カースト上位の可愛い女子に甘えられる侑くんの話
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二年になって同じクラスになった〇〇ちゃん
派手な髪色に煌びやかなネイル
お化粧も上手で お人形さんみたいな顔立ち
細くてモデルさんみたい
学年でも目立つグループの中心的人物で もちろん男の子からも人気がある
知らん生徒はおらんと思う そんな〇〇ちゃん
同じグループの子達とはクラスが離れたみたいで 教室の中ではよく一人でおった
その姿が少し寂しそうに見えて
話しかけてみようと思いつつも 地味な自分との格差やったり 次元の違いを感じて
なかなか声をかけれずにいた
男子からは よう話しかけられとるみたいやけど
女子にはあんまり好かれてないんか クラスでも浮いてるように見えた
「ひかりちゃん…?このキャラ好きなん?可愛いよなぁ」
突然そう声を掛けられて驚いた
今のは?
もしかして私に?
〇〇ちゃんは確実に私の名前を口にした
「えっ、あ …うんっ」
驚きのあまり 挙動不審な態度でそう答えるのが精一杯やった
うわぁ
近くで見たら やっぱりめちゃくちゃ可愛いなぁこの子
「よかったら仲良くしてなぁ。私のことは〇〇って呼んでくれたらええから」
そう言ってくれて 嬉しくて
私は〇〇ちゃんとどんどん仲良くなっていった
友達になれて嬉しい
そう思っとったのに
それはたぶん私だけやった
〇〇ちゃんが おかしいことに気づいたんは その後しばらくしてから
「ひかりちゃんって男バレのマネしとるんやんな?」
「うん そうやで」
「ほな宮くんのL⚫︎NE知ってる?」
そう聞かれて 一瞬ドキっとした
宮くんは双子や
〇〇ちゃんが言うとるんは どっちの宮くんのことやろ
なんで〇〇ちゃん そんなこと聞くんやろか
もしかして…
「LI⚫︎E知らへんよ」
「えっ!?知らんの?同じ部活やのに?」
そんなにおかしいやろうか?私はただのマネージャーやから 連絡先交換したりもせんし…
〇〇ちゃんはどっちの宮くんのことを言うてるんやろう
実は私
高一の時からずっと侑くんに片想いしてる
せっかく仲良うなれた〇〇ちゃんと 同じ人を好きになるなんて考えたくもない
「なんでそんなこと聞くん?どっちの宮くんのこと?」
そう聞くと とんでもない答えが返ってくる
「どっちでもええねん。宮くん人気あるし、彼氏にしたら自慢できるやん」
やっぱり 〇〇ちゃんは私とは次元が違う
「っ、せやなぁ。か、かっこええもんなぁ」
そう 合わせて返すんで精一杯やった
「ひかりちゃんは好きな人おるん?」
そう聞かれて 戸惑う
「応援するし、誰にも言わへんから教えてやぁ」
ニコッと可愛く笑う〇〇ちゃん
どないしよか迷ったけど 侑くんのことは好きになってほしないしなぁ
そんなことを思った私は
親友以外誰にも言うたことのない秘密を 簡単に暴露してしまう
「私は…侑くんのことがずっと好きやねん」
誰にも聞こえへんような 小さな声で〇〇ちゃんにそう伝える
「ふぅん。そうなん?ほな協力したげるわ」
その返事に何故か嫌な予感しかせぇへんかった
「いや、ええよ。私なんかただのマネージャーや思われてるだけやろし。私は 侑くんがバレーしてるん見てるだけで 十分やねん」
それで この話は終わったと思ってた
治くんには悪いけど 宮兄弟と付き合いたいんやったら お願いやから治くんのほうを狙って…そう願いながら
それからやった
〇〇ちゃんと侑くんは急に親しくなった
休み時間に話してるんをよう見かけるようになったし
最初こそ私も交えて…って感じやったけど
今では二人で話しとることが多い
楽しそうに話しながら 侑くんにボディタッチしとるのも何回も見た
私 侑くんのこと好きやて言うたのに
〇〇ちゃん なんで?
そう思ったけど 何も言われへんかった。侑くんも満更でもなさそうに見えて それでまた 胸を締めつけられるように苦しい
「侑、めっちゃチャラいからやめとき? 私の友達とも連絡取り合うとるみたいやし」
〇〇ちゃんにそんなこと言われて 聞きたくないと思った
でもそれもよう言わんかった
「そうなんや」って苦笑いするだけ
いつの間にかお互いの名前を呼び捨てにしてるんも気になった
侑くんも〇〇ちゃんのこと 下の名前で呼んでるみたいやった
私のことは佐藤かマネ呼びやのにな
やっぱり男はみんな 〇〇ちゃんみたいな可愛い子が好きなんやろな
バレーばっかしてると思ってた侑くんも きっとそうなんやろう
あんな可愛い子に身体触られたり 甘えられたりして 嫌な気せんよな
ええな 羨ましいな
私には絶対真似できへん
あの子に なりたい
そんなことを思う瞬間が増えた
その頃にはもう 〇〇ちゃんは私を避けとるんか
私達が一緒におることが少なくなっとって
どこからか
『侑くんと〇〇ちゃん 付き合うとるらしいで』って
そんな噂も耳にするようになった
そんな噂 信じたくなかったけど
部活終わりに二人が一緒に帰ってるところも見た
侑くんは あの子を選んだんやろか
そうやとしたら私は祝福する以外ない
やないと ただの嫌な女になってしまうやん
胸が 痛い
私には
二人を見てることしか できへん
それから数日後
バレー部内での連絡を伝える機会があって 侑くんと少し話していた時のこと
「最近 〇〇と仲良うないんか?」って
そんなことを聞かれた
侑くん そんなこと気にするタイプ?… には到底見えへんねんけど
それに仲良うないっちゅうか 私が避けられてるだけやねんな
「心配かけてごめん。仲良うないことは、ないんやけど…」
そう言いかけて
少し離れたところに〇〇ちゃんの姿があるんに気付いた
怖くなって 慌てて侑くんから距離を取った
少し時間が経ってから
「さっき侑と何話してたん?」って
〇〇ちゃんに話しかけられた
話しをすること自体久しぶりで 正直 気まずさもあるけど
私はちょっとだけ嬉しかった
せやのに
「侑 ひかりちゃんのこと興味ないって言うてたよ」
なんで そんなこと言うん
「私も 侑のこと好きになってしもた」
「え…?」
「せやから諦めてほしい」
頭の中は真っ白
驚きのあまり呼吸は止まりそう
「もう私らに話しかけんとってなぁ」
そう言うた〇〇ちゃんの顔は どこか優越感に浸ってるような そんな表情に見えた
この日から私は 侑くんとも 〇〇ちゃんとも口を聞かんようになった
二人の姿を見かける度
隠れたり逃げたりして 避け続けた
_______________
ある日の休憩時間
「ツムになんかされたん?」
たまたまうちの教室の前を通りがかったんか
双子の片割れの治くんに声を掛けられた
「ううん、何も」
「ほな何で口聞かへんねん」
「…」
「あいつになんか嫌なこと言われたんとちゃうんか?」
治くんってほんまに優しいよなぁ
ただのマネージャーの私にも こうやって声を掛けて
気遣ってくれて
見た目だけやなくて モテるんわかるなぁ
そんなことを思った
「ありがとう。でも何もないから大丈夫やで」
へらっと笑って 自分の席へ戻ろうとした
「あいつんこと 好きやったんとちゃうんか?」
そう言われて顔を真っ赤にしてしまう
待って バレとる…?
否定か肯定か したほうがええよな?
「え、いや…その…あの」
言葉に詰まってしまう
「妙な女に付き纏われとるん、あれ何とかしたほうがええんとちゃう」
「えっ?」
治くんが言うてる妙な女って
〇〇ちゃんのことやろうか?
「…でも二人もう付き合うてるやろうから」
悲しいけど 私の入る隙なんか たぶん無い
「は?付き合うてへんやろ」
「そうなん?」
治くんが言うならそうなんやろか でも私の出る幕なんか無いやろ
そんなつもりはなかったけど 話しかけんとってって言われてしもたし
根性もないから言い返すこともできへんかった
「私は もうええねん。侑くんのことは見てるだけでええから。今までもそうやったし」
それだけ言うて無理やり笑う
そして逃げるように治くんの前から立ち去った
治くんの手前 ああ言うたものの
なるべく二人のことは視界に入れたくなかった
今日もたぶん〇〇ちゃんは
侑くんのバレーが終わるんを待っとって
二人で一緒に帰るんやろうなぁ
そんなん見たくないわ
一人そそくさと帰ろうとすると
治くんが「一緒に帰ろうや」って声を掛けてきた
「わ、私?」そん時 周りには他のバレー部員がいっぱいおって 皆 目を丸くして なんで?って顔してこっちを見とった。
そらそうやろ
治くんと私は特別仲がええわけとちゃう
一緒に帰るなんて ありえへんねん
「行くで」
治くんに掴まれた腕
軽く引っ張られながら校門の方へと向かう
どないしたんやろうか
なんかあったんやろうか
どう切り出せばええんかわからんで悩んでたら
「ちょぉ待て!」
後ろの方から大きな声が聞こえてきた
それは間違いなく侑くんのもんで
その声に反応して振り返る治くんの顔は怒ってるようにも見えた
そこに〇〇ちゃんが現れて
「侑〜♡部活お疲れ」
甘ったるい可愛い声
私とは全然違う 声帯もそうや 何もかもが違う
この子は私の欲しいもんを全部持ってる
侑くんの腕にしがみつく〇〇ちゃん
「ねー侑ってば」
「喧し。ちょぉ黙っとけや」
そう言って 〇〇ちゃんの手を振り払った
「おいサム!お前どういうつもりやねん」
侑はすごい剣幕で怒ってて
何があったんか この場が混沌としとって状況がいまいちわからん
「どういうつもりもあらへん。いつまでもこいつのこと放っとるからもういらんのやろな思て」
え?私のこと?
放ってる?
「うっさいわ!とにかくその手ぇ離さんかい!」
私のことを掴んでた治くんの手がバチンと叩かれて離れる
何が起きてるん…?
「お前もうええやろ!ストーカーされとる言うてた元カレも いっこも現れへんやないかい」
イライラした様子の侑くんは 眉間に皺を寄せて〇〇ちゃんを睨みつけた
「それはたまたまやて!侑が毎日一緒におってくれるから…」
「ほなこれからは他の男に頼めや。俺やなくてもええやろ」
「いやや、うちは 侑くんがええ」
「佐藤と喧嘩したから仲直りしたい言うとったんも、どないなってんねん。謝ったんか?」
侑くんと〇〇ちゃんが私の方を見た
「それは…ひかりちゃんが口聞いてくれへんのやもん! 私が侑と居るようになってから、ひかりちゃん冷たなった」
えっ?
ちゃうやん
〇〇ちゃん それは全然ちゃう
「ほんまなんか?」
侑くんが私を真っ直ぐ見つめてくる
足が震えてきて 目を逸らしてしまった
どないしよ
ここで ほんまのこと言うたら
〇〇ちゃんは気まずくておられへんようになってまうよな
侑くんのこと好きやのに それはきついよな
「え、と…ごめん。私が悪…」
「ちゃうやろ。こいつが連れと話しとるん俺聞いたもん」
治くんの声に 私が言いかけた言葉はかき消されてしまう
「あのマネ邪魔やねん。可愛ないくせに侑のこと好きやねんて。侑は元彼に付き纏われとるて言うたら優しくしてくれるし、たぶんもうすぐ落とせる って、なぁ?」
「ちが…」
「ちゃうん?二度と話しかけんな言うたったって笑っとったやん。めっちゃ大きい声で」
治くんが嘘をつくとは思われへん
でも 何かの間違いであってほしい そうも思うんやけど
〇〇ちゃんの顔が みるみる真っ青になっていくから
間違いではないんやと わかってしまう
「言うてへんもん…そんなこと」
「言うとったやんか。あん時たまたまな、もう一人聞いとった奴おんねん。そいつも呼んだろか?」
治くんに詰められて 〇〇ちゃんは見たことないくらい狼狽えとった
「こいつのおままごとにいつまで付き合うとるねんアホツム」
治くんはそう言うて 私の背中を侑くんの方へ向かって軽く押した
突然のことにバランスを崩した身体は
侑くんの逞しい腕に抱えられて 収まってしまう
「お前もお前や。どこまでお人よしやねん」
治くんは私に向かって静かにそう言い放った
え?治くん怖っ…
でもその表情は めちゃくちゃに優しい
〇〇ちゃんは侑くんに弁解しようと必死やった
「佐藤と喧.嘩してしもた言うから話も聞いたし、困っとる言うから助けてやらな思たけど…お前最低やな」
「ちゃうねん…」
言い訳すらできへんよう追い詰められて
〇〇ちゃんは逃げるようにこの場を立ち去ってしまった
その後すぐ 治くんも帰ってしまって
私と侑くんが この場に取り残された
〇〇ちゃん大丈夫やろか
ちょっと気の毒に思えて 追いかけようとした
でも侑くんは離してくれへんかった
「行かんでええ」
「でも…」
「次会うても俺は別に普通にするし 佐藤が気にすることとちゃう」
その言葉を聞いて ほんのちょっと安心する
そして侑くんから身体を離して
「しばらく口も聞かへんで 感じ悪かったよなぁ。ごめんなさい」
そう 謝罪の言葉を伝えた
「なんでやねん…謝るんは俺のほうや。あいつの言うこと真に受けとった。ほんますまんかった」
そう言って申し訳なそうに私を見つめる侑くん
気付いたら自然に手が繋がれとって吃驚する
「あの、手が…」
「嫌なん?」
「嫌やないです…」
「なんで敬語になるねん」
恥ずかしさやら気まずさで言葉に詰まる
こうして 私の気持ちはバレてしまったけど
侑くんも もしかしたら同じ気持ちでおってくれたんやろうか
繋がれた手が熱い
ゆっくりと侑くんを見上げると
たぶん私と同じくらい顔を赤くしてた
この日 初めて侑くんと一緒に帰った
お互い胸に秘めていた想いを 少しずつ言葉にして
派手な髪色に煌びやかなネイル
お化粧も上手で お人形さんみたいな顔立ち
細くてモデルさんみたい
学年でも目立つグループの中心的人物で もちろん男の子からも人気がある
知らん生徒はおらんと思う そんな〇〇ちゃん
同じグループの子達とはクラスが離れたみたいで 教室の中ではよく一人でおった
その姿が少し寂しそうに見えて
話しかけてみようと思いつつも 地味な自分との格差やったり 次元の違いを感じて
なかなか声をかけれずにいた
男子からは よう話しかけられとるみたいやけど
女子にはあんまり好かれてないんか クラスでも浮いてるように見えた
「ひかりちゃん…?このキャラ好きなん?可愛いよなぁ」
突然そう声を掛けられて驚いた
今のは?
もしかして私に?
〇〇ちゃんは確実に私の名前を口にした
「えっ、あ …うんっ」
驚きのあまり 挙動不審な態度でそう答えるのが精一杯やった
うわぁ
近くで見たら やっぱりめちゃくちゃ可愛いなぁこの子
「よかったら仲良くしてなぁ。私のことは〇〇って呼んでくれたらええから」
そう言ってくれて 嬉しくて
私は〇〇ちゃんとどんどん仲良くなっていった
友達になれて嬉しい
そう思っとったのに
それはたぶん私だけやった
〇〇ちゃんが おかしいことに気づいたんは その後しばらくしてから
「ひかりちゃんって男バレのマネしとるんやんな?」
「うん そうやで」
「ほな宮くんのL⚫︎NE知ってる?」
そう聞かれて 一瞬ドキっとした
宮くんは双子や
〇〇ちゃんが言うとるんは どっちの宮くんのことやろ
なんで〇〇ちゃん そんなこと聞くんやろか
もしかして…
「LI⚫︎E知らへんよ」
「えっ!?知らんの?同じ部活やのに?」
そんなにおかしいやろうか?私はただのマネージャーやから 連絡先交換したりもせんし…
〇〇ちゃんはどっちの宮くんのことを言うてるんやろう
実は私
高一の時からずっと侑くんに片想いしてる
せっかく仲良うなれた〇〇ちゃんと 同じ人を好きになるなんて考えたくもない
「なんでそんなこと聞くん?どっちの宮くんのこと?」
そう聞くと とんでもない答えが返ってくる
「どっちでもええねん。宮くん人気あるし、彼氏にしたら自慢できるやん」
やっぱり 〇〇ちゃんは私とは次元が違う
「っ、せやなぁ。か、かっこええもんなぁ」
そう 合わせて返すんで精一杯やった
「ひかりちゃんは好きな人おるん?」
そう聞かれて 戸惑う
「応援するし、誰にも言わへんから教えてやぁ」
ニコッと可愛く笑う〇〇ちゃん
どないしよか迷ったけど 侑くんのことは好きになってほしないしなぁ
そんなことを思った私は
親友以外誰にも言うたことのない秘密を 簡単に暴露してしまう
「私は…侑くんのことがずっと好きやねん」
誰にも聞こえへんような 小さな声で〇〇ちゃんにそう伝える
「ふぅん。そうなん?ほな協力したげるわ」
その返事に何故か嫌な予感しかせぇへんかった
「いや、ええよ。私なんかただのマネージャーや思われてるだけやろし。私は 侑くんがバレーしてるん見てるだけで 十分やねん」
それで この話は終わったと思ってた
治くんには悪いけど 宮兄弟と付き合いたいんやったら お願いやから治くんのほうを狙って…そう願いながら
それからやった
〇〇ちゃんと侑くんは急に親しくなった
休み時間に話してるんをよう見かけるようになったし
最初こそ私も交えて…って感じやったけど
今では二人で話しとることが多い
楽しそうに話しながら 侑くんにボディタッチしとるのも何回も見た
私 侑くんのこと好きやて言うたのに
〇〇ちゃん なんで?
そう思ったけど 何も言われへんかった。侑くんも満更でもなさそうに見えて それでまた 胸を締めつけられるように苦しい
「侑、めっちゃチャラいからやめとき? 私の友達とも連絡取り合うとるみたいやし」
〇〇ちゃんにそんなこと言われて 聞きたくないと思った
でもそれもよう言わんかった
「そうなんや」って苦笑いするだけ
いつの間にかお互いの名前を呼び捨てにしてるんも気になった
侑くんも〇〇ちゃんのこと 下の名前で呼んでるみたいやった
私のことは佐藤かマネ呼びやのにな
やっぱり男はみんな 〇〇ちゃんみたいな可愛い子が好きなんやろな
バレーばっかしてると思ってた侑くんも きっとそうなんやろう
あんな可愛い子に身体触られたり 甘えられたりして 嫌な気せんよな
ええな 羨ましいな
私には絶対真似できへん
あの子に なりたい
そんなことを思う瞬間が増えた
その頃にはもう 〇〇ちゃんは私を避けとるんか
私達が一緒におることが少なくなっとって
どこからか
『侑くんと〇〇ちゃん 付き合うとるらしいで』って
そんな噂も耳にするようになった
そんな噂 信じたくなかったけど
部活終わりに二人が一緒に帰ってるところも見た
侑くんは あの子を選んだんやろか
そうやとしたら私は祝福する以外ない
やないと ただの嫌な女になってしまうやん
胸が 痛い
私には
二人を見てることしか できへん
それから数日後
バレー部内での連絡を伝える機会があって 侑くんと少し話していた時のこと
「最近 〇〇と仲良うないんか?」って
そんなことを聞かれた
侑くん そんなこと気にするタイプ?… には到底見えへんねんけど
それに仲良うないっちゅうか 私が避けられてるだけやねんな
「心配かけてごめん。仲良うないことは、ないんやけど…」
そう言いかけて
少し離れたところに〇〇ちゃんの姿があるんに気付いた
怖くなって 慌てて侑くんから距離を取った
少し時間が経ってから
「さっき侑と何話してたん?」って
〇〇ちゃんに話しかけられた
話しをすること自体久しぶりで 正直 気まずさもあるけど
私はちょっとだけ嬉しかった
せやのに
「侑 ひかりちゃんのこと興味ないって言うてたよ」
なんで そんなこと言うん
「私も 侑のこと好きになってしもた」
「え…?」
「せやから諦めてほしい」
頭の中は真っ白
驚きのあまり呼吸は止まりそう
「もう私らに話しかけんとってなぁ」
そう言うた〇〇ちゃんの顔は どこか優越感に浸ってるような そんな表情に見えた
この日から私は 侑くんとも 〇〇ちゃんとも口を聞かんようになった
二人の姿を見かける度
隠れたり逃げたりして 避け続けた
_______________
ある日の休憩時間
「ツムになんかされたん?」
たまたまうちの教室の前を通りがかったんか
双子の片割れの治くんに声を掛けられた
「ううん、何も」
「ほな何で口聞かへんねん」
「…」
「あいつになんか嫌なこと言われたんとちゃうんか?」
治くんってほんまに優しいよなぁ
ただのマネージャーの私にも こうやって声を掛けて
気遣ってくれて
見た目だけやなくて モテるんわかるなぁ
そんなことを思った
「ありがとう。でも何もないから大丈夫やで」
へらっと笑って 自分の席へ戻ろうとした
「あいつんこと 好きやったんとちゃうんか?」
そう言われて顔を真っ赤にしてしまう
待って バレとる…?
否定か肯定か したほうがええよな?
「え、いや…その…あの」
言葉に詰まってしまう
「妙な女に付き纏われとるん、あれ何とかしたほうがええんとちゃう」
「えっ?」
治くんが言うてる妙な女って
〇〇ちゃんのことやろうか?
「…でも二人もう付き合うてるやろうから」
悲しいけど 私の入る隙なんか たぶん無い
「は?付き合うてへんやろ」
「そうなん?」
治くんが言うならそうなんやろか でも私の出る幕なんか無いやろ
そんなつもりはなかったけど 話しかけんとってって言われてしもたし
根性もないから言い返すこともできへんかった
「私は もうええねん。侑くんのことは見てるだけでええから。今までもそうやったし」
それだけ言うて無理やり笑う
そして逃げるように治くんの前から立ち去った
治くんの手前 ああ言うたものの
なるべく二人のことは視界に入れたくなかった
今日もたぶん〇〇ちゃんは
侑くんのバレーが終わるんを待っとって
二人で一緒に帰るんやろうなぁ
そんなん見たくないわ
一人そそくさと帰ろうとすると
治くんが「一緒に帰ろうや」って声を掛けてきた
「わ、私?」そん時 周りには他のバレー部員がいっぱいおって 皆 目を丸くして なんで?って顔してこっちを見とった。
そらそうやろ
治くんと私は特別仲がええわけとちゃう
一緒に帰るなんて ありえへんねん
「行くで」
治くんに掴まれた腕
軽く引っ張られながら校門の方へと向かう
どないしたんやろうか
なんかあったんやろうか
どう切り出せばええんかわからんで悩んでたら
「ちょぉ待て!」
後ろの方から大きな声が聞こえてきた
それは間違いなく侑くんのもんで
その声に反応して振り返る治くんの顔は怒ってるようにも見えた
そこに〇〇ちゃんが現れて
「侑〜♡部活お疲れ」
甘ったるい可愛い声
私とは全然違う 声帯もそうや 何もかもが違う
この子は私の欲しいもんを全部持ってる
侑くんの腕にしがみつく〇〇ちゃん
「ねー侑ってば」
「喧し。ちょぉ黙っとけや」
そう言って 〇〇ちゃんの手を振り払った
「おいサム!お前どういうつもりやねん」
侑はすごい剣幕で怒ってて
何があったんか この場が混沌としとって状況がいまいちわからん
「どういうつもりもあらへん。いつまでもこいつのこと放っとるからもういらんのやろな思て」
え?私のこと?
放ってる?
「うっさいわ!とにかくその手ぇ離さんかい!」
私のことを掴んでた治くんの手がバチンと叩かれて離れる
何が起きてるん…?
「お前もうええやろ!ストーカーされとる言うてた元カレも いっこも現れへんやないかい」
イライラした様子の侑くんは 眉間に皺を寄せて〇〇ちゃんを睨みつけた
「それはたまたまやて!侑が毎日一緒におってくれるから…」
「ほなこれからは他の男に頼めや。俺やなくてもええやろ」
「いやや、うちは 侑くんがええ」
「佐藤と喧嘩したから仲直りしたい言うとったんも、どないなってんねん。謝ったんか?」
侑くんと〇〇ちゃんが私の方を見た
「それは…ひかりちゃんが口聞いてくれへんのやもん! 私が侑と居るようになってから、ひかりちゃん冷たなった」
えっ?
ちゃうやん
〇〇ちゃん それは全然ちゃう
「ほんまなんか?」
侑くんが私を真っ直ぐ見つめてくる
足が震えてきて 目を逸らしてしまった
どないしよ
ここで ほんまのこと言うたら
〇〇ちゃんは気まずくておられへんようになってまうよな
侑くんのこと好きやのに それはきついよな
「え、と…ごめん。私が悪…」
「ちゃうやろ。こいつが連れと話しとるん俺聞いたもん」
治くんの声に 私が言いかけた言葉はかき消されてしまう
「あのマネ邪魔やねん。可愛ないくせに侑のこと好きやねんて。侑は元彼に付き纏われとるて言うたら優しくしてくれるし、たぶんもうすぐ落とせる って、なぁ?」
「ちが…」
「ちゃうん?二度と話しかけんな言うたったって笑っとったやん。めっちゃ大きい声で」
治くんが嘘をつくとは思われへん
でも 何かの間違いであってほしい そうも思うんやけど
〇〇ちゃんの顔が みるみる真っ青になっていくから
間違いではないんやと わかってしまう
「言うてへんもん…そんなこと」
「言うとったやんか。あん時たまたまな、もう一人聞いとった奴おんねん。そいつも呼んだろか?」
治くんに詰められて 〇〇ちゃんは見たことないくらい狼狽えとった
「こいつのおままごとにいつまで付き合うとるねんアホツム」
治くんはそう言うて 私の背中を侑くんの方へ向かって軽く押した
突然のことにバランスを崩した身体は
侑くんの逞しい腕に抱えられて 収まってしまう
「お前もお前や。どこまでお人よしやねん」
治くんは私に向かって静かにそう言い放った
え?治くん怖っ…
でもその表情は めちゃくちゃに優しい
〇〇ちゃんは侑くんに弁解しようと必死やった
「佐藤と喧.嘩してしもた言うから話も聞いたし、困っとる言うから助けてやらな思たけど…お前最低やな」
「ちゃうねん…」
言い訳すらできへんよう追い詰められて
〇〇ちゃんは逃げるようにこの場を立ち去ってしまった
その後すぐ 治くんも帰ってしまって
私と侑くんが この場に取り残された
〇〇ちゃん大丈夫やろか
ちょっと気の毒に思えて 追いかけようとした
でも侑くんは離してくれへんかった
「行かんでええ」
「でも…」
「次会うても俺は別に普通にするし 佐藤が気にすることとちゃう」
その言葉を聞いて ほんのちょっと安心する
そして侑くんから身体を離して
「しばらく口も聞かへんで 感じ悪かったよなぁ。ごめんなさい」
そう 謝罪の言葉を伝えた
「なんでやねん…謝るんは俺のほうや。あいつの言うこと真に受けとった。ほんますまんかった」
そう言って申し訳なそうに私を見つめる侑くん
気付いたら自然に手が繋がれとって吃驚する
「あの、手が…」
「嫌なん?」
「嫌やないです…」
「なんで敬語になるねん」
恥ずかしさやら気まずさで言葉に詰まる
こうして 私の気持ちはバレてしまったけど
侑くんも もしかしたら同じ気持ちでおってくれたんやろうか
繋がれた手が熱い
ゆっくりと侑くんを見上げると
たぶん私と同じくらい顔を赤くしてた
この日 初めて侑くんと一緒に帰った
お互い胸に秘めていた想いを 少しずつ言葉にして
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