山田利吉
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いつも命懸けで気を張る仕事をしていると、甘やかされたり、守られたりする時間がやみつきになってしまう。
そんなふうに冷静に振り返ることができるのは、全てが過ぎ去って、日常になってしまってから……あの時は意地を張っていたなあ、なんて余裕を思って思い出すことができるようになる。
男に生まれたなら、女の人に下の……排泄の方ではなく、性の方の管理をされるなんて絶対に知られたくないことだが、一度知ってしまった味を忘れられなくなってしまった。
敦子を娶ってから、文字どおり世界が一変してしまった。心休まる時間がどれだけ貴重なものか、知ってしまった。
「おかえりなさい、利吉さん」
「ただいま、敦子さん」
ただの挨拶をしただけなのに、餌に釣られた犬のようによだれを垂らしてしまいそうになる。
おそらくその情けない劣情も全て敦子にはつつ抜けなんだろうと思うと、あまりに恥ずかしく感じる。けれど相手が敦子となると全て受け入れて許してくれる、男らしくないと責めることなんて絶対にしないという信頼がある。
「お風呂湧いてますから、先にお風呂入ってくださいね。その後はご飯にしましょう」
「いつもありがとう。薪は足りたのかい?前に薪割りしてからずいぶん経ったような気がするけど」
「いいえ、足りなかったので私が割りました」
「えーっ!敦子さんの手にマメができてしまうだろう。何でも屋さんに頼みなさいよ」
「お金がかかってしまいます。私だって薪ぐらい割れます」
「でも……」
「でもじゃないです。利吉さんが命がけで稼いだお金ですから大切にしないと」
「敦子さん……♡」
こんなに私のことを大切にしてくれる人に若いうちに出会えて本当によかった。何度も思ったことだが、日を重ねるごとに思いは強くなる。
「湯加減いかがですかー?」
「いいよー」
敦子が懸命に吹子(竹でできた筒状のもの。お風呂を沸かす時に薪を燃やすので、炎の勢いを増す為に使う)で吹いてくれているのがわかる。自分が大切に想う人が、自分のことを世話してくれたり大切にしてくれたりしてくれることが、何よりうれしい。
「いい湯だった。ご飯もすぐ食べられるなんて」
「疲れてお腹空かせて帰ってくる、と思ったから……ね、私もお風呂入ってきますね」
「はーい。ぬるくなってないかな」
「私はぬる湯が好きなんです」
「そう?わかった。食べてるね」
「どうぞ。このお魚、お義母さんに昨日会いに行って、持たせてくださったの」
「母さんに会ったの?」
「ええ、お義母様は山奥に一人でお住まいだから、心配で」
「心配してくれてありがとう。無理なくね」
「ええ、大丈夫」
私が心配しているものにも気を配ってくれて……あまりにもメロメロしてしまってちょっと怖い。
風呂からあがって、お腹も満たされて、緊張しっぱなしの仕事からも解放されて。すっかり気がゆるんでいる。
敦子とたくさんお話ししたいことがあるのに、眠たくなってきてしまった。敦子はそんな私の行動を予想していたのか、布団を敷いておいてくれた。干したての布団の温かさに勝てない。足を布団の外に出して冷やし、どうにか目を覚ましていようと思ったけど、ダメそうだ。
「まあ、寝ててくださいよ。なんで抵抗なさっているの」
「……だって」
「だってじゃないです。今日はもうおやすみなさい。明日また山菜採りに行ったりお魚釣りに行ったりして遊びましょう?」
「敦子さんも寝る?」
「……私はまだ陽があるうちに、明日の支度を」
「じゃあ寝ない」
「なんですかもう、子供みたいに」
「……明日一緒にご飯炊きましょうよ。そうしたら今日支度しなくていいでしょう」
「まあ、そうですけど……そうしますか。そんないじましい顔されたら振り払っていけません」
敦子さんは意地悪そうに笑って、私の頭をなでてくれる。もそもそと布団に引きずりこんで着物の裾をはだけて頬を寄せると、お風呂あがりのあたたかく湿った肌の感触に脳が溶けそうになる。いつもそうだ。敦子さんと一緒にいるといつもの自分を保てない。カッコつけたり、見栄を張ったり……そういうのが全然うまくいかない。
「あったかい……」
「ね、春はもうすぐそこですね」
「それもそうだけど、そうじゃなくて」
「あ、そうだ。こっちの方はいい子に我慢できましたか?」
「ひゃい……♡♡」
下履きの上から内股をなでられているだけなのに、待てをしている犬のように涎ダラダラ垂らしてしてしまう。褌を取り払う時いつも笑われてしまう。そんなに我慢させちゃってたんですねって。わかっていても取り繕う余裕はない。
声音はやさしく、表情だって責め立てるものではないはずなのに、身体が固まってしまった。習性というものは恐ろしくて、最初こそ自分の方が力があるんだから、と思っていたが、人間と人間の関係には、物理的な力以外にも作用するものがあると学んだ。
せっかく綺麗に洗った褌を、先走りで汚してしまっても、敦子は怒らない。
頭を撫でて、それで、指先で恥ずかしいくらい膨らんだ性器を指先でなぞってくれる。背筋に汗が溜まって、吸われた唇が心地よくて頭の中がぐらぐらする。我慢していたこと、寂しかったこと、寒空の下独寝をしたこと、星が綺麗な夜だったこと、敦子に会いたかったこと、色々なことが頭に差し込んできて、最後俗っぽくて情緒も何もないんだけど……もっと決定的な刺激が欲しくて、喉を鳴らして唾を飲み込んだ。
敦子は意地悪言って焦らしたりしない。気持ちいいんだ、と言葉にしなくてもわかってくれて、それでいつだって丁寧にそれを与えてくれる。
「ふにゃふにゃしててかわいいね」
「へぁ?」
「きりっとしているのもいいけど、緩んでるのもかわいいなって言ったのよ」
なんかよくわからないけど、褒めてもらえたのはわかった。褒められることは特段珍しいことではないけど、敦子に褒められるのはまた別だ。もっとずっと褒めてほしい。私が特別で、唯一無二で、代え難いことを教えて欲しい。
「こっち向いて。涎ぬぐってあげますから」
敦子の着物の袖でぬぐってもらうまで、涎垂らしてたなんて気づかなかった。もうなんだか、いろんなことを考えている余裕がないんだ。自分が出しているとは思えないくらい甘ったるくて、恥ずかしい声をあげていることは経験上なんとなくわかるくらいで、意識がそこに向かなくなっている。うるさすぎると敦子が唇を喰んでくれるから、ちょっと察するくらい。
いよいよ我慢ができなくなって、
「ね、敦子、もう出ちゃう……っ」と絞り出すように言った。
「いいですよ、たくさん我慢できましたね。こんなに金玉重たくして、たくさん精子作ったんですね……♡」
「ふぁい……♡♡ 敦子さんのご飯のおかげで健康なので……っ♡」
「ふふ、かわいい人。たくさん出していいですからね……」
敦子が手拭いを性器にあてがってくれたのとほぼ同時ぐらいに、頭の中が白く弾けて身体じゅうが熱くなるのを感じた。射精の波が引くまで、敦子はずっと私がキモチイイところを手を代え品を変え、与え続けてくれた。
波が治ってすぐ、男は頭が切り替わると言うが私はそうできてないらしく、まだ敦子とくっついていたいのを我慢するつもりもなかった。精液まみれになった手拭いは湯にさらしておかないと使えなくなると言う敦子の着物の袖を掴んで離さないでいた。
「これでスッキリ眠れそうですね、利吉さん」
「……おかげさまで」
「背中の汗だけぬぐいますか?」
「いい、大丈夫です。すぐおさまりますから」
「はあい。眠たいんですね」
「そう、理解が早くて助かりますよ」
男にはないやわらかな乳に頭を預けて眠る心地よさと、寒空の下独寝をする虚しさとで、仕事中は本当に嫌になってしまうが、こうして敦子が髪を指で梳いてくれるのがうれしくて、敦子が不自由しないようにちゃんと働こう、と決意を固めるきっかけになるのだった。
やわらかい、あったかい、やさしい、だいすき……頭の中がどんどん単純になっていくのがわかる。これ、仕事に復帰できるだろうか……?
そんなふうに冷静に振り返ることができるのは、全てが過ぎ去って、日常になってしまってから……あの時は意地を張っていたなあ、なんて余裕を思って思い出すことができるようになる。
男に生まれたなら、女の人に下の……排泄の方ではなく、性の方の管理をされるなんて絶対に知られたくないことだが、一度知ってしまった味を忘れられなくなってしまった。
敦子を娶ってから、文字どおり世界が一変してしまった。心休まる時間がどれだけ貴重なものか、知ってしまった。
「おかえりなさい、利吉さん」
「ただいま、敦子さん」
ただの挨拶をしただけなのに、餌に釣られた犬のようによだれを垂らしてしまいそうになる。
おそらくその情けない劣情も全て敦子にはつつ抜けなんだろうと思うと、あまりに恥ずかしく感じる。けれど相手が敦子となると全て受け入れて許してくれる、男らしくないと責めることなんて絶対にしないという信頼がある。
「お風呂湧いてますから、先にお風呂入ってくださいね。その後はご飯にしましょう」
「いつもありがとう。薪は足りたのかい?前に薪割りしてからずいぶん経ったような気がするけど」
「いいえ、足りなかったので私が割りました」
「えーっ!敦子さんの手にマメができてしまうだろう。何でも屋さんに頼みなさいよ」
「お金がかかってしまいます。私だって薪ぐらい割れます」
「でも……」
「でもじゃないです。利吉さんが命がけで稼いだお金ですから大切にしないと」
「敦子さん……♡」
こんなに私のことを大切にしてくれる人に若いうちに出会えて本当によかった。何度も思ったことだが、日を重ねるごとに思いは強くなる。
「湯加減いかがですかー?」
「いいよー」
敦子が懸命に吹子(竹でできた筒状のもの。お風呂を沸かす時に薪を燃やすので、炎の勢いを増す為に使う)で吹いてくれているのがわかる。自分が大切に想う人が、自分のことを世話してくれたり大切にしてくれたりしてくれることが、何よりうれしい。
「いい湯だった。ご飯もすぐ食べられるなんて」
「疲れてお腹空かせて帰ってくる、と思ったから……ね、私もお風呂入ってきますね」
「はーい。ぬるくなってないかな」
「私はぬる湯が好きなんです」
「そう?わかった。食べてるね」
「どうぞ。このお魚、お義母さんに昨日会いに行って、持たせてくださったの」
「母さんに会ったの?」
「ええ、お義母様は山奥に一人でお住まいだから、心配で」
「心配してくれてありがとう。無理なくね」
「ええ、大丈夫」
私が心配しているものにも気を配ってくれて……あまりにもメロメロしてしまってちょっと怖い。
風呂からあがって、お腹も満たされて、緊張しっぱなしの仕事からも解放されて。すっかり気がゆるんでいる。
敦子とたくさんお話ししたいことがあるのに、眠たくなってきてしまった。敦子はそんな私の行動を予想していたのか、布団を敷いておいてくれた。干したての布団の温かさに勝てない。足を布団の外に出して冷やし、どうにか目を覚ましていようと思ったけど、ダメそうだ。
「まあ、寝ててくださいよ。なんで抵抗なさっているの」
「……だって」
「だってじゃないです。今日はもうおやすみなさい。明日また山菜採りに行ったりお魚釣りに行ったりして遊びましょう?」
「敦子さんも寝る?」
「……私はまだ陽があるうちに、明日の支度を」
「じゃあ寝ない」
「なんですかもう、子供みたいに」
「……明日一緒にご飯炊きましょうよ。そうしたら今日支度しなくていいでしょう」
「まあ、そうですけど……そうしますか。そんないじましい顔されたら振り払っていけません」
敦子さんは意地悪そうに笑って、私の頭をなでてくれる。もそもそと布団に引きずりこんで着物の裾をはだけて頬を寄せると、お風呂あがりのあたたかく湿った肌の感触に脳が溶けそうになる。いつもそうだ。敦子さんと一緒にいるといつもの自分を保てない。カッコつけたり、見栄を張ったり……そういうのが全然うまくいかない。
「あったかい……」
「ね、春はもうすぐそこですね」
「それもそうだけど、そうじゃなくて」
「あ、そうだ。こっちの方はいい子に我慢できましたか?」
「ひゃい……♡♡」
下履きの上から内股をなでられているだけなのに、待てをしている犬のように涎ダラダラ垂らしてしてしまう。褌を取り払う時いつも笑われてしまう。そんなに我慢させちゃってたんですねって。わかっていても取り繕う余裕はない。
声音はやさしく、表情だって責め立てるものではないはずなのに、身体が固まってしまった。習性というものは恐ろしくて、最初こそ自分の方が力があるんだから、と思っていたが、人間と人間の関係には、物理的な力以外にも作用するものがあると学んだ。
せっかく綺麗に洗った褌を、先走りで汚してしまっても、敦子は怒らない。
頭を撫でて、それで、指先で恥ずかしいくらい膨らんだ性器を指先でなぞってくれる。背筋に汗が溜まって、吸われた唇が心地よくて頭の中がぐらぐらする。我慢していたこと、寂しかったこと、寒空の下独寝をしたこと、星が綺麗な夜だったこと、敦子に会いたかったこと、色々なことが頭に差し込んできて、最後俗っぽくて情緒も何もないんだけど……もっと決定的な刺激が欲しくて、喉を鳴らして唾を飲み込んだ。
敦子は意地悪言って焦らしたりしない。気持ちいいんだ、と言葉にしなくてもわかってくれて、それでいつだって丁寧にそれを与えてくれる。
「ふにゃふにゃしててかわいいね」
「へぁ?」
「きりっとしているのもいいけど、緩んでるのもかわいいなって言ったのよ」
なんかよくわからないけど、褒めてもらえたのはわかった。褒められることは特段珍しいことではないけど、敦子に褒められるのはまた別だ。もっとずっと褒めてほしい。私が特別で、唯一無二で、代え難いことを教えて欲しい。
「こっち向いて。涎ぬぐってあげますから」
敦子の着物の袖でぬぐってもらうまで、涎垂らしてたなんて気づかなかった。もうなんだか、いろんなことを考えている余裕がないんだ。自分が出しているとは思えないくらい甘ったるくて、恥ずかしい声をあげていることは経験上なんとなくわかるくらいで、意識がそこに向かなくなっている。うるさすぎると敦子が唇を喰んでくれるから、ちょっと察するくらい。
いよいよ我慢ができなくなって、
「ね、敦子、もう出ちゃう……っ」と絞り出すように言った。
「いいですよ、たくさん我慢できましたね。こんなに金玉重たくして、たくさん精子作ったんですね……♡」
「ふぁい……♡♡ 敦子さんのご飯のおかげで健康なので……っ♡」
「ふふ、かわいい人。たくさん出していいですからね……」
敦子が手拭いを性器にあてがってくれたのとほぼ同時ぐらいに、頭の中が白く弾けて身体じゅうが熱くなるのを感じた。射精の波が引くまで、敦子はずっと私がキモチイイところを手を代え品を変え、与え続けてくれた。
波が治ってすぐ、男は頭が切り替わると言うが私はそうできてないらしく、まだ敦子とくっついていたいのを我慢するつもりもなかった。精液まみれになった手拭いは湯にさらしておかないと使えなくなると言う敦子の着物の袖を掴んで離さないでいた。
「これでスッキリ眠れそうですね、利吉さん」
「……おかげさまで」
「背中の汗だけぬぐいますか?」
「いい、大丈夫です。すぐおさまりますから」
「はあい。眠たいんですね」
「そう、理解が早くて助かりますよ」
男にはないやわらかな乳に頭を預けて眠る心地よさと、寒空の下独寝をする虚しさとで、仕事中は本当に嫌になってしまうが、こうして敦子が髪を指で梳いてくれるのがうれしくて、敦子が不自由しないようにちゃんと働こう、と決意を固めるきっかけになるのだった。
やわらかい、あったかい、やさしい、だいすき……頭の中がどんどん単純になっていくのがわかる。これ、仕事に復帰できるだろうか……?