心操人使
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まるで世界にふたりだけ取り残されたみたいに静か。
壊れかけた、いや壊れてると言ってよさそうな電灯を追っていると、ラーメン屋さんにたどりついた。気持ちは一緒みたいだった。酒飲んで終電逃して酔いが覚めて、芯まで冷える夜にラーメン屋を見過ごすことなんてできっこないってことだ。
「半分こする?」
「なめんな」
「だってあんなにゲーしてたし、相澤先生リスペクトなのは体型もだからガリ寄りだし」
「その分出ちゃったから空いてんの。あとガリじゃない。ちゃんと筋肉はある」
「そゆことかあ……仲間だと思ってたのに……」
あんなに食べて飲んでしたのに、まだお腹減っててちょっと怖い。歩いたから消費されたのかな。流れで味噌ラーメンにコーンバタートッピングしちゃった。飲み会四千円もしたのに。
「なんだよ。リッチじゃん」
「食欲がいま脳みそ支配してて」
「俺もなんかトッピングしよう」
券売機に戻っていく姿を見ていると、どうにもヒーローなんてやってるようには見えない。どこにでもいる普通の友達。ずーっと距離感わからなかった。私は落ちこぼれで、あっちは成り上がり。一緒にいたって話題合わない……わけでもない。不思議とくだらない話だったり、なんかこれいいなと思うポイントが近い感じする。
「心操は何のせるの」
「のり」
「あーいいなぁー のり美味しいよねー」
「汁に半分浸ったのを折って食べるのが好き」
「わかるわかる」
なんで一緒にいるのかわからないくらいのあいまいさが好き。友達とか親友とか恋人とか、言葉にしてしまうより、このたゆんだ関係が好き。
「大盛りって、いけると思うときって食べる前だけかも」
「そう?心操筋肉ムキムキだから食べる量も多いのかと思ってた」
「全然そうでもない。あんな空気みたいなツマミでも、胃に残ってたみたい」
「大丈夫。まだ家まで歩かなきゃだから消費できるよ」
「……やるか」
「心操のえらいところはここでやる気になるところだ」
「え、ありがと。敦子がタクシー使いたかったら呼ぼうよ。割り勘しよう」
「大丈夫!私も大盛りとバタートッピングを消費する」
「それがいいかもね。目を疑うぐらいのでっかいバターだったし」
だいたいあっちかな、と言って来た道を戻ろうとしたのでちゃんと調べて軌道修正した。
夜の散歩は楽しいな。世界で二人ぼっちになったみたいに静か。時々車がブリブリ爆音を立てて走り去る以外は、お互いの足音だけが聞こえるだけだ。
夜が明けたら、また少しよそよそしくなってしまう。ただの知り合いくらいまで戻ってしまう。とはいっても今進めるつもりもなくて。ゆるやかな歩み、私の歩く速度に合わせてくれているのがわかる、けど手を繋いだりはしない距離感が、今は心地が良い。
20250124
壊れかけた、いや壊れてると言ってよさそうな電灯を追っていると、ラーメン屋さんにたどりついた。気持ちは一緒みたいだった。酒飲んで終電逃して酔いが覚めて、芯まで冷える夜にラーメン屋を見過ごすことなんてできっこないってことだ。
「半分こする?」
「なめんな」
「だってあんなにゲーしてたし、相澤先生リスペクトなのは体型もだからガリ寄りだし」
「その分出ちゃったから空いてんの。あとガリじゃない。ちゃんと筋肉はある」
「そゆことかあ……仲間だと思ってたのに……」
あんなに食べて飲んでしたのに、まだお腹減っててちょっと怖い。歩いたから消費されたのかな。流れで味噌ラーメンにコーンバタートッピングしちゃった。飲み会四千円もしたのに。
「なんだよ。リッチじゃん」
「食欲がいま脳みそ支配してて」
「俺もなんかトッピングしよう」
券売機に戻っていく姿を見ていると、どうにもヒーローなんてやってるようには見えない。どこにでもいる普通の友達。ずーっと距離感わからなかった。私は落ちこぼれで、あっちは成り上がり。一緒にいたって話題合わない……わけでもない。不思議とくだらない話だったり、なんかこれいいなと思うポイントが近い感じする。
「心操は何のせるの」
「のり」
「あーいいなぁー のり美味しいよねー」
「汁に半分浸ったのを折って食べるのが好き」
「わかるわかる」
なんで一緒にいるのかわからないくらいのあいまいさが好き。友達とか親友とか恋人とか、言葉にしてしまうより、このたゆんだ関係が好き。
「大盛りって、いけると思うときって食べる前だけかも」
「そう?心操筋肉ムキムキだから食べる量も多いのかと思ってた」
「全然そうでもない。あんな空気みたいなツマミでも、胃に残ってたみたい」
「大丈夫。まだ家まで歩かなきゃだから消費できるよ」
「……やるか」
「心操のえらいところはここでやる気になるところだ」
「え、ありがと。敦子がタクシー使いたかったら呼ぼうよ。割り勘しよう」
「大丈夫!私も大盛りとバタートッピングを消費する」
「それがいいかもね。目を疑うぐらいのでっかいバターだったし」
だいたいあっちかな、と言って来た道を戻ろうとしたのでちゃんと調べて軌道修正した。
夜の散歩は楽しいな。世界で二人ぼっちになったみたいに静か。時々車がブリブリ爆音を立てて走り去る以外は、お互いの足音だけが聞こえるだけだ。
夜が明けたら、また少しよそよそしくなってしまう。ただの知り合いくらいまで戻ってしまう。とはいっても今進めるつもりもなくて。ゆるやかな歩み、私の歩く速度に合わせてくれているのがわかる、けど手を繋いだりはしない距離感が、今は心地が良い。
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