荼炎
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別に、求めすぎていたってことはないと思うけどな。
お父さんが、俺の可能性を見限らずに向き合ってくれるとか、俺の正体がわかったとき生きていてくれてうれしかったと駆け寄るとか、俺と戦いの中で死んでくれるとかさ。
別に償ってくれ、と言いたいわけじゃない。
償いなんて、尽くす側が満たされるだけで、罪が軽くなったと見紛うだけで、少なくとも俺が求めていることじゃない。ただ、こうあってほしいと望んでしまうと思い通りにならなかった時、なんか、理屈じゃない部分が深く深く傷ついてしまう。
お父さんは、それがやっとわかってきたのか俺がほんのりと望んだこともしっかり受け止めることができているし、ちゃんと俺の期待通りの結果を出すことができている。
人間、いつからだって変われるんだね。
変わるきっかけがあればの話だけど。
こんなことになるまで気づかない愚かさとかについて、今更とやかく言うつもりはない。
正しくは、言えない。今更、と憤りが頭をよぎる瞬間があっても穏やかな表情を浮かべて…あのとき、俺を過去のものにして焦凍に虐待をくわえていたときのぎらついた瞳が、幻だったんじゃないかってくらい…俺の世話を焼いているお父さんに、怒りをぶつける気になれない。
ただただ、そのあたたかな手のひらに触れていたいと思うだけなんだ。
日和った、とか、諦めたとかじゃないと思う。少なくとも、俺が諦めなかったからこうなってるんだし。
別にその、悪いことじゃないと思う。俺がほしいと思った結果に、俺の努力の末に得ることができたっていう筋書きは。
「おとうさん」
「どうした、燈矢」
「お仕事いくの?」
「外のお仕事はしばらくナシだ。内職のお仕事をする」
「へえ」
もくもくと造花を組み立てるお父さんのぶっとい膝枕に頭をあずけ、見上げると、いつかの雨の日を思い出した。珍しくお父さんが家にいて事務仕事をしている。俺はそんなことしている暇があったら俺の個性訓練を見て欲しくて……せがんだら、切り上げて着いてきてくれたっけ。
俺にまだ期待していた頃の話だ。
そんなに長い時間離れたつもりはないのに、二度と戻らないと誓ったあとだとものすごく長い時間離れていたように思える。取り戻すだけの時間はないけど、俺は、俺が出した結果にわりと満足してるから、いい。
「お父さん」
「どうした」
「今度、俺の個性見てよ」
「この前見せてくれただろう」
「もっとすごいのあるんだよ」
「わかった。遠くの、燃えるものがないところを探すから、明日にでも行こうか」
「うん!」
見せてあげる。本当にすごいんだから。お父さんに手取り足取りしてもらわなくても、こんなに……
お父さんが、俺の可能性を見限らずに向き合ってくれるとか、俺の正体がわかったとき生きていてくれてうれしかったと駆け寄るとか、俺と戦いの中で死んでくれるとかさ。
別に償ってくれ、と言いたいわけじゃない。
償いなんて、尽くす側が満たされるだけで、罪が軽くなったと見紛うだけで、少なくとも俺が求めていることじゃない。ただ、こうあってほしいと望んでしまうと思い通りにならなかった時、なんか、理屈じゃない部分が深く深く傷ついてしまう。
お父さんは、それがやっとわかってきたのか俺がほんのりと望んだこともしっかり受け止めることができているし、ちゃんと俺の期待通りの結果を出すことができている。
人間、いつからだって変われるんだね。
変わるきっかけがあればの話だけど。
こんなことになるまで気づかない愚かさとかについて、今更とやかく言うつもりはない。
正しくは、言えない。今更、と憤りが頭をよぎる瞬間があっても穏やかな表情を浮かべて…あのとき、俺を過去のものにして焦凍に虐待をくわえていたときのぎらついた瞳が、幻だったんじゃないかってくらい…俺の世話を焼いているお父さんに、怒りをぶつける気になれない。
ただただ、そのあたたかな手のひらに触れていたいと思うだけなんだ。
日和った、とか、諦めたとかじゃないと思う。少なくとも、俺が諦めなかったからこうなってるんだし。
別にその、悪いことじゃないと思う。俺がほしいと思った結果に、俺の努力の末に得ることができたっていう筋書きは。
「おとうさん」
「どうした、燈矢」
「お仕事いくの?」
「外のお仕事はしばらくナシだ。内職のお仕事をする」
「へえ」
もくもくと造花を組み立てるお父さんのぶっとい膝枕に頭をあずけ、見上げると、いつかの雨の日を思い出した。珍しくお父さんが家にいて事務仕事をしている。俺はそんなことしている暇があったら俺の個性訓練を見て欲しくて……せがんだら、切り上げて着いてきてくれたっけ。
俺にまだ期待していた頃の話だ。
そんなに長い時間離れたつもりはないのに、二度と戻らないと誓ったあとだとものすごく長い時間離れていたように思える。取り戻すだけの時間はないけど、俺は、俺が出した結果にわりと満足してるから、いい。
「お父さん」
「どうした」
「今度、俺の個性見てよ」
「この前見せてくれただろう」
「もっとすごいのあるんだよ」
「わかった。遠くの、燃えるものがないところを探すから、明日にでも行こうか」
「うん!」
見せてあげる。本当にすごいんだから。お父さんに手取り足取りしてもらわなくても、こんなに……