この秘密は墓場まで持っていくわ
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ある日 夜の仕事に出勤する前 古くからお世話になるお客さんと食事に行った 同伴っちゅうやつやな
自分のお金では行くことのない高級店
何回も連れてきてもろたことあるから 美味しいのもわかっとる
せやけど 悪阻のせいか気分悪ぅてほとんど食べられへんかった
食事を済ませて お店に向かって歩いとる時
「佐藤…?」
声がした方を見ると 元同級生の銀島くんがおった
「久しぶりやなぁ」
そう声をかけてきた銀島くん その隣を見てヒヤッとした
同じ顔 せやけどちゃうん 黒髪やもん
銀島くんと一緒におるこの人は 侑の片割れの治くんや
侑やなくてほんまによかった そんなことを思いながら挨拶がわりに軽く手を振る
「何しとるん?」
治くんてこんなに声低かったっけ
話したことも数えるほどしかないし それも昔すぎてわからへんけど
「え、と……今から仕事」
隣におる男性を見て 治くんも銀島くんもある程度察したやろう
流行りのパパ活やと勘違いされてへんことを祈るわ
別に何も悪いことしてへん 真面目に生きて 普通に働いとるだけ 見られて困るもんでもない
ただ なんやろう 気分の悪さが増した
「急いどるから ごめん」
そして 逃げるようにこの場を立ち去った
この日の深夜
びっくりするくらい 何回も侑から着信があった
このタイミング たぶん私のことをあの二人から聞いたんやろう
もう出ぇへんよ
これ以上かけてきたら拒否しよう そう思ったら ぴたりと音は止んだ
それから数日後 夜の仕事中 ひどい吐気に襲われて 控室に駆け込んだ
これ以上出すもんないで それくらい嘔吐して 椅子に座り項垂れとったら そこにママが現れた
「大丈夫?こないだから 変やなぁと思ってたんやけど ひかりちゃん もしかして…」
「すみません すぐ戻るんで」
何日も体調崩しとって こんだけ吐いてたら そら気づくやろう
迷惑かけとるなぁて 嫌になる
「店には戻らんでええ もう帰り」
「大丈夫です」
「ええて 無理したらあかん」
「…すみません」
隣に座って背中を優しく撫でてくれるママ
なんでこんな時に 亡くなった母のこと思い出すんやろう 人には寿命がある 命には限りがあるから尊い 全部わかっとるけど 私には他に誰もおらへんの
私のこと一人にせんとってほしかった
目に溜まった涙が頬を伝った
「産むん?」
「産みます」
「お相手は?」
「…私 一人で育てます」
ママは悟ったんやろう ため息を吐いた
「簡単なこととちゃうで」
「わかってます」
痛いくらいにわかっとるけど 誰にも頼らんと産むて決めとるから
「覚悟できとるん?」
ママの言葉に ゆっくりと頷く
「ほななんも言わん 今日の分はラストまでつけとくからもう帰り
体調良うなったらまた連絡して 今は絶対に無理したらあかん時やで」
ママに何度も謝って 帰り支度をした
ふらふらの足取りで店を出る その時 通路でお客様とすれ違った
この人は たしか 侑の会社の偉いさんやわ
「お前何しとんねん」
そう言われて 顔を上げるけど 見んでもわかるねん
侑や
また連れられて来たんやろうか こんな時に会うてまうて タイミング悪すぎへん
ぺこっと頭を下げてエレベーターのほうへ向かう
乗り込んで慌てて閉ボタンを押すんやけど
閉じかけたドアを突然押さえて
無理やり乗り込んできた侑に 嘘やろ と思う
最悪や
「何で俺のこと無視するん?なんで連絡返さへんねん 何でまたあっこで働いてんねん」
そんな一気に言われても 今 どれにも答える元気ない
「なぁ聞いとる?」
頭の上 ドンっと壁を叩かれて
まるで逃げ道を塞ぐように目の前に立たれた
あかん 気分が悪い
ハンカチで口元を押さえて 俯く
「なんやねん 具合悪いん?」
その問いかけには頷いてみる
「飲みすぎたとか?」
ええわ そういうことにしとこ
ブンブンと首を縦に振る
「そないなるまで飲むなや」
連絡ブチって勝手に夜職戻って 他の男にへらへらして こんなになるまで酒に酔うとるような女 最悪やな
もう どうでもええやろ
ほんまに ほっといて
一階に着いた エレベーター 急いで飛び出すも 隣に並んで歩いてくる
さっきの偉いさん 放っといてええんかな
っちゅうかこのままついて来られたらまずい
あんな家見せられへん
それに 私は一人で産み育てることを決めたから
今さら 侑と話すことは なんもない
せやのに なんでついてくるん
こっちは気持ち悪くて 今にも吐きそうやねん
侑おるし 誰に見られとるかわからへんし こんなところで嘔吐したら最低最悪やわ 我慢 我慢…
なぁ聞いとる?とか横でやいやい言うとるけど ほんまそれどころやないねん やかまし
具合悪い言うとるやろ 静かにしてくれへん?
心配しとんのかなんなんかわからへんけど 手を貸そうとする侑 それを振り払う
もし嘔吐して 服でも汚してみ まためんどいことなるで
「うっ」
限界が近い ハンカチで口をぐっと押さえる
これ以上は無理やわ 仕方ない 家見せたくないけど そんなこと言うてられへん
慌てて家に帰った そこからのことは覚えてない 気づいたらトイレでマーライオンやった
「どんだけ飲んだねん」
呆れたように言われるけど ちゃうねん でもそれは否定できへんやん
背中を撫でようとした侑の手 ぺしっと払ってやる
生理的な涙が出てくる 顔はぐちゃぐちゃやし 家は見られるし 最悪でしかないやん
「なんでまだ夜働いてんねん?腹立つ」
腹立つて言われても なぁ
事情が事情なだけに説明できへんけど とにかくお金がいるもんで
なんかめっちゃ睨んでくる それに気づかんふりして 目を逸らす
勝手に人の部屋入って 椅子に座っとる侑
ほんまなんでおるん 頼むから帰ってほしい
うん 帰ってもらお そうする為に嫌なことばかり言うたろやん
「彼女に会うたわ」
「彼女?」
なんのことやねん とでも言いたそうな表情
「侑の彼女 綺麗な人やなぁ」
「いつ?どこで」
「ちょっと前に家行ったら 家の前におった」
「彼女とちゃうわ 元カノやろ」
「そう思っとるん侑だけとちゃう その人は侑と付き合うとるから私にはもう来んな言うとったで」
「知らんて ひかりと居るようになってから他の女と会うてへんわ そんなことより俺の質問に先答えんかい」
答えたくないねん 察してや
もうええわ 元カノか何か知らんけどあの女の人のせいにしよ
いや まぁ事実やしな
あんなこと言われたんも嘘とちゃうし 何も言えんかったけど ショックやったんはほんまやし
あの人があの日 侑の家におらんかったら こんな結末やなかったんやろうか
私はこの秘密を侑に打ち明けて それでどうなっとったんやろう
もしもの話はもうええ 考えるんやめよ
どのみち終わっとる
「侑のこと 信じられへんねん」
そう言うたら 無表情でこっち見てくるけど 何考えとるかわからんの 相変わらずやわ
「もう 顔も見たくない」
思ってもないで でもそれくらい言わんと あかんやろ
もう会わんほうがええ
ありもせん わずかな可能性を期待させるんやめて
叶わへん夢は見たくないわ
あのことは 絶対言わへんよ
この秘密は墓場までもっていくて決めとんねん
侑の為やで 愛しとるから
でもそれは伝われへん 悔しいなぁ
あん時と一緒やわ
「うぇ……」
また気分が悪くなる 背中撫でてなんかいらん
もう優しくせんとって 一緒になられへんのに 期待させんとって
「もう帰って」
「まだ話の途中や」
まじで言うとるん?もうええ なんでもええわ誤魔化してでも 今日のところは帰ってもらおう
「わかった ほなまた連絡するわ」
「嘘とちゃうやろな」
「絶対する せやから今日は帰って ほんまにしんどいねん お願いや」
絶対連絡せえよ とかなんとか言うてる侑 その身体を無理やり押してドアの外へ放り出す
侑が部屋から出たの確認して 思いっきり扉を閉めてすぐ鍵をかけた
じゃあね 侑
今度こそ もう会わへん
侑が帰った後 我慢しとったもんが一気に開放されて 思いっきり吐いた
そのままトイレから動けずに明け方まで過ごす
いつまで続くかわからん悪阻 何食べたいとかも思えへん なんとか食べれそうなもんを探す
とにかく栄養を摂らなやばいと思う
色々試したけど 結局何を食べても嘔吐してしまうから 翌日は病院で点滴を受けた
母になるって 簡単なことやないねんな
なんかメンタルもおかしい気するわ 自律神経やらホルモンバランスとかなんか変化あるんやっけ
自分の身体が変わっていく怖さ 先の見えん不安 終わりがわからへん悪阻 これからどんどんお腹が膨らんでいく 私 どないなってまうんやろ 未知やわ
クラブのママから連絡があって 体調が優れないことを伝えると 翌日に高級なフルーツジュースが届いた
そんな気遣いを嬉しく思う これなら飲めそうやわ 遠慮なくジュースをいただいた
こうやって 摂取できるものだけを取り入れて 日々過ごした
体重はかなり落ちてしまったけど致し方ない
ただ寝て過ごす そんなのんびりはとてもできへん これは性格やからしゃあない
せやからサロンの仕事は 体調を見ながら続けとった
お客さんと話してる時は気が紛れたりもする
仕事の合間に動画サイトで 侑の所属チームのバレーボールの試合を観る
悪阻がマシになったら 現地行きたいなぁ
それくらいは許されるやろう
私は絶対に秘密にするて決めとるから 産まれたら この子と侑が会うことはない
せめてこの子がお腹におる間は 二人を繋ぐもんがあってほしい
それが侑の好きなバレーボールやったら 最高やんか
そう思うことくらいは 許して欲しい
自分のお金では行くことのない高級店
何回も連れてきてもろたことあるから 美味しいのもわかっとる
せやけど 悪阻のせいか気分悪ぅてほとんど食べられへんかった
食事を済ませて お店に向かって歩いとる時
「佐藤…?」
声がした方を見ると 元同級生の銀島くんがおった
「久しぶりやなぁ」
そう声をかけてきた銀島くん その隣を見てヒヤッとした
同じ顔 せやけどちゃうん 黒髪やもん
銀島くんと一緒におるこの人は 侑の片割れの治くんや
侑やなくてほんまによかった そんなことを思いながら挨拶がわりに軽く手を振る
「何しとるん?」
治くんてこんなに声低かったっけ
話したことも数えるほどしかないし それも昔すぎてわからへんけど
「え、と……今から仕事」
隣におる男性を見て 治くんも銀島くんもある程度察したやろう
流行りのパパ活やと勘違いされてへんことを祈るわ
別に何も悪いことしてへん 真面目に生きて 普通に働いとるだけ 見られて困るもんでもない
ただ なんやろう 気分の悪さが増した
「急いどるから ごめん」
そして 逃げるようにこの場を立ち去った
この日の深夜
びっくりするくらい 何回も侑から着信があった
このタイミング たぶん私のことをあの二人から聞いたんやろう
もう出ぇへんよ
これ以上かけてきたら拒否しよう そう思ったら ぴたりと音は止んだ
それから数日後 夜の仕事中 ひどい吐気に襲われて 控室に駆け込んだ
これ以上出すもんないで それくらい嘔吐して 椅子に座り項垂れとったら そこにママが現れた
「大丈夫?こないだから 変やなぁと思ってたんやけど ひかりちゃん もしかして…」
「すみません すぐ戻るんで」
何日も体調崩しとって こんだけ吐いてたら そら気づくやろう
迷惑かけとるなぁて 嫌になる
「店には戻らんでええ もう帰り」
「大丈夫です」
「ええて 無理したらあかん」
「…すみません」
隣に座って背中を優しく撫でてくれるママ
なんでこんな時に 亡くなった母のこと思い出すんやろう 人には寿命がある 命には限りがあるから尊い 全部わかっとるけど 私には他に誰もおらへんの
私のこと一人にせんとってほしかった
目に溜まった涙が頬を伝った
「産むん?」
「産みます」
「お相手は?」
「…私 一人で育てます」
ママは悟ったんやろう ため息を吐いた
「簡単なこととちゃうで」
「わかってます」
痛いくらいにわかっとるけど 誰にも頼らんと産むて決めとるから
「覚悟できとるん?」
ママの言葉に ゆっくりと頷く
「ほななんも言わん 今日の分はラストまでつけとくからもう帰り
体調良うなったらまた連絡して 今は絶対に無理したらあかん時やで」
ママに何度も謝って 帰り支度をした
ふらふらの足取りで店を出る その時 通路でお客様とすれ違った
この人は たしか 侑の会社の偉いさんやわ
「お前何しとんねん」
そう言われて 顔を上げるけど 見んでもわかるねん
侑や
また連れられて来たんやろうか こんな時に会うてまうて タイミング悪すぎへん
ぺこっと頭を下げてエレベーターのほうへ向かう
乗り込んで慌てて閉ボタンを押すんやけど
閉じかけたドアを突然押さえて
無理やり乗り込んできた侑に 嘘やろ と思う
最悪や
「何で俺のこと無視するん?なんで連絡返さへんねん 何でまたあっこで働いてんねん」
そんな一気に言われても 今 どれにも答える元気ない
「なぁ聞いとる?」
頭の上 ドンっと壁を叩かれて
まるで逃げ道を塞ぐように目の前に立たれた
あかん 気分が悪い
ハンカチで口元を押さえて 俯く
「なんやねん 具合悪いん?」
その問いかけには頷いてみる
「飲みすぎたとか?」
ええわ そういうことにしとこ
ブンブンと首を縦に振る
「そないなるまで飲むなや」
連絡ブチって勝手に夜職戻って 他の男にへらへらして こんなになるまで酒に酔うとるような女 最悪やな
もう どうでもええやろ
ほんまに ほっといて
一階に着いた エレベーター 急いで飛び出すも 隣に並んで歩いてくる
さっきの偉いさん 放っといてええんかな
っちゅうかこのままついて来られたらまずい
あんな家見せられへん
それに 私は一人で産み育てることを決めたから
今さら 侑と話すことは なんもない
せやのに なんでついてくるん
こっちは気持ち悪くて 今にも吐きそうやねん
侑おるし 誰に見られとるかわからへんし こんなところで嘔吐したら最低最悪やわ 我慢 我慢…
なぁ聞いとる?とか横でやいやい言うとるけど ほんまそれどころやないねん やかまし
具合悪い言うとるやろ 静かにしてくれへん?
心配しとんのかなんなんかわからへんけど 手を貸そうとする侑 それを振り払う
もし嘔吐して 服でも汚してみ まためんどいことなるで
「うっ」
限界が近い ハンカチで口をぐっと押さえる
これ以上は無理やわ 仕方ない 家見せたくないけど そんなこと言うてられへん
慌てて家に帰った そこからのことは覚えてない 気づいたらトイレでマーライオンやった
「どんだけ飲んだねん」
呆れたように言われるけど ちゃうねん でもそれは否定できへんやん
背中を撫でようとした侑の手 ぺしっと払ってやる
生理的な涙が出てくる 顔はぐちゃぐちゃやし 家は見られるし 最悪でしかないやん
「なんでまだ夜働いてんねん?腹立つ」
腹立つて言われても なぁ
事情が事情なだけに説明できへんけど とにかくお金がいるもんで
なんかめっちゃ睨んでくる それに気づかんふりして 目を逸らす
勝手に人の部屋入って 椅子に座っとる侑
ほんまなんでおるん 頼むから帰ってほしい
うん 帰ってもらお そうする為に嫌なことばかり言うたろやん
「彼女に会うたわ」
「彼女?」
なんのことやねん とでも言いたそうな表情
「侑の彼女 綺麗な人やなぁ」
「いつ?どこで」
「ちょっと前に家行ったら 家の前におった」
「彼女とちゃうわ 元カノやろ」
「そう思っとるん侑だけとちゃう その人は侑と付き合うとるから私にはもう来んな言うとったで」
「知らんて ひかりと居るようになってから他の女と会うてへんわ そんなことより俺の質問に先答えんかい」
答えたくないねん 察してや
もうええわ 元カノか何か知らんけどあの女の人のせいにしよ
いや まぁ事実やしな
あんなこと言われたんも嘘とちゃうし 何も言えんかったけど ショックやったんはほんまやし
あの人があの日 侑の家におらんかったら こんな結末やなかったんやろうか
私はこの秘密を侑に打ち明けて それでどうなっとったんやろう
もしもの話はもうええ 考えるんやめよ
どのみち終わっとる
「侑のこと 信じられへんねん」
そう言うたら 無表情でこっち見てくるけど 何考えとるかわからんの 相変わらずやわ
「もう 顔も見たくない」
思ってもないで でもそれくらい言わんと あかんやろ
もう会わんほうがええ
ありもせん わずかな可能性を期待させるんやめて
叶わへん夢は見たくないわ
あのことは 絶対言わへんよ
この秘密は墓場までもっていくて決めとんねん
侑の為やで 愛しとるから
でもそれは伝われへん 悔しいなぁ
あん時と一緒やわ
「うぇ……」
また気分が悪くなる 背中撫でてなんかいらん
もう優しくせんとって 一緒になられへんのに 期待させんとって
「もう帰って」
「まだ話の途中や」
まじで言うとるん?もうええ なんでもええわ誤魔化してでも 今日のところは帰ってもらおう
「わかった ほなまた連絡するわ」
「嘘とちゃうやろな」
「絶対する せやから今日は帰って ほんまにしんどいねん お願いや」
絶対連絡せえよ とかなんとか言うてる侑 その身体を無理やり押してドアの外へ放り出す
侑が部屋から出たの確認して 思いっきり扉を閉めてすぐ鍵をかけた
じゃあね 侑
今度こそ もう会わへん
侑が帰った後 我慢しとったもんが一気に開放されて 思いっきり吐いた
そのままトイレから動けずに明け方まで過ごす
いつまで続くかわからん悪阻 何食べたいとかも思えへん なんとか食べれそうなもんを探す
とにかく栄養を摂らなやばいと思う
色々試したけど 結局何を食べても嘔吐してしまうから 翌日は病院で点滴を受けた
母になるって 簡単なことやないねんな
なんかメンタルもおかしい気するわ 自律神経やらホルモンバランスとかなんか変化あるんやっけ
自分の身体が変わっていく怖さ 先の見えん不安 終わりがわからへん悪阻 これからどんどんお腹が膨らんでいく 私 どないなってまうんやろ 未知やわ
クラブのママから連絡があって 体調が優れないことを伝えると 翌日に高級なフルーツジュースが届いた
そんな気遣いを嬉しく思う これなら飲めそうやわ 遠慮なくジュースをいただいた
こうやって 摂取できるものだけを取り入れて 日々過ごした
体重はかなり落ちてしまったけど致し方ない
ただ寝て過ごす そんなのんびりはとてもできへん これは性格やからしゃあない
せやからサロンの仕事は 体調を見ながら続けとった
お客さんと話してる時は気が紛れたりもする
仕事の合間に動画サイトで 侑の所属チームのバレーボールの試合を観る
悪阻がマシになったら 現地行きたいなぁ
それくらいは許されるやろう
私は絶対に秘密にするて決めとるから 産まれたら この子と侑が会うことはない
せめてこの子がお腹におる間は 二人を繋ぐもんがあってほしい
それが侑の好きなバレーボールやったら 最高やんか
そう思うことくらいは 許して欲しい