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「もう別れたい」
長年一緒におったのに これが初めて言ったワガママやった
噛みついた首筋には歯型がくっきりと残り ひどく痛々しい
突然の出来事に驚いた様子の侑は首筋を手で押さえた
ワケわからん
そんな言葉が今にも飛んできそうだった
侑の表情は一瞬にして曇っていった
______________
また撮られとるやん
ネットに流れてくる彼氏の熱愛の記事を見て ため息をつく
こんなことはもう数えきれんくらいあるから 何回目かわからん
彼氏の侑はとにかくモテる
私は高校の時から付き合ってる 侑のことはほんまに好き
侑が忙しいのは知っとるし 付き合いがあるのもわかる
うるさく言うたら侑の性格上 ウザがられると思うし 私も私で ものわかりのいい女を演じるところがある
だって嫌われたくないやん
この記事がほんまか嘘かは しらんけど
私は女関係で侑に文句を言ったことは一度もない
侑のほうからももちろん 今までも 今回の件に関しても謝罪どころか言い訳の一つもない
記事になっとること知らんの?と思うほど 何事もなかったかのようにおる
私とは昔からの仲やから気を使う必要がないとでも思ってるんやろうか
私が侑のことめっちゃ好きなんもわかっとるやろうし たぶん一言で言うと ナメられとる
好きやから我慢せな しゃあない
そう思って今までやってきた
_____________
「つらくてしゃーないって顔しとるで」
目の前でおにぎりを握ってる治にそう言われて
昨夜から何も食べてない
お腹は空いてるはずやのに こんなにも美味しそうなおにぎりを前にしても 何故か食欲が湧かない
「失礼な客やな ごめん」
「ゆっくりでええから 食える分だけでも食うたらええわ」
「ひかりってほんと物好きだよね」
隣に座るスナに そんなことを言われるのはもう何回目か
「治が彼氏やったら こんな思いもせんかったかな」
「させんわ。けどお前は俺のこと絶対好きにならへんやろ」
ツムやないとあかんのやろ、って それも何回も言われてきた
「その二択なら絶対治選ぶけど」って笑うスナ
それもまた散々言われてきたことで 耳が痛い
「おっ、スナ今彼女おらんからちょうどええんちゃうか」自分ら付き合うたら?って
そんな治のおふざけにスナは
「嫌だよ 侑の女とかありえないんだけど」
そう言ってめちゃくちゃ嫌な顔してるし
今この二人のテンションについていけるわけもなく
「治はどう? ひかりの顔はタイプでしょ。双子だし」
スナからの超速ブーメランが飛んできた治
「ひかりな〜、ええ子やけど重いからな…」
んーっとかって考えるフリしてるけど もう笑ってしもてるやん
「別れよかな もう」
誰やったらええとかあかんとか そんな問題ちゃうねん
たぶん私が変わらな なんも変わらん
私と侑の関係も 侑から見た私も
あとはもう 私の心が持たんわ それが一番の理由
たぶん限界やから 今ここに来て こんな話しとるんやし
「あかーーん!ひかりに捨てられたらアイツどないすんねん!? 倫理観0のモラ男やで⁉︎」
「絶対問題起こすよね」
「お前やないとあかんて!」
この言葉 双子の片割れから言われると夢にも見んかったわ
散々言うときながら 侑と別れる言うたらこの有様や
私 侑の世話係とちゃうで
「人の彼氏のこと なんやと思てんの。ええとこもいっぱいあるで」
あまりにボロカス言われて侑がちょっと気の毒に思える
「たとえば?」スナの問いかけに 少し考える間をもらう
「かっこええやん…?」
「ふーん。他には?」
「バレーしとる時めっちゃ輝いてる とか」
「もうちょい内面的な なんかないんかい」
治のツッコミに頭をフル回転させる
「二人きりの時は甘えてくれるから可愛い とか?」
「身内のそんな話聞きたないなぁ」キショイて言われて 思わず笑ってしまう
でももう1ヶ月近く会えてないし そんな甘い時間をゆっくり過ごしたのも遠い昔のことのよう
「俺がツムに探りいれたり何か言うんは簡単やけど もう大人なんやし 二人でちゃんと話しせぇよ」
治の言う通りやと思う 学生の時とは違うんやから
誰を巻き込むこともなく 二人で話し合って解決するのが当然や
今日 話を聞いてくれたことはきちんとお礼を伝えた
治とスナにはボロカスに言われたけど1人で居るよりは明るく過ごせたし 少し楽になった気がした
次会った時にちゃんと話しよう
そう決めてこの日は眠りについた
そして 侑と会う約束の日
合鍵を使って中に入ると 久しぶりの侑の匂いが嬉しくて やっぱりめっちゃ好きやわって実感する
噂になっとる女の子達も この部屋に上げたりしとるんやろか
そうやったら嫌やな
私の持ち物とか 隠されたり捨てられたりしてないかな?
辺りを見回しチェックする
化粧品や衣類などの私物は 以前と変わらず置かれてる様子
さすがにここに女の子連れ込んでるとかはないか
ホッと胸をなでおろす
今日 あの記事のこととか 他の女の子と会うてるんかとか聞くつもり
私 彼女やし それくらい聞いてもええよね
返答次第では 別れ話するって決めて来たけど
久しぶりに会えると思うとやっぱり嬉しさが込み上げてきて 侑の帰りを心待ちにしとる
それやのに 侑からの連絡「今日遅なる」って
待ちくたびれていた夜の11時
遅くなる理由は知らんけど
急用ができたとかかも知れん そうやとしたら仕方ない でも連絡があまりにも遅すぎるやん
本当に申し訳なく思うなら もっと早くに連絡するべきやわ
もしかして他の女の子とおるとか?
その可能性も否定できへん
やってあの記事 火のないところに煙は立たん
もやもやと嫌なことで頭の中はいっぱい
久しぶりの会う約束やで
こんなんあんまりやわ
「私 全然大切にされてないやん」
静かすぎる部屋のせいで寂しさは増す
楽しみに待っていた気持ちからは一転 涙を流しながら 自分の荷物をまとめる
前はもっと笑ってたのに 楽しかったのに こんな時やから 昔のことを思い出して一段と悲しくなる
荷物をほぼまとめたところで ようやく玄関が開く音がした
日付はもう変わってしまっていた
「ひかりチャン ただいまや」
いつもと何も変わらん様子 むしろ機嫌は良さそう
侑はこの時 まだ何も気付いていなくて
「まだ起きとったんやな 電気も点けんとどないしたん」
そう言って こちら側に視線をやった後 私のことを強く抱きしめた
久しぶりの侑 ひどく強いお酒の匂いがした
それがまた悲しみを深くする
私が会いたい時 苦しい時 寂しい時 久しぶりに会うってなってる今日
そして待ちぼうけた今
この人は平気でお酒飲んで こんな時間に帰ってきて
そう思ったら 怒りとはまた違う感情が湧く
この気持ちの正体は?って考えた時 悲しい以外のナニモノでもないって気付いた
「ん」って慣れたように口づけをする
まだ 私が泣いてたことにも気付いてない
耐えられへんわ
そう思ったら
思いきり 侑の首筋に噛みついてた
「もう別れたい」
そう零して
「痛っ………えっ⁉︎」
びっくりして私から離れた侑
何が起きたんかわからん って顔
薄暗いのに慣れて そんな侑の表情がはっきりとわかってしまう
ようやくまとめられた荷物にも気付いたのか そっちを一瞬見た
「は?ほんま何しとんの ひかりどないしたん」
「…っちゅーか ほんま痛い」
そう言って首筋押さえてるけど
こっちだって 痛いよ 心が
握りつぶされそうな そんな感覚
あかん 泣きそう
「もう限界やわ」そう呟くと同時に涙が溢れる
「は?何がやねん 何の冗談?酔いも醒めるわ」
侑はそう言って ネクタイを緩めながら 私の腕を引っ張って寝室の方へ突き進んでいく
「離して」
「離さへんわ」
雑にベッドに放り投げられたと思ったら
逃がさんで と言わんばかりに馬乗りになられて
「なぁ、何で噛むねん?なんかあったんか?」
「どいて。もう顔も見たない」
「なんで怒っとんの? 泣いてんとちゃんと話してや」
侑のせいやで
私がこんなになってるん 自分のことやって気づかんの?
侑の バレー以外はアカンところ ほんまに腹立つけど 愛しい
こんな状況に陥っても そんなこと思ってしまう私は 侑のことやっぱりめちゃくちゃ愛してるし狂ってる
何もなかったことにして この手伸ばしてしがみついたら 抱きしめてくれるんわかってる
そしたら楽になれるのに
でも もう今までみたいに自分を騙せんところまできてんの
何も言わんと黙り込む私に 侑の苛々が募っていくのが面白いくらいにわかる
「初めての”やりたい”が コレなん?」
「?」
「あれしたいこれしたい何が欲しい、いっつも何も言わへん思てたら…初めてやりたい言うたことが 別れたいて」
侑の様子もいつもと違う
「きついわ。こんなん」
潤んだ瞳 お酒のせいか少し赤らんだ顔
会うて こっち見てくれたら
少しの時間でも 私が侑の視線を独り占めできたら また好きが上回って どうでもよくなってしまうねん
この単純な脳 どうにかしてほしい
「別れたい以外のことやったら、なんでも聞いたるから…」
なんか怒っとるんやったら機嫌治して って
耳元で弱々しく言うから
まだ大丈夫かもしれん
また我慢できるかもしれんって
そう思ってしまって
この日は このまま侑のことを受け入れてしまった
翌朝ベッドの中で
昨夜の余韻に浸りながら
「もっと一緒に居りたいねん」
二度目の お願い
「別れたい言うたりもっと居りたい言うたり、どっちやねん」
侑 呆れたかなぁ
やっぱり嘘やねん 何にもないって そう言おうとしたら
「広いとこ引っ越すわ。一緒に住もか」って言われて驚く
「ええん?」ついつい笑顔になるし 大きな声が出てしまう
「もう機嫌直っとるみたいやけど、一応ちゃんと昨日の話し聞いとこか」
不安になってる事 悲しかった事 我慢してた事
言える範囲で侑に伝えてみた
「悪いの俺やな。めっちゃ甘えとったわ」って謝ってくれて
「もっと一緒におりたいんは俺も一緒やねん。わかってや」
抱きしめられて おでこ ほっぺ 唇 愛おしむようにキスを落としてくる
「ほんまに一緒に住んでくれるんやんな?」
甘えるように言うてくるその姿 可愛すぎてずるい
好き
その気持ちには逆らわれへんかった
二つ返事でOKすると それはもう嬉しそうに笑ってくれた
長年一緒におったのに これが初めて言ったワガママやった
噛みついた首筋には歯型がくっきりと残り ひどく痛々しい
突然の出来事に驚いた様子の侑は首筋を手で押さえた
ワケわからん
そんな言葉が今にも飛んできそうだった
侑の表情は一瞬にして曇っていった
______________
また撮られとるやん
ネットに流れてくる彼氏の熱愛の記事を見て ため息をつく
こんなことはもう数えきれんくらいあるから 何回目かわからん
彼氏の侑はとにかくモテる
私は高校の時から付き合ってる 侑のことはほんまに好き
侑が忙しいのは知っとるし 付き合いがあるのもわかる
うるさく言うたら侑の性格上 ウザがられると思うし 私も私で ものわかりのいい女を演じるところがある
だって嫌われたくないやん
この記事がほんまか嘘かは しらんけど
私は女関係で侑に文句を言ったことは一度もない
侑のほうからももちろん 今までも 今回の件に関しても謝罪どころか言い訳の一つもない
記事になっとること知らんの?と思うほど 何事もなかったかのようにおる
私とは昔からの仲やから気を使う必要がないとでも思ってるんやろうか
私が侑のことめっちゃ好きなんもわかっとるやろうし たぶん一言で言うと ナメられとる
好きやから我慢せな しゃあない
そう思って今までやってきた
_____________
「つらくてしゃーないって顔しとるで」
目の前でおにぎりを握ってる治にそう言われて
昨夜から何も食べてない
お腹は空いてるはずやのに こんなにも美味しそうなおにぎりを前にしても 何故か食欲が湧かない
「失礼な客やな ごめん」
「ゆっくりでええから 食える分だけでも食うたらええわ」
「ひかりってほんと物好きだよね」
隣に座るスナに そんなことを言われるのはもう何回目か
「治が彼氏やったら こんな思いもせんかったかな」
「させんわ。けどお前は俺のこと絶対好きにならへんやろ」
ツムやないとあかんのやろ、って それも何回も言われてきた
「その二択なら絶対治選ぶけど」って笑うスナ
それもまた散々言われてきたことで 耳が痛い
「おっ、スナ今彼女おらんからちょうどええんちゃうか」自分ら付き合うたら?って
そんな治のおふざけにスナは
「嫌だよ 侑の女とかありえないんだけど」
そう言ってめちゃくちゃ嫌な顔してるし
今この二人のテンションについていけるわけもなく
「治はどう? ひかりの顔はタイプでしょ。双子だし」
スナからの超速ブーメランが飛んできた治
「ひかりな〜、ええ子やけど重いからな…」
んーっとかって考えるフリしてるけど もう笑ってしもてるやん
「別れよかな もう」
誰やったらええとかあかんとか そんな問題ちゃうねん
たぶん私が変わらな なんも変わらん
私と侑の関係も 侑から見た私も
あとはもう 私の心が持たんわ それが一番の理由
たぶん限界やから 今ここに来て こんな話しとるんやし
「あかーーん!ひかりに捨てられたらアイツどないすんねん!? 倫理観0のモラ男やで⁉︎」
「絶対問題起こすよね」
「お前やないとあかんて!」
この言葉 双子の片割れから言われると夢にも見んかったわ
散々言うときながら 侑と別れる言うたらこの有様や
私 侑の世話係とちゃうで
「人の彼氏のこと なんやと思てんの。ええとこもいっぱいあるで」
あまりにボロカス言われて侑がちょっと気の毒に思える
「たとえば?」スナの問いかけに 少し考える間をもらう
「かっこええやん…?」
「ふーん。他には?」
「バレーしとる時めっちゃ輝いてる とか」
「もうちょい内面的な なんかないんかい」
治のツッコミに頭をフル回転させる
「二人きりの時は甘えてくれるから可愛い とか?」
「身内のそんな話聞きたないなぁ」キショイて言われて 思わず笑ってしまう
でももう1ヶ月近く会えてないし そんな甘い時間をゆっくり過ごしたのも遠い昔のことのよう
「俺がツムに探りいれたり何か言うんは簡単やけど もう大人なんやし 二人でちゃんと話しせぇよ」
治の言う通りやと思う 学生の時とは違うんやから
誰を巻き込むこともなく 二人で話し合って解決するのが当然や
今日 話を聞いてくれたことはきちんとお礼を伝えた
治とスナにはボロカスに言われたけど1人で居るよりは明るく過ごせたし 少し楽になった気がした
次会った時にちゃんと話しよう
そう決めてこの日は眠りについた
そして 侑と会う約束の日
合鍵を使って中に入ると 久しぶりの侑の匂いが嬉しくて やっぱりめっちゃ好きやわって実感する
噂になっとる女の子達も この部屋に上げたりしとるんやろか
そうやったら嫌やな
私の持ち物とか 隠されたり捨てられたりしてないかな?
辺りを見回しチェックする
化粧品や衣類などの私物は 以前と変わらず置かれてる様子
さすがにここに女の子連れ込んでるとかはないか
ホッと胸をなでおろす
今日 あの記事のこととか 他の女の子と会うてるんかとか聞くつもり
私 彼女やし それくらい聞いてもええよね
返答次第では 別れ話するって決めて来たけど
久しぶりに会えると思うとやっぱり嬉しさが込み上げてきて 侑の帰りを心待ちにしとる
それやのに 侑からの連絡「今日遅なる」って
待ちくたびれていた夜の11時
遅くなる理由は知らんけど
急用ができたとかかも知れん そうやとしたら仕方ない でも連絡があまりにも遅すぎるやん
本当に申し訳なく思うなら もっと早くに連絡するべきやわ
もしかして他の女の子とおるとか?
その可能性も否定できへん
やってあの記事 火のないところに煙は立たん
もやもやと嫌なことで頭の中はいっぱい
久しぶりの会う約束やで
こんなんあんまりやわ
「私 全然大切にされてないやん」
静かすぎる部屋のせいで寂しさは増す
楽しみに待っていた気持ちからは一転 涙を流しながら 自分の荷物をまとめる
前はもっと笑ってたのに 楽しかったのに こんな時やから 昔のことを思い出して一段と悲しくなる
荷物をほぼまとめたところで ようやく玄関が開く音がした
日付はもう変わってしまっていた
「ひかりチャン ただいまや」
いつもと何も変わらん様子 むしろ機嫌は良さそう
侑はこの時 まだ何も気付いていなくて
「まだ起きとったんやな 電気も点けんとどないしたん」
そう言って こちら側に視線をやった後 私のことを強く抱きしめた
久しぶりの侑 ひどく強いお酒の匂いがした
それがまた悲しみを深くする
私が会いたい時 苦しい時 寂しい時 久しぶりに会うってなってる今日
そして待ちぼうけた今
この人は平気でお酒飲んで こんな時間に帰ってきて
そう思ったら 怒りとはまた違う感情が湧く
この気持ちの正体は?って考えた時 悲しい以外のナニモノでもないって気付いた
「ん」って慣れたように口づけをする
まだ 私が泣いてたことにも気付いてない
耐えられへんわ
そう思ったら
思いきり 侑の首筋に噛みついてた
「もう別れたい」
そう零して
「痛っ………えっ⁉︎」
びっくりして私から離れた侑
何が起きたんかわからん って顔
薄暗いのに慣れて そんな侑の表情がはっきりとわかってしまう
ようやくまとめられた荷物にも気付いたのか そっちを一瞬見た
「は?ほんま何しとんの ひかりどないしたん」
「…っちゅーか ほんま痛い」
そう言って首筋押さえてるけど
こっちだって 痛いよ 心が
握りつぶされそうな そんな感覚
あかん 泣きそう
「もう限界やわ」そう呟くと同時に涙が溢れる
「は?何がやねん 何の冗談?酔いも醒めるわ」
侑はそう言って ネクタイを緩めながら 私の腕を引っ張って寝室の方へ突き進んでいく
「離して」
「離さへんわ」
雑にベッドに放り投げられたと思ったら
逃がさんで と言わんばかりに馬乗りになられて
「なぁ、何で噛むねん?なんかあったんか?」
「どいて。もう顔も見たない」
「なんで怒っとんの? 泣いてんとちゃんと話してや」
侑のせいやで
私がこんなになってるん 自分のことやって気づかんの?
侑の バレー以外はアカンところ ほんまに腹立つけど 愛しい
こんな状況に陥っても そんなこと思ってしまう私は 侑のことやっぱりめちゃくちゃ愛してるし狂ってる
何もなかったことにして この手伸ばしてしがみついたら 抱きしめてくれるんわかってる
そしたら楽になれるのに
でも もう今までみたいに自分を騙せんところまできてんの
何も言わんと黙り込む私に 侑の苛々が募っていくのが面白いくらいにわかる
「初めての”やりたい”が コレなん?」
「?」
「あれしたいこれしたい何が欲しい、いっつも何も言わへん思てたら…初めてやりたい言うたことが 別れたいて」
侑の様子もいつもと違う
「きついわ。こんなん」
潤んだ瞳 お酒のせいか少し赤らんだ顔
会うて こっち見てくれたら
少しの時間でも 私が侑の視線を独り占めできたら また好きが上回って どうでもよくなってしまうねん
この単純な脳 どうにかしてほしい
「別れたい以外のことやったら、なんでも聞いたるから…」
なんか怒っとるんやったら機嫌治して って
耳元で弱々しく言うから
まだ大丈夫かもしれん
また我慢できるかもしれんって
そう思ってしまって
この日は このまま侑のことを受け入れてしまった
翌朝ベッドの中で
昨夜の余韻に浸りながら
「もっと一緒に居りたいねん」
二度目の お願い
「別れたい言うたりもっと居りたい言うたり、どっちやねん」
侑 呆れたかなぁ
やっぱり嘘やねん 何にもないって そう言おうとしたら
「広いとこ引っ越すわ。一緒に住もか」って言われて驚く
「ええん?」ついつい笑顔になるし 大きな声が出てしまう
「もう機嫌直っとるみたいやけど、一応ちゃんと昨日の話し聞いとこか」
不安になってる事 悲しかった事 我慢してた事
言える範囲で侑に伝えてみた
「悪いの俺やな。めっちゃ甘えとったわ」って謝ってくれて
「もっと一緒におりたいんは俺も一緒やねん。わかってや」
抱きしめられて おでこ ほっぺ 唇 愛おしむようにキスを落としてくる
「ほんまに一緒に住んでくれるんやんな?」
甘えるように言うてくるその姿 可愛すぎてずるい
好き
その気持ちには逆らわれへんかった
二つ返事でOKすると それはもう嬉しそうに笑ってくれた
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