爆轟勝己
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ギャアギャア口汚く喚いている時より、こうして静かに本を読んでいる時や、眠っている時の勝己の方が些かかわいく見える。私の目線に気づいたのか、こちらを見遣るとその形の良い額に収まった眉を顰めて舌打ちをする。
「何見てんだ」
「黙ってた方がかわいいなと思って」
「そうかよ」
再び沈黙。黙ってた方がいいってどういうことだ、なんて突っかかってくるのかと思ったけど、そこから会話が続くことはなかった。学生時代の勝己なら間違いなく怒鳴りとデコピンの一つや二つ免れないといったところだが、何もない。かわいいと思われたいとか口が裂けても勝己が言わないことをいじると痛い目に遭うのは私だからあまり触らないでおく。でも勝己もどこかで人間で、恋人に嫌われたくないとか、好きでいてほしいとかはあるらしく言葉の端々に浮いてくる時がある。触ると爆発するから言わないけど、デクくんなんかは恐れず触りに行ってキレられている。
「お昼何にしようか」
「ひき肉があるからミートソース作る。パスタ」
「はーい」
適材適所ということで、うちでは基本的に勝己がご飯を作っている。粗雑なようで多彩な彼は意外なところで特性を発揮していて、意外とこう、家事ができるのだ。
「黙ってた方がいいんだろ。喋らせんな」
「気にしてんの? 珍しい」
ついかわいくて触ってしまった。黙っていた方が可愛いなんて残酷なこと言ったかなと自省するけど、こんなかわいい面を見てしまったら収穫があったと言わざるを得ない。
「お前……喧嘩売ってんのか?」
「冗談。即死ですよ私なんて」
「あ? 俺に黙って死ぬのか? 死んだらコロス」
いつもの爆豪節が耳を滑っていく。この口の悪さはずっとこのままなんだろうか。だからと言ってしおらしいことばかり言われても調子が狂う。
俺より先に死なないでくれ、って言えばいいのに。
「死ぬとこ見たくないんだもんね」
「……」
意外と怖がりなんだ。付き合い始めてから意外な面がどんどん現れて対応が追いつかない。恋人の死ぬところなんて見たくないのはお互いそうだろうけど、勝己の方が死を日常的に眺めながらこの職についているから覚悟自体はしていても咄嗟の時に、なんて想像するのかな。
「死んだら一緒のお墓入ろうね」
「……バカお前、バカか」
大層あわててカバンのポケットを漁って。片膝なんてついちゃってどうしたのさ、と言おうとしたら度肝を抜かれてしまった。
控えめに主張するダイヤがはまった指輪。
「まっ???」
「マ? じゃねえ。お前がプロポーズまがいのこと言うからスケジュール狂っただろ……俺と結婚し……ください」
「勝己の敬語初めて聞いたかも」
「茶化すな」
「はい……よろしくお願いします」
「しょーがねえなあ! ったくよぉメシにすんぞ」
「声震えてら」
「……」
茶化すなとか舐めてんのかみたいな爆豪節は鳴りを潜めてただ捨て犬みたいに縋る目をした勝己がいた。
「な、なに」
「指輪、いらねーのかよ」
「いるいる。ください」
手を差し出すと、驚くほど優しくはめてくれた。なんだやればできるじゃん。と茶化したかったけどあまりにもうれしそうだったから黙っておくことにした。
「何見てんだ」
「黙ってた方がかわいいなと思って」
「そうかよ」
再び沈黙。黙ってた方がいいってどういうことだ、なんて突っかかってくるのかと思ったけど、そこから会話が続くことはなかった。学生時代の勝己なら間違いなく怒鳴りとデコピンの一つや二つ免れないといったところだが、何もない。かわいいと思われたいとか口が裂けても勝己が言わないことをいじると痛い目に遭うのは私だからあまり触らないでおく。でも勝己もどこかで人間で、恋人に嫌われたくないとか、好きでいてほしいとかはあるらしく言葉の端々に浮いてくる時がある。触ると爆発するから言わないけど、デクくんなんかは恐れず触りに行ってキレられている。
「お昼何にしようか」
「ひき肉があるからミートソース作る。パスタ」
「はーい」
適材適所ということで、うちでは基本的に勝己がご飯を作っている。粗雑なようで多彩な彼は意外なところで特性を発揮していて、意外とこう、家事ができるのだ。
「黙ってた方がいいんだろ。喋らせんな」
「気にしてんの? 珍しい」
ついかわいくて触ってしまった。黙っていた方が可愛いなんて残酷なこと言ったかなと自省するけど、こんなかわいい面を見てしまったら収穫があったと言わざるを得ない。
「お前……喧嘩売ってんのか?」
「冗談。即死ですよ私なんて」
「あ? 俺に黙って死ぬのか? 死んだらコロス」
いつもの爆豪節が耳を滑っていく。この口の悪さはずっとこのままなんだろうか。だからと言ってしおらしいことばかり言われても調子が狂う。
俺より先に死なないでくれ、って言えばいいのに。
「死ぬとこ見たくないんだもんね」
「……」
意外と怖がりなんだ。付き合い始めてから意外な面がどんどん現れて対応が追いつかない。恋人の死ぬところなんて見たくないのはお互いそうだろうけど、勝己の方が死を日常的に眺めながらこの職についているから覚悟自体はしていても咄嗟の時に、なんて想像するのかな。
「死んだら一緒のお墓入ろうね」
「……バカお前、バカか」
大層あわててカバンのポケットを漁って。片膝なんてついちゃってどうしたのさ、と言おうとしたら度肝を抜かれてしまった。
控えめに主張するダイヤがはまった指輪。
「まっ???」
「マ? じゃねえ。お前がプロポーズまがいのこと言うからスケジュール狂っただろ……俺と結婚し……ください」
「勝己の敬語初めて聞いたかも」
「茶化すな」
「はい……よろしくお願いします」
「しょーがねえなあ! ったくよぉメシにすんぞ」
「声震えてら」
「……」
茶化すなとか舐めてんのかみたいな爆豪節は鳴りを潜めてただ捨て犬みたいに縋る目をした勝己がいた。
「な、なに」
「指輪、いらねーのかよ」
「いるいる。ください」
手を差し出すと、驚くほど優しくはめてくれた。なんだやればできるじゃん。と茶化したかったけどあまりにもうれしそうだったから黙っておくことにした。