凛冴
name change
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「ねー、凛。ダンボール開けちゃって。冴のお仕事関連だと思うから」
「……わかった」
「嫌そうねぇ。昔はあんなににーちゃんにーちゃんだったのに」
冴のスポンサーさんが気を利かせて実家にも商品や広告、インタビュー雑誌なんかを送ってくれるようになってからしばらく経つ。両親はうれしそうだが、俺は見るたび気持ちがささくれ立つものが増えるだけだ。
ポスター、イメージ香水のパッケージ、表紙を飾る雑誌。その全てが俺の機嫌を穿ち、心を裂く。過去の冴の一部分を切り取っただけの紙が放つ視線ですら、心に漣 を立たせる。
いつから冴が、兄ちゃんがそんなふうに俺を苛む存在になってしまったんだろう。
怒りと悲しみが交互に顔を出し、俺を焚きつける。
お前をこんなふうに落ち込ませる兄ちゃんなんてと、そんなふうに兄ちゃんに言わせるぐらい俺は愚図だったのかな、とか。
火傷と切り傷が違う痛み方をするみたいに、グラデーションを作った感情がそれぞれ俺を痛めつける。
どうして、なんて絶対に答えが出ないのに、あの時こうしていたら、なんてしたって時は巻き戻らないのに、あの時俺の心は凍りついてしまったみたいで離れたり目を逸らしたりすることができない。
俺は、サッカーを始めたときから……いや、生まれてからずっと糸師冴という光が目に焼きついて離れないだけなのかもしれない。網膜に焼き付いてしまっているから逸らせないし、違う道を選べない。
いつかこのイメージ香水だとか、ポスターだとかをなんの気無しに使える日が来るのかもしれない。なんの心理的ハードルのないモノとして。
それはきっと冴を超えたときの話だ。今のままじゃ夢物語以外の何者でもない。
でも、俺だけ夢から醒めてもいられない。一人眠りにつく。同じベッドで寝ていた頃も違う夢を見ていたのだから、別にさびしくなんかない。夢の先に、冴がいるから。
「……わかった」
「嫌そうねぇ。昔はあんなににーちゃんにーちゃんだったのに」
冴のスポンサーさんが気を利かせて実家にも商品や広告、インタビュー雑誌なんかを送ってくれるようになってからしばらく経つ。両親はうれしそうだが、俺は見るたび気持ちがささくれ立つものが増えるだけだ。
ポスター、イメージ香水のパッケージ、表紙を飾る雑誌。その全てが俺の機嫌を穿ち、心を裂く。過去の冴の一部分を切り取っただけの紙が放つ視線ですら、心に
いつから冴が、兄ちゃんがそんなふうに俺を苛む存在になってしまったんだろう。
怒りと悲しみが交互に顔を出し、俺を焚きつける。
お前をこんなふうに落ち込ませる兄ちゃんなんてと、そんなふうに兄ちゃんに言わせるぐらい俺は愚図だったのかな、とか。
火傷と切り傷が違う痛み方をするみたいに、グラデーションを作った感情がそれぞれ俺を痛めつける。
どうして、なんて絶対に答えが出ないのに、あの時こうしていたら、なんてしたって時は巻き戻らないのに、あの時俺の心は凍りついてしまったみたいで離れたり目を逸らしたりすることができない。
俺は、サッカーを始めたときから……いや、生まれてからずっと糸師冴という光が目に焼きついて離れないだけなのかもしれない。網膜に焼き付いてしまっているから逸らせないし、違う道を選べない。
いつかこのイメージ香水だとか、ポスターだとかをなんの気無しに使える日が来るのかもしれない。なんの心理的ハードルのないモノとして。
それはきっと冴を超えたときの話だ。今のままじゃ夢物語以外の何者でもない。
でも、俺だけ夢から醒めてもいられない。一人眠りにつく。同じベッドで寝ていた頃も違う夢を見ていたのだから、別にさびしくなんかない。夢の先に、冴がいるから。