凛冴
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冴へのラブレターが郵便受けにねじ込まれているのには慣れっこだった。やさしい色合いのレターセットにキラキラのシール。小さい頃の俺に、ラブレターというものはとても美しくて喜ばしいものに映った。
けれど、俺がそういった類の手紙を渡されて郵便屋さんをやっているのを見て、兄ちゃんはいつも苦々しい顔をしていた。うれしくない好きもあることを、その表情から察した。
「兄ちゃんは、ラブレターいらないの?」
「……いらないなぁ」
「どうして? キラシールついてるし、キラ紙なのに」
「紙とかシールがキラなのはいいんだけど……受け取れないんだよ、それに入ってる気持ちに」
「ふーん……?」
「いつか凛もわかるよ」
「そうかな」
「そうだよ」
大きくなって、なんとなくわかった。
根拠や整合性が見えてこない、感情由来の好きを向けてくる人の気持ちが全然わからなくて、怖くて返事どころか開封もせず捨てている。
あんなことが起こる前は、毎月きていた兄ちゃんからのハガキは途絶え、その代わりに俺宛の手紙が入るようになった。なんてったって家族だし俺に近況を知らせよう、って思うかなとか、あんなこと言っちゃったけどほんとは普通に会話できたらなって思ってくれてるかなとかいう期待を郵便受けを覗くたびに打ち砕かれる。
けれど、俺がそういった類の手紙を渡されて郵便屋さんをやっているのを見て、兄ちゃんはいつも苦々しい顔をしていた。うれしくない好きもあることを、その表情から察した。
「兄ちゃんは、ラブレターいらないの?」
「……いらないなぁ」
「どうして? キラシールついてるし、キラ紙なのに」
「紙とかシールがキラなのはいいんだけど……受け取れないんだよ、それに入ってる気持ちに」
「ふーん……?」
「いつか凛もわかるよ」
「そうかな」
「そうだよ」
大きくなって、なんとなくわかった。
根拠や整合性が見えてこない、感情由来の好きを向けてくる人の気持ちが全然わからなくて、怖くて返事どころか開封もせず捨てている。
あんなことが起こる前は、毎月きていた兄ちゃんからのハガキは途絶え、その代わりに俺宛の手紙が入るようになった。なんてったって家族だし俺に近況を知らせよう、って思うかなとか、あんなこと言っちゃったけどほんとは普通に会話できたらなって思ってくれてるかなとかいう期待を郵便受けを覗くたびに打ち砕かれる。