土井半助
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「あっ、あれです。見えてきました」
「おお〜綺麗だね。もうだいぶ咲いているってことはもう春も近いんだね」
「そうみたいですね。毎日忙しく過ごしていると忘れちゃいますよね」
「敦子、今日はお弁当まで作ってくれてありがとう。素敵なお出かけだね」
「はい……♡♡」
「それと、これ」
いつも着ている服とは作りが違う、柔らかくて繊細な織物の中に小物が入っている。
「……? 櫛ですか?」
「そう、梅の花だって。贈り物をしたいなってずっと考えていたんだ。なにがいいかとずっと悩んでいたんだけど、なんでも喜んでくれるって山田先生に背中を押してもらって……あ、でも……選んだのは俺です」
「半助さん……♡♡」
「喜んでもらえるとうれしいもんだな」
はにかむように笑う半助さんと、天にも昇りそうなくらい幸せな私。
物語は素敵な終わりを迎えました。
すっっっごく久しぶりにだけど、二人っきりでお出かけできて、半助さんはうれしそうだし。私はもちろんハッピーだし。
▼▼▼
な〜んて、平然と会話してるけどここまで誘うまでどれだけのモダモダとした遠回りなやり取りをやったか。
「半助さん、私この前梅の花が咲いているところ見つけたんです。時間作って見に行きませんか?」
「梅ですか? いいですね。ぜひぜひ。子供達と約束していることや仕事のことがあるので少し先になってしまいますけど、時間空けますから」
「きっとですよ」
「大丈夫です。せっかく素敵なものをお裾分けしようとしてくれたのに、むげにはしないです」
彼のやらないとならないことや、大事にしているものを大事にする慈しみ深いところ、もちろん大好きだし尊重したい。
けど、けどね。そのうちのほんの、ほんの小さな一部になりたいっていうのは、妻という立場なら別に求めすぎってこともないと思うけど……!
求めすぎて仕事に踏み込むなとか子供相手にはしたない、なんて言われた日には実家(ないけど)に帰らせていただくしかなくなってしまう。本気で怒らない人の怒り、想像するだけで鋭くていたたまれない。
そんなことを考えながらだと、いつもの生活をしているつもりでも態度に表れているらしい。
大家さんは心配して、たくさん買ったからと卵や野菜を分けてくれたりしたし。
「あ、敦子さん」
子供の声がしてふと顔をあげると、乱・きり・しんがポテポテを歩いてくるのが見えた。
「あら、こんにちは」
「あれぇ、浮かない顔」
「大人には色々あるのよ」
「子供にだってあります!」
「ごめん、そうよね。最近の面白い話聞かせて?」
「えーっと、そうですねぇ……。土井先生が珍しく女性が好みそうな装身具とか道具屋での目撃情報があります!」
と、三人が口を揃えていうものだから驚いてしまった。あの人が食材・道具以外のものを買うところが見たことがない。
「えっ!!!??!何それ!!そんな、あの人にかぎって……?!!」
「落ち着いて!敦子さんへの贈り物だと思いますよ!」
「そ、そっかあ……そうよね、そんなことで取り乱してたらおかしいよね」
「そうでもないですよ。不安になっゃうことがあるからですよね?」
「私が気にしすぎなだけかも……」
「ちょっといきさつ、聞いても?」
「それが、かくかくしかじかで……」
「えーっ、じゃあ花が終わりそうな時期になっても予定を空けてくれてないんですか」
「それはひどいね。どうしたんだろう」
「ね〜、敦子さんのことおろそかにするなんてらしくないね。いつも俺には勿体無い人だって惚気てるのに」
と、可愛らしい子供たちは真剣に悩んでくれているようだった。
「なにそれ〜!私の前で出せ!私の前で!」
「まあまあ。じゃあ念押しで言ってみるのはどうです?それでダメだったら私たちからさりげなく言ってみますよ」
「さりげなく、さりげなくね!」
「わかりましたよ!大丈夫!」
じゃあまた〜、と間延びした緊張感のない返事を残して帰っていった。
あんなちびっこたちが応援してくれているのだから、私も退くわけにはいかない。やるっきゃない。
「ね、半助さん」
「どうした?」
「あのね……あの、この前……い、いえ最近お忙しいのですよね?なんでもないです。大丈夫」
「あっ、梅の花の……?ずっと返事してなくてごめんね。今週はどうかな?晴れたら行こう?」
「い……行きましょう!!て、てっきりお忘れになっていたかと」
「ごめんごめん。大事なことはメモを取らないと忘れてしまってダメだね」
「い、いいえ!今度からはもっと押します!」
「助かるなあ。悪意なく忘れてしまうことがあるんだよね」
あれだけウジウジと思い悩んで、半助さんは私との約束を忘れてしまって……と恨みがましく眠った日もあった。けど、けど……!!な〜んだ両思いじゃん!
「と、いうことでちゃんとお出かけできました」
「よかったよかった」
三人は自分のことのように喜んでくれた。お大福あげたらそのもちもちの頬をもちもちと揺らして咀嚼して。可愛すぎる。私の上下が激しい恋路の影の立役者だ。
「三人とも、ありがとう」
「いいえ〜。私たちも、二人が仲良しだと嬉しいです!」
「おお〜綺麗だね。もうだいぶ咲いているってことはもう春も近いんだね」
「そうみたいですね。毎日忙しく過ごしていると忘れちゃいますよね」
「敦子、今日はお弁当まで作ってくれてありがとう。素敵なお出かけだね」
「はい……♡♡」
「それと、これ」
いつも着ている服とは作りが違う、柔らかくて繊細な織物の中に小物が入っている。
「……? 櫛ですか?」
「そう、梅の花だって。贈り物をしたいなってずっと考えていたんだ。なにがいいかとずっと悩んでいたんだけど、なんでも喜んでくれるって山田先生に背中を押してもらって……あ、でも……選んだのは俺です」
「半助さん……♡♡」
「喜んでもらえるとうれしいもんだな」
はにかむように笑う半助さんと、天にも昇りそうなくらい幸せな私。
物語は素敵な終わりを迎えました。
すっっっごく久しぶりにだけど、二人っきりでお出かけできて、半助さんはうれしそうだし。私はもちろんハッピーだし。
▼▼▼
な〜んて、平然と会話してるけどここまで誘うまでどれだけのモダモダとした遠回りなやり取りをやったか。
「半助さん、私この前梅の花が咲いているところ見つけたんです。時間作って見に行きませんか?」
「梅ですか? いいですね。ぜひぜひ。子供達と約束していることや仕事のことがあるので少し先になってしまいますけど、時間空けますから」
「きっとですよ」
「大丈夫です。せっかく素敵なものをお裾分けしようとしてくれたのに、むげにはしないです」
彼のやらないとならないことや、大事にしているものを大事にする慈しみ深いところ、もちろん大好きだし尊重したい。
けど、けどね。そのうちのほんの、ほんの小さな一部になりたいっていうのは、妻という立場なら別に求めすぎってこともないと思うけど……!
求めすぎて仕事に踏み込むなとか子供相手にはしたない、なんて言われた日には実家(ないけど)に帰らせていただくしかなくなってしまう。本気で怒らない人の怒り、想像するだけで鋭くていたたまれない。
そんなことを考えながらだと、いつもの生活をしているつもりでも態度に表れているらしい。
大家さんは心配して、たくさん買ったからと卵や野菜を分けてくれたりしたし。
「あ、敦子さん」
子供の声がしてふと顔をあげると、乱・きり・しんがポテポテを歩いてくるのが見えた。
「あら、こんにちは」
「あれぇ、浮かない顔」
「大人には色々あるのよ」
「子供にだってあります!」
「ごめん、そうよね。最近の面白い話聞かせて?」
「えーっと、そうですねぇ……。土井先生が珍しく女性が好みそうな装身具とか道具屋での目撃情報があります!」
と、三人が口を揃えていうものだから驚いてしまった。あの人が食材・道具以外のものを買うところが見たことがない。
「えっ!!!??!何それ!!そんな、あの人にかぎって……?!!」
「落ち着いて!敦子さんへの贈り物だと思いますよ!」
「そ、そっかあ……そうよね、そんなことで取り乱してたらおかしいよね」
「そうでもないですよ。不安になっゃうことがあるからですよね?」
「私が気にしすぎなだけかも……」
「ちょっといきさつ、聞いても?」
「それが、かくかくしかじかで……」
「えーっ、じゃあ花が終わりそうな時期になっても予定を空けてくれてないんですか」
「それはひどいね。どうしたんだろう」
「ね〜、敦子さんのことおろそかにするなんてらしくないね。いつも俺には勿体無い人だって惚気てるのに」
と、可愛らしい子供たちは真剣に悩んでくれているようだった。
「なにそれ〜!私の前で出せ!私の前で!」
「まあまあ。じゃあ念押しで言ってみるのはどうです?それでダメだったら私たちからさりげなく言ってみますよ」
「さりげなく、さりげなくね!」
「わかりましたよ!大丈夫!」
じゃあまた〜、と間延びした緊張感のない返事を残して帰っていった。
あんなちびっこたちが応援してくれているのだから、私も退くわけにはいかない。やるっきゃない。
「ね、半助さん」
「どうした?」
「あのね……あの、この前……い、いえ最近お忙しいのですよね?なんでもないです。大丈夫」
「あっ、梅の花の……?ずっと返事してなくてごめんね。今週はどうかな?晴れたら行こう?」
「い……行きましょう!!て、てっきりお忘れになっていたかと」
「ごめんごめん。大事なことはメモを取らないと忘れてしまってダメだね」
「い、いいえ!今度からはもっと押します!」
「助かるなあ。悪意なく忘れてしまうことがあるんだよね」
あれだけウジウジと思い悩んで、半助さんは私との約束を忘れてしまって……と恨みがましく眠った日もあった。けど、けど……!!な〜んだ両思いじゃん!
「と、いうことでちゃんとお出かけできました」
「よかったよかった」
三人は自分のことのように喜んでくれた。お大福あげたらそのもちもちの頬をもちもちと揺らして咀嚼して。可愛すぎる。私の上下が激しい恋路の影の立役者だ。
「三人とも、ありがとう」
「いいえ〜。私たちも、二人が仲良しだと嬉しいです!」
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