう。私は直視しないように目を細め、そうなんだ、やさしいんだねと言った。
「優しさだけでは、お題目だけでは人を救えないから、こうして突っかかってくる人がいた方が張り合いがある」
「そう、じゃあまたチクチクしちゃるわ」
「そうしてくれ。できればプロになっても」
「なにそれ」
こんなに強い光を浴びて蝋の翼がとけないやつがいるかよ。ふざけんな。卒業したらバイバイだよ。
私は時々テレビやネットニュースで出てくる障子くんを見ては痛みが走るような錯覚に襲われる。ただ一人理想を追って努力する人を腐すようなことをした自分を思い出しては失恋に似た失望がよみがえる。未だにイヤなこというフツウの奴らはいるけど、だいぶマシになった。とりあえず学校通えるし、制服を切られたり汚されたりしないし、殴られる回数もだいぶ減った。けど、けどね。障子が結婚を考えてたコの親に差別を受けて付き合ってたコと別れたと聞いた。それでも、まだあんなこと言えるのかな。知りたいような知りたくないような気がして、その痛みに私なら寄り添えると手を差し伸べたくなって……そして、やめた。そんな傷の舐め合いみたいなことしなくてもきっと障子くんは平気なんだと思う。殴られても、排除されても平気だったんでしょ、結果的に。だから雄英に入ってるんだよね。だから希望を持っていられるんだよね。待ってるよ、もうなんの希望゚もなくしてしまったら私があなたを救ってみせる。笑ったりなんかしない。綺麗事だったよね?なんて意地悪もしない。やさしく抱きとめて守ってあげるよ。
2023年2月4日
2023年2月3日 オールジャンル失恋夢オンリーイベント「大失恋祭」投稿作品