0:10 二人の未来を変える音
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
大晦日
0時を過ぎると不思議と 生まれ変わったような新しい気持ちになる
新年を迎えたからといって 何かが変わるわけでもないのに
なんかちょっとワクワクするし いつもみたいに眠くならへん特別な夜
ピコンピコンと鳴る音が 次々にメッセージがきてることを知らせる
スマホを見ると 私がマネージャーを務める稲荷崎高校バレー部の
同学年の間で作られたグループLINEが活発に動いていた
『あけましておめでと』
『何してるん』
『蕎麦食うとる』
『こいつさっきもなんか食うとったけど』
相変わらずなテンポのええやりとり
それが面白くて返事をするタイミングを逃して見入ってしまう
スナからのメッセージで「ひかりは?行く?」って
なんのことやろと思って少し遡ると
明日午後から皆で初詣に行くって話になってるようやった
まぁ特に予定もないしな
でも唯一の元旦の休みまで皆と一緒に居ったら
楽しいやろうけど 休んだ気にはならなさそうやなぁ
どないしよ
その初詣に侑は来るんやろか
侑とは 顔を合わせたら喧嘩ばっかしてまう仲や
「なんで正月早々お前の顔見なあかんねん」とか言われそう
うん たぶん言うな
言う時の意地悪な顔まで見えたわ
私は 一日から侑に会えたら最高に嬉しいけど…な
だって ずっと好きやもん
なかなか素直になられへんから拗らせてるけど
すぐ喧嘩を買うてまう私に 友達はもう呆れとる
まぁ 悲しいかな予定もないし
「私も行こうかな」
迷いながらそう送ろうとした時 突然電話が鳴る
え 嘘やろ
ディスプレイに映る 『侑』の文字
手当たっただけとかそんなんかもしれへんと思って
とりあえず電話に出んかったら何回も掛けてくる
何? なんでや?
間違いやないんか
ずっと鳴り続ける着信音 恐る恐る通話ボタンを押してみた
「あ、あけましておめでとう」
平静を装い 電話に出るなりそう伝えてみる
でも向こうからは何の声も聞こえへん
不思議に思いながら
「侑?どないしたん?」って聞いてみた
「なんしとん」
「え。今?」
「おん」
「LINE返して、もう寝ようかなって 思ってたところ」
「ふーん…明日…ちゃうわ、今日どないするん?」
「まぁ迷ってる。大事な春高前やしなぁ」
「せやなぁ」
「寒そうやし 体調崩したらあかんやん」
「大丈夫やろ」
ん?なんなん?
「ほな行こうかな」
「や〜、でもな」
「何?」
「大勢で行くもんでもないやろ」
「そう?皆で行ったら楽しいんとちゃうん? 必勝祈願もせなあかんしな。うん。よし、行こう。今すぐ返事送るわ」
「待て待て待て」
「何?どないしたん?」
なんか 侑の様子がおかしい
まぁいつも変やけど いつも以上に変や
「無理すんなて」
「なんも無理してへんけど。そっちこそ春高前に大丈夫?人混みやで」
「俺はお前と鍛え方がちゃうから」
なんなんよ 来てほしくないんやろか
「私、行かへん方がええ?」
まぁ新年早々喧嘩になるんは目に見えとるし 唯一の休みも私と顔ら合わせたないわなぁ
「いや、そんなんとちゃうねん…」
「なんよ、どないしたん」
やっぱり 侑 変や
「なぁ治は?何しとるん?」
「知らん。なんか食うとるんとちゃうか。あいつんことはどうでもええねん。あのな…」
侑が何かを言いかけた時 ちょうど後ろで治らしき声がした
それに対して侑は『うっさいねん』とか言うて
二人は私のことそっちのけでなんや言い合いをし始めた
年が変わっても なんも変わらん
相変わらずすぎて笑ってまう 私の存在は空気かっちゅうねん
二人の言い争いが静かになってから
「ほな、私の分もお参りしてきてや。侑がサーブ決めまくりますように、みんなで勝てますように、て。私は人混み避けてまたそのうち行くわ」
そう伝えた
「ひかり」
「んー?」
「お前も行くねん」
「なんよ…ほんまどっち。来てほしないんとちゃうの?」
「ちゃう」
「ちゃうん?新年早々お前の顔見たないわと思って、わざわざ電話かけてきたんとちゃうん?」
「もう! そうとちゃうねんて!」
「えー?ほな、なんなん。もう」
言いたいことあるんやったら はっきり言うてよ
「行くから」
「え?」
「昼頃、迎えに行く」
「え? どこへ」
「お前ん家」
「私の家に、誰と来るん」
「一人に決まっとるやろ」
もしかして もしかしてや
「侑、私と初詣行きたいん…?」
「ちゃう、わ」
「ちゃうん?」
「ちゃ、…ちゃうことない」
たぶんやけど
もう今顔真っ赤とちゃう?
電話越しでわかるわけないけど そんな気すんねん
いや私もやばいくらい真っ赤やけどな
「なんで春高前にそんなん言うかな…」
「春高関係ないやろ」
「断られへんやん。だって侑、私に断られたらショックやろ」
「そんなん考えてへんかった」
それはそれで めっちゃ侑らしいわ
断れるわけないやんか
こんな特別な夜 素直にならなもったいない
予感がした
年が変わって たぶん 私と侑は 何かが変わる
「二人で行こ?」
私がそう言うと 侑は「おん」って 返事をしてくれた
どないしよ もうやばいくらいにやけてしまってる
電話を終えた後
さっきのLINEを見ると私と侑以外のメンバーで話はテンポ良う進んどった
私は「先約ありなので」 ごめんね
そんなスタンプと共にメッセージを送信した
そしたらまたすぐにピコンという音がして
「早よ寝ぇや」って侑からの個別LINEがきて
にやけとった顔が もう蕩けとるんとちゃうかて思うくらい
だらしない表情になっとる気がした
「どないしよ。めっちゃ幸せや」
ぽつりと一人 そんなことを呟いて 枕に顔を埋めた
こんな一年の始まり 誰が予想できたやろう
いまだに信じられへん
未だ鳴り響く除夜の鐘の音 これが夢やないと知らせてくれとるみたいや
一年に一度のこんな特別な夜 絶対に忘れられへん
しばらく寝つかれへんかったことは侑には内緒にしとこう
ちょっとおまけの話
「今年もよろしく」
そんな私の言葉から始まった初詣デート
二人で出かける初めての日が 元旦ってめちゃくちゃ特別感あるなぁ
二人きりになることってあんまりないし
昨日の今日? で気まずくならへんやろか ってちょっと心配しとったけど
驚くほど自然で
そんで いつもみたく憎まれ口を叩かれることも
すぐ喧嘩になることもなかった
去年より少し変わってしまったかもしれへん関係に
期待してしまいそうになる
私がお参りする列に並ぼうとすると
「うわ」 って そんな声と共に 侑が嫌な顔したなぁと思ったら
さっと私の腕を掴んで自分の後ろに隠すようにした
「ど、どないしたん?」
「あいつら、おる」
突然掴まれた腕
手の大きさもそう
綺麗やのに骨ばっとるこの感じ 自分とは全く違うそれに
ドキドキしながら 侑の背中に隠れてみる
でも バレバレやったみたいで
「新年早々あっついのぅ」
「妬けるじゃん」
スナと治にヒューヒュー冷やかされて 侑はめっちゃキレとった
「えっ、侑とひかり…付き合うとるん?」
純真無垢な銀ちゃんらしい問いかけに
「「まだ付き合うてへん!!」」 って
侑と二人 声を揃えて仲良く叫んだ初春
予感はしてるし 期待もしてる
欲しい言葉はきっと侑が言うてくれるやろうから
私はもうちょっとだけ待つことにするわ
0時を過ぎると不思議と 生まれ変わったような新しい気持ちになる
新年を迎えたからといって 何かが変わるわけでもないのに
なんかちょっとワクワクするし いつもみたいに眠くならへん特別な夜
ピコンピコンと鳴る音が 次々にメッセージがきてることを知らせる
スマホを見ると 私がマネージャーを務める稲荷崎高校バレー部の
同学年の間で作られたグループLINEが活発に動いていた
『あけましておめでと』
『何してるん』
『蕎麦食うとる』
『こいつさっきもなんか食うとったけど』
相変わらずなテンポのええやりとり
それが面白くて返事をするタイミングを逃して見入ってしまう
スナからのメッセージで「ひかりは?行く?」って
なんのことやろと思って少し遡ると
明日午後から皆で初詣に行くって話になってるようやった
まぁ特に予定もないしな
でも唯一の元旦の休みまで皆と一緒に居ったら
楽しいやろうけど 休んだ気にはならなさそうやなぁ
どないしよ
その初詣に侑は来るんやろか
侑とは 顔を合わせたら喧嘩ばっかしてまう仲や
「なんで正月早々お前の顔見なあかんねん」とか言われそう
うん たぶん言うな
言う時の意地悪な顔まで見えたわ
私は 一日から侑に会えたら最高に嬉しいけど…な
だって ずっと好きやもん
なかなか素直になられへんから拗らせてるけど
すぐ喧嘩を買うてまう私に 友達はもう呆れとる
まぁ 悲しいかな予定もないし
「私も行こうかな」
迷いながらそう送ろうとした時 突然電話が鳴る
え 嘘やろ
ディスプレイに映る 『侑』の文字
手当たっただけとかそんなんかもしれへんと思って
とりあえず電話に出んかったら何回も掛けてくる
何? なんでや?
間違いやないんか
ずっと鳴り続ける着信音 恐る恐る通話ボタンを押してみた
「あ、あけましておめでとう」
平静を装い 電話に出るなりそう伝えてみる
でも向こうからは何の声も聞こえへん
不思議に思いながら
「侑?どないしたん?」って聞いてみた
「なんしとん」
「え。今?」
「おん」
「LINE返して、もう寝ようかなって 思ってたところ」
「ふーん…明日…ちゃうわ、今日どないするん?」
「まぁ迷ってる。大事な春高前やしなぁ」
「せやなぁ」
「寒そうやし 体調崩したらあかんやん」
「大丈夫やろ」
ん?なんなん?
「ほな行こうかな」
「や〜、でもな」
「何?」
「大勢で行くもんでもないやろ」
「そう?皆で行ったら楽しいんとちゃうん? 必勝祈願もせなあかんしな。うん。よし、行こう。今すぐ返事送るわ」
「待て待て待て」
「何?どないしたん?」
なんか 侑の様子がおかしい
まぁいつも変やけど いつも以上に変や
「無理すんなて」
「なんも無理してへんけど。そっちこそ春高前に大丈夫?人混みやで」
「俺はお前と鍛え方がちゃうから」
なんなんよ 来てほしくないんやろか
「私、行かへん方がええ?」
まぁ新年早々喧嘩になるんは目に見えとるし 唯一の休みも私と顔ら合わせたないわなぁ
「いや、そんなんとちゃうねん…」
「なんよ、どないしたん」
やっぱり 侑 変や
「なぁ治は?何しとるん?」
「知らん。なんか食うとるんとちゃうか。あいつんことはどうでもええねん。あのな…」
侑が何かを言いかけた時 ちょうど後ろで治らしき声がした
それに対して侑は『うっさいねん』とか言うて
二人は私のことそっちのけでなんや言い合いをし始めた
年が変わっても なんも変わらん
相変わらずすぎて笑ってまう 私の存在は空気かっちゅうねん
二人の言い争いが静かになってから
「ほな、私の分もお参りしてきてや。侑がサーブ決めまくりますように、みんなで勝てますように、て。私は人混み避けてまたそのうち行くわ」
そう伝えた
「ひかり」
「んー?」
「お前も行くねん」
「なんよ…ほんまどっち。来てほしないんとちゃうの?」
「ちゃう」
「ちゃうん?新年早々お前の顔見たないわと思って、わざわざ電話かけてきたんとちゃうん?」
「もう! そうとちゃうねんて!」
「えー?ほな、なんなん。もう」
言いたいことあるんやったら はっきり言うてよ
「行くから」
「え?」
「昼頃、迎えに行く」
「え? どこへ」
「お前ん家」
「私の家に、誰と来るん」
「一人に決まっとるやろ」
もしかして もしかしてや
「侑、私と初詣行きたいん…?」
「ちゃう、わ」
「ちゃうん?」
「ちゃ、…ちゃうことない」
たぶんやけど
もう今顔真っ赤とちゃう?
電話越しでわかるわけないけど そんな気すんねん
いや私もやばいくらい真っ赤やけどな
「なんで春高前にそんなん言うかな…」
「春高関係ないやろ」
「断られへんやん。だって侑、私に断られたらショックやろ」
「そんなん考えてへんかった」
それはそれで めっちゃ侑らしいわ
断れるわけないやんか
こんな特別な夜 素直にならなもったいない
予感がした
年が変わって たぶん 私と侑は 何かが変わる
「二人で行こ?」
私がそう言うと 侑は「おん」って 返事をしてくれた
どないしよ もうやばいくらいにやけてしまってる
電話を終えた後
さっきのLINEを見ると私と侑以外のメンバーで話はテンポ良う進んどった
私は「先約ありなので」 ごめんね
そんなスタンプと共にメッセージを送信した
そしたらまたすぐにピコンという音がして
「早よ寝ぇや」って侑からの個別LINEがきて
にやけとった顔が もう蕩けとるんとちゃうかて思うくらい
だらしない表情になっとる気がした
「どないしよ。めっちゃ幸せや」
ぽつりと一人 そんなことを呟いて 枕に顔を埋めた
こんな一年の始まり 誰が予想できたやろう
いまだに信じられへん
未だ鳴り響く除夜の鐘の音 これが夢やないと知らせてくれとるみたいや
一年に一度のこんな特別な夜 絶対に忘れられへん
しばらく寝つかれへんかったことは侑には内緒にしとこう
ちょっとおまけの話
「今年もよろしく」
そんな私の言葉から始まった初詣デート
二人で出かける初めての日が 元旦ってめちゃくちゃ特別感あるなぁ
二人きりになることってあんまりないし
昨日の今日? で気まずくならへんやろか ってちょっと心配しとったけど
驚くほど自然で
そんで いつもみたく憎まれ口を叩かれることも
すぐ喧嘩になることもなかった
去年より少し変わってしまったかもしれへん関係に
期待してしまいそうになる
私がお参りする列に並ぼうとすると
「うわ」 って そんな声と共に 侑が嫌な顔したなぁと思ったら
さっと私の腕を掴んで自分の後ろに隠すようにした
「ど、どないしたん?」
「あいつら、おる」
突然掴まれた腕
手の大きさもそう
綺麗やのに骨ばっとるこの感じ 自分とは全く違うそれに
ドキドキしながら 侑の背中に隠れてみる
でも バレバレやったみたいで
「新年早々あっついのぅ」
「妬けるじゃん」
スナと治にヒューヒュー冷やかされて 侑はめっちゃキレとった
「えっ、侑とひかり…付き合うとるん?」
純真無垢な銀ちゃんらしい問いかけに
「「まだ付き合うてへん!!」」 って
侑と二人 声を揃えて仲良く叫んだ初春
予感はしてるし 期待もしてる
欲しい言葉はきっと侑が言うてくれるやろうから
私はもうちょっとだけ待つことにするわ
1/1ページ