荼炎
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お父さんが俺ら家族にはたらいた人権侵害・児童虐待は裁かれることはなかった。
やっぱりヒーローなんかに、マジョリティに、世界を救ったつもりになって臭いものに蓋しただけの連中が仕切る世界なんて期待してはいけなかったんだ。もしかしたら、って思ってたんだよね。お父さんの功績を鑑みてもやったことは鬼畜の所業だね、冷静に功績と所業を分けて考えて、それはもうあなたもわかっていたろうけど悪いことだったんですよと罪を暴いて罰を課して欲しかった。
外にいる兄弟もお母さんも、お父さんのことを家庭の外に裁きを求めるほど咎めなかったってことでもある、それもわかってる。
けど、裁いてやらないと、いつまでも罪は罪のまま、いつかは罰にしてやらないとたとえ罪人だとしても辛すぎだろう。でもそれは俺も同じ。裁判を経ることなく幽閉されているので、罪と罰の相関性が裁かれたわけじゃない。
そりゃあんだけ殺してんだから罰は受けるだろうけど、ちゃんと裁判でやってないよね?ってこと。
焦凍からの話を聞くと、公安委員会のトップにあの焼き鳥野郎が据えられたらしい。ダメだよなぁ、そういう、プレイヤーはマネジメントもできるみたいな人事は。
「お父さんは、俺や兄弟、お母さんのことを嫌な目に合わせたのに誰も何も言ってくれないのかわいそうだね」
「そうだな、功績があるからと誰も俺のしでかしたことを指摘してくれないのはひとえに俺の人望のなさもあるだろう。家庭の問題はとっつきにくいんだろう……だがこうして燈矢は俺の何がいけなかったかだけではなく、どうしていけばいいかまで教えてくれる。ありがとう」
「そうだね、お父さんのこと止めたりそれは悪いことだったよと言ってくれる人がいなかったのはかわいそうだね」
「みじめだな」
「そう、みじめ。ほんとは俺がお父さんのこと、助けてあげたかったよ……だって誰もお父さんのこと見てやらなくてかわいそうだ……」
「ああ、俺も……甘ったれたこと言うようだが……燈矢に助けて欲しかった……」
「バカなお父さん」
「あれだけのことをしておいて助けてくれだなんて、おかしいことを言っていると思う。だがこうした語らいを続けていてやっと、燈矢というひとをわかり始めたと思う」
「素直だね」
「俺の矜持や向上心……といえば聞こえがいいが……それですべてを壊してしまった。だから見栄を張りたくなったときには立ち止まって考えるようにしているんだ」
「それを俺らを作る前に気づいていれば……」
「しかしそれに気づいていたなら、こんなに子供をもうけてはいなかった。だからいいんだ。子供たちを授かったことに関しては……俺が為した数少ない純粋な功績だ」
「子供を、功績とか、プラスマイナスで考えてるうちはダメだなあ……それそこ、放っておいてかわいそうな目に合わせた子供を看取って、そのあとまだ生きなくちゃならないっていう生き地獄が相応しいね」
「燈矢、死ぬな。あの時一緒に死んでやれなかったのに、また俺は」
「それが、罰だよ。懲役だよ。頑張って、それで、死んだら俺とまた会おう」
お父さんは最近涙もろくて、すぐビービー泣いている。俺が荼毘にならずに死んでいたら、俺を看取るなんて屁でもなかったろう。焦凍が完成して、この世の春になってたかもしれない。俺のことすぐ過去のことにしたくらいだから、容易に想像がつく。
だから泣いてるのを見て、少しうれしい。俺が死ぬの、お父さんは悲しく思うんだなって。死にたいように死ねなかったけど、これはこれで、加点要素なのかも。
俺が死んだ時は、遺体にすがりついて泣いたりするんだろうか。見てみたかったな。
20240928 #DBENFOREVER お題:ふたり
やっぱりヒーローなんかに、マジョリティに、世界を救ったつもりになって臭いものに蓋しただけの連中が仕切る世界なんて期待してはいけなかったんだ。もしかしたら、って思ってたんだよね。お父さんの功績を鑑みてもやったことは鬼畜の所業だね、冷静に功績と所業を分けて考えて、それはもうあなたもわかっていたろうけど悪いことだったんですよと罪を暴いて罰を課して欲しかった。
外にいる兄弟もお母さんも、お父さんのことを家庭の外に裁きを求めるほど咎めなかったってことでもある、それもわかってる。
けど、裁いてやらないと、いつまでも罪は罪のまま、いつかは罰にしてやらないとたとえ罪人だとしても辛すぎだろう。でもそれは俺も同じ。裁判を経ることなく幽閉されているので、罪と罰の相関性が裁かれたわけじゃない。
そりゃあんだけ殺してんだから罰は受けるだろうけど、ちゃんと裁判でやってないよね?ってこと。
焦凍からの話を聞くと、公安委員会のトップにあの焼き鳥野郎が据えられたらしい。ダメだよなぁ、そういう、プレイヤーはマネジメントもできるみたいな人事は。
「お父さんは、俺や兄弟、お母さんのことを嫌な目に合わせたのに誰も何も言ってくれないのかわいそうだね」
「そうだな、功績があるからと誰も俺のしでかしたことを指摘してくれないのはひとえに俺の人望のなさもあるだろう。家庭の問題はとっつきにくいんだろう……だがこうして燈矢は俺の何がいけなかったかだけではなく、どうしていけばいいかまで教えてくれる。ありがとう」
「そうだね、お父さんのこと止めたりそれは悪いことだったよと言ってくれる人がいなかったのはかわいそうだね」
「みじめだな」
「そう、みじめ。ほんとは俺がお父さんのこと、助けてあげたかったよ……だって誰もお父さんのこと見てやらなくてかわいそうだ……」
「ああ、俺も……甘ったれたこと言うようだが……燈矢に助けて欲しかった……」
「バカなお父さん」
「あれだけのことをしておいて助けてくれだなんて、おかしいことを言っていると思う。だがこうした語らいを続けていてやっと、燈矢というひとをわかり始めたと思う」
「素直だね」
「俺の矜持や向上心……といえば聞こえがいいが……それですべてを壊してしまった。だから見栄を張りたくなったときには立ち止まって考えるようにしているんだ」
「それを俺らを作る前に気づいていれば……」
「しかしそれに気づいていたなら、こんなに子供をもうけてはいなかった。だからいいんだ。子供たちを授かったことに関しては……俺が為した数少ない純粋な功績だ」
「子供を、功績とか、プラスマイナスで考えてるうちはダメだなあ……それそこ、放っておいてかわいそうな目に合わせた子供を看取って、そのあとまだ生きなくちゃならないっていう生き地獄が相応しいね」
「燈矢、死ぬな。あの時一緒に死んでやれなかったのに、また俺は」
「それが、罰だよ。懲役だよ。頑張って、それで、死んだら俺とまた会おう」
お父さんは最近涙もろくて、すぐビービー泣いている。俺が荼毘にならずに死んでいたら、俺を看取るなんて屁でもなかったろう。焦凍が完成して、この世の春になってたかもしれない。俺のことすぐ過去のことにしたくらいだから、容易に想像がつく。
だから泣いてるのを見て、少しうれしい。俺が死ぬの、お父さんは悲しく思うんだなって。死にたいように死ねなかったけど、これはこれで、加点要素なのかも。
俺が死んだ時は、遺体にすがりついて泣いたりするんだろうか。見てみたかったな。
20240928 #DBENFOREVER お題:ふたり