凛冴
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冴の背中を追いかけている間は、ある意味楽だったのかもしれない。
何も自分の頭で考えず、冴が望む形のプレイヤーになることが俺のやりたいことだと本気で思っていたし、それで冴が喜んで、将来を有望視する言葉なんかかけてくれたなら有頂天になって未来永劫俺は冴とサッカーができて、そのまま世界一になってなどと妄想を膨らませていた。その時は世界一の座はひとつしかなく、一以外は二以下であるということがわかっていなかった。
わかっていなかったとしても、昔の俺なら何のプライドもなく冴に一番の座を譲っただろう。まるで太陽に照らされて形作る月のように、誰かに視認されることさえ他人に依存する甘ったれたつまらないやつだった俺は、なんの疑問もなく世界一になった冴に賞賛の拍手を贈っていただろう。
だからこそ今自分の中に渦巻く感情に名前をつけられないでいる。
憎しみであり、裏切られたという悲しみでもある。けれど本当は少し嬉しい。冴の下として見られることなく、冴と同じフィールドに立ってその喉笛に牙を立てることができる。
俺たち兄弟はそれでよかったのかもしれない。それが、よかったのかもしれない。
20240223
※凛冴ワンドロさんからお題「太陽」と「月」をお借りしています…
何も自分の頭で考えず、冴が望む形のプレイヤーになることが俺のやりたいことだと本気で思っていたし、それで冴が喜んで、将来を有望視する言葉なんかかけてくれたなら有頂天になって未来永劫俺は冴とサッカーができて、そのまま世界一になってなどと妄想を膨らませていた。その時は世界一の座はひとつしかなく、一以外は二以下であるということがわかっていなかった。
わかっていなかったとしても、昔の俺なら何のプライドもなく冴に一番の座を譲っただろう。まるで太陽に照らされて形作る月のように、誰かに視認されることさえ他人に依存する甘ったれたつまらないやつだった俺は、なんの疑問もなく世界一になった冴に賞賛の拍手を贈っていただろう。
だからこそ今自分の中に渦巻く感情に名前をつけられないでいる。
憎しみであり、裏切られたという悲しみでもある。けれど本当は少し嬉しい。冴の下として見られることなく、冴と同じフィールドに立ってその喉笛に牙を立てることができる。
俺たち兄弟はそれでよかったのかもしれない。それが、よかったのかもしれない。
20240223
※凛冴ワンドロさんからお題「太陽」と「月」をお借りしています…