荼炎
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お父さんは、正義の味方。良いもの、正しいものだとされる。
俺は、悪いやつ。俺の目的のためにたくさんの人を殺したり、お家を壊したりしたから。
でも、俺がお父さんのことバラしてやってから、人間が常にただしく居られることなんてできないってわかった人も多いみたい。
なぜかオールマイトの粗探しが始まって、俺はかなり不本意だった。お父さんの話をしてるんだから、お父さんの粗探しをしろよと。
俺は戦いが終わってから、俺の気持ちを俺ができる範囲で精算してからは、その多面性ごとお父さんのこと好きになった。
端的にいうと目的を達成するためならどんなにおかしなことでも手をつけてしまったり、それでいて平然と正義の味方ヅラできたり、俺にちゃんと正直に、瀬古渡岳に行けなくてごめんと謝れたり、もうめちゃくちゃだ。
けれどそれもお父さんなんだって、今は思える。妥協も、諦めももちろんある。けど、お父さんが俺の髪を梳いたり、足の指が固まらないように不自由な手でマッサージしたりするのがうれしくて、これはこれでいいかななんて思てしまっている。
「お父さん、今年のヒーローランキングはどうなったの」
「ランキングはな、いまは中止になったんだ」
「そうなんだ、残念だね」
「でも、なんだか肩の荷がおりたような気がするんだ」
「よかったね、これでお父さんはお父さんなりに、誠実に正義の味方できるんじゃないの」
「そうかもしれないが、今は社会的な価値観を通した正しさより、家族の方を見ていたくて」
「遅すぎるけど、それはそれで、いいじゃん」
目を細めて、いまにも泣き出しそうな顔をしたお父さんの涙をもう拭ってはやれない。腕も上がらないし、身体の中で自由がきくところのほうが少ない。けれどお父さんが俺のこと抱きしめている触覚だけは生きている。あたたかくて、あつくて、やさしい。
20240224
※荼炎ワンドロワンライのお題を使用しました
俺は、悪いやつ。俺の目的のためにたくさんの人を殺したり、お家を壊したりしたから。
でも、俺がお父さんのことバラしてやってから、人間が常にただしく居られることなんてできないってわかった人も多いみたい。
なぜかオールマイトの粗探しが始まって、俺はかなり不本意だった。お父さんの話をしてるんだから、お父さんの粗探しをしろよと。
俺は戦いが終わってから、俺の気持ちを俺ができる範囲で精算してからは、その多面性ごとお父さんのこと好きになった。
端的にいうと目的を達成するためならどんなにおかしなことでも手をつけてしまったり、それでいて平然と正義の味方ヅラできたり、俺にちゃんと正直に、瀬古渡岳に行けなくてごめんと謝れたり、もうめちゃくちゃだ。
けれどそれもお父さんなんだって、今は思える。妥協も、諦めももちろんある。けど、お父さんが俺の髪を梳いたり、足の指が固まらないように不自由な手でマッサージしたりするのがうれしくて、これはこれでいいかななんて思てしまっている。
「お父さん、今年のヒーローランキングはどうなったの」
「ランキングはな、いまは中止になったんだ」
「そうなんだ、残念だね」
「でも、なんだか肩の荷がおりたような気がするんだ」
「よかったね、これでお父さんはお父さんなりに、誠実に正義の味方できるんじゃないの」
「そうかもしれないが、今は社会的な価値観を通した正しさより、家族の方を見ていたくて」
「遅すぎるけど、それはそれで、いいじゃん」
目を細めて、いまにも泣き出しそうな顔をしたお父さんの涙をもう拭ってはやれない。腕も上がらないし、身体の中で自由がきくところのほうが少ない。けれどお父さんが俺のこと抱きしめている触覚だけは生きている。あたたかくて、あつくて、やさしい。
20240224
※荼炎ワンドロワンライのお題を使用しました
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