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草木もねむる丑三つ時。
帰宅した降谷は、リビングのソファに座り、
首をひねる新一を見つける。
テーブルの上には「社外秘」と書かれた書類。 -
降谷
ただいま。まだ起きていたのかい?
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新一
ん……おけーり…………
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降谷
ネクタイを緩めながら
新一の隣に座る -
降谷
仕事? まだ終わらないならコーヒーでも淹れようか
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新一
ん〜……あ、降谷さんひとつ聞いていい?
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降谷
またうちの案件に首を突っ込もうとしてるのか…?
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降谷
聞くだけ聞こう
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新一
あのさ、『特徴的なキス』ってどんなだと思う?
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降谷
……うん?
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新一
だから、『特徴的なキス』ってどんなやつ?
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降谷
…まず、そんな質問をする理由を聞かせてほしいな
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新一
今、とある結婚詐欺師を追ってるんだけど、そいつターゲットを変える度に、外見を変えてるっぽくて、被害者たちが語る男の特徴は【中肉中背の20〜30代の男性】ってとこしか一致しねーの。
漠然としすぎだろ? -
新一
でも今日会った被害者の女性が「キスの仕方が特徴的だった」って溢してさ…
詳しく聞くまえにその女性、仕事の呼び出し受けて帰っちまったんだけど -
降谷
つまり、他の男のキスが気になるって?
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新一
他の言い方があんだろ……あ、
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新一
そっか。
降谷さんのキスって普通だし、特徴的なんて言われてもわかんねーか。わり!今の質問なしで -
降谷
煽るね
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降谷
新一の後頭部を掴み、顔を引き寄せ、噛み付くようにキスをする
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新一
……っ、やべ〜
怒ってる……? -
新一
でも…………降谷さんと久しぶりのキス…………、きもちい…………
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新一
口内を撫でるようにかき混ぜた降谷の舌が抜けていき、新一は降谷の胸をそっと押し返し、濡れた唇を手の甲で拭う。
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新一
ん…………、いまのは降谷さんがベロチューしたかっただけだろ
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降谷
きみの可愛くなくて回りくどいおねだりに答えたんだけど、ご不満かな?
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降谷
ご丁寧にこんなものまで用意して
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降谷
テーブルの上の書類を手に取り、「社外秘」と赤い判の押された表紙をめくる。
中は白紙。 -
新一
げ
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新一
いつ気付いた?
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降谷
事件のことで考えこんでいるはずのきみが、シャーロック・ホームズハンドをしていなかったからね
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降谷
素直に誘ってくれたら、連勤の疲れもふっとんでいくのにな
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降谷
新一のうなじを撫で、襟足つまみ指で優しくこする
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新一
……それ
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降谷
どれ?
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新一
……そうやって、降谷さんが、オレの襟足を指でこすりながら、キスしてくんの……すき
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降谷
……ああ、知っているよ。寝る前にこうしてると新一くん気持ちよさそうに目を細めるもんな
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降谷
どうしようか
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降谷
眠そうな顔だ、寝るかい?
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新一
冗談、寝かせるかよ
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新一
降谷の膝を跨いでソファに膝立ち、降谷の両頬を掴んで一拍、触れるだけのキスをする。
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新一
夜はまだ長いぜ、降谷さん♡
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