凛冴
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※死ネタ
※モラルなし
※多少のグロ
冴が死んだ。
イカれたファンが運転する車に撥ねられたあとバックで轢きなおされて、体の骨はかなり綺麗に粉々になったと聞く。そんなこと聞きたくなかったけど、その場を離れられなかった。
俺の感情もそこで轢かれてしまったみたいで、動かなくなってしまった。だから多分俺も相当おかしくなってしまっていたんだと思う。道端にダンボールの机と椅子で占いやってる変な婆さんのいうことを聞いてしまうなんて。
「あんた、大切な人を亡くしたね。お代はいいからこれ持っていきな。このお札を死体に貼るんだ」
みんながメソメソと泣く中、俺は線香番に立候補してお札を貼った。するとたちまち冴は目を開け、「寒い」と言った。
俺はあわててドライアイスで満たされた棺から冴を引っ張り上げた。俺の服は少し大きかったらしく、袖が余っていた。
「凛、どうして俺はこんなことになってるんだ? 死んだはずだろ」
「でも、よくわからないけど生き返ったんだから」
「凛、かわいい俺の弟。こっちおいで」
死体になった兄はどうしたって冷たくて、ぶにぶにとした触感が気色悪い、異様な存在だった。でも、過程がどうであれ兄は生き返った。俺はそれが本当にうれしくて、冷たい冴に縋って泣いた。吠えるように泣く俺に、冴は諭すように優しく言葉を続けた。
「よしよし。かわいそうに。突然兄ちゃんがいなくなってびっくりしたろ。ごめんな……でも、凛。この俺はもうサッカーができないだろ」
「俺、俺お医者さん探して、冴がサッカーできるように……」
「何いってんだ。冷静に見ろよこの今にも崩れそうな身体……どう考えても戻らないよ……そうであるなら、俺は生きる意味がないから。ごめんな。お前のために生きてやれなくて。でも俺、お前だけがサッカーをやれるの耐えられないと思うから。ごめんな、凛。せっかく呼んでくれたのに。みんなびっくりしちゃうから、俺は素直に死ぬよ……そりゃあやりたいことたくさんあったけど、死んだ後じゃどうにも……そういうことだから、凛、さよなら。先に行って待ってるけど、急いでなんかくるなよ。絶対だ。兄ちゃんと約束。できるな?」
「うん」
「いい子だ。鼻水かめよ。じゃ」
冴が自分の額に貼られたお札を剥がすと、冴は意識を失った。ゴトリと大きな音を立てて倒れ伏した冴は、糸が切れた操り人形みたいに動かなくなった。
夢を見ていたみたいだ。
でも、死体に戻った冴は現実のものだった。俺は妙に冷静になって淡々と冴の死体を棺に戻した。先ほどまで泣いて縋っていたのに、モノになってしまったような気がする。自分の辞書の中の『大切な人』として登録されていた人が、『死体』として更新されてしまったような。
冴は俺の心の中で生き続ける……なんていうと思ったか。死んだら終わり、サヨナラなんだよ。
冴、永久にさよなら。俺の憎しみ、愛、執着すべてを向けてそしてそれに応えることなく永遠に俺の元からいなくなった最愛の兄。二度も永訣の別れを記憶に刻んだひどい兄。
2024/3/8
※モラルなし
※多少のグロ
冴が死んだ。
イカれたファンが運転する車に撥ねられたあとバックで轢きなおされて、体の骨はかなり綺麗に粉々になったと聞く。そんなこと聞きたくなかったけど、その場を離れられなかった。
俺の感情もそこで轢かれてしまったみたいで、動かなくなってしまった。だから多分俺も相当おかしくなってしまっていたんだと思う。道端にダンボールの机と椅子で占いやってる変な婆さんのいうことを聞いてしまうなんて。
「あんた、大切な人を亡くしたね。お代はいいからこれ持っていきな。このお札を死体に貼るんだ」
みんながメソメソと泣く中、俺は線香番に立候補してお札を貼った。するとたちまち冴は目を開け、「寒い」と言った。
俺はあわててドライアイスで満たされた棺から冴を引っ張り上げた。俺の服は少し大きかったらしく、袖が余っていた。
「凛、どうして俺はこんなことになってるんだ? 死んだはずだろ」
「でも、よくわからないけど生き返ったんだから」
「凛、かわいい俺の弟。こっちおいで」
死体になった兄はどうしたって冷たくて、ぶにぶにとした触感が気色悪い、異様な存在だった。でも、過程がどうであれ兄は生き返った。俺はそれが本当にうれしくて、冷たい冴に縋って泣いた。吠えるように泣く俺に、冴は諭すように優しく言葉を続けた。
「よしよし。かわいそうに。突然兄ちゃんがいなくなってびっくりしたろ。ごめんな……でも、凛。この俺はもうサッカーができないだろ」
「俺、俺お医者さん探して、冴がサッカーできるように……」
「何いってんだ。冷静に見ろよこの今にも崩れそうな身体……どう考えても戻らないよ……そうであるなら、俺は生きる意味がないから。ごめんな。お前のために生きてやれなくて。でも俺、お前だけがサッカーをやれるの耐えられないと思うから。ごめんな、凛。せっかく呼んでくれたのに。みんなびっくりしちゃうから、俺は素直に死ぬよ……そりゃあやりたいことたくさんあったけど、死んだ後じゃどうにも……そういうことだから、凛、さよなら。先に行って待ってるけど、急いでなんかくるなよ。絶対だ。兄ちゃんと約束。できるな?」
「うん」
「いい子だ。鼻水かめよ。じゃ」
冴が自分の額に貼られたお札を剥がすと、冴は意識を失った。ゴトリと大きな音を立てて倒れ伏した冴は、糸が切れた操り人形みたいに動かなくなった。
夢を見ていたみたいだ。
でも、死体に戻った冴は現実のものだった。俺は妙に冷静になって淡々と冴の死体を棺に戻した。先ほどまで泣いて縋っていたのに、モノになってしまったような気がする。自分の辞書の中の『大切な人』として登録されていた人が、『死体』として更新されてしまったような。
冴は俺の心の中で生き続ける……なんていうと思ったか。死んだら終わり、サヨナラなんだよ。
冴、永久にさよなら。俺の憎しみ、愛、執着すべてを向けてそしてそれに応えることなく永遠に俺の元からいなくなった最愛の兄。二度も永訣の別れを記憶に刻んだひどい兄。
2024/3/8