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無理難題リクエスト
フェリーチェを引き取ってから二度目の誕生日。
去年はケニーから金平糖、リヴァイからは子供サイズのマグカップを贈っている。
さて今年はどうするか……。リヴァイが考えあぐねていると、ケニーは「俺はバッチリだ」と満面の笑みを向けてきた。
「都の娘達が今ハマってるのはキラッキラのアクセサリーだ。ちっせーガキでも頭にでっけぇのをつけてるんだぜ? 今年はコレで決まりだろ」
「フェリーチェがそんなもん欲しがるのか? 四歳児なんか色気より食い気だろ」
こーんなやつ! とケニーが頭の上で大袈裟に円を描いた。絶対ありえないサイズだ。そんなの乗っけたらフェリーチェは引っくり返るに決まってる。
(クソ……思いつかねぇ)
なんてハードルの高いイベントなんだ。やっぱり帰ってから本人に直接聞くのが得策か……。
リヴァイは考えるのを諦めた――。
「フェリーチェ。誕生日プレゼントは何がい」
「ぷれぜんと!?」」
「可愛いモノだよな! な?」
「うるせぇぞケニー」
「ちがう。あのね王子様!」
フェリーチェは待ってましたと言わんばかりにバンザイ即答だった。
困ったのは男二人である。王子様……だと?
「ぜったい王子さまがいい!」
「……どうするリヴァイ! 王子は売ってねぇ!」
「……だろうな」
最近読んだ絵本の影響を見事に受け、フェリーチェは目を輝かせていた。その無垢な瞳が……怖い。
「あ〜…フェリーチェ。残念だが王子は、ただいま品切れ中だ。誕生日にはちと間にあわねぇかもな」
「えぇ〜!? やだ!」
ケニーの大嘘に何も知らないフェリーチェは絶叫、
「その代わり俺が王子の代役ってのはどうだ? なんでも言うコト聞いちゃうぞ〜」
「えぇ〜……やだ……」
そして控えめに嫌がった。
「リヴァイ〜……」
「……」
視線を感じ、さり気なくそれから逃げる。
俺が王子の代役? 普通に考えて無理だろ。あー……違う……フェリーチェのリクエストは“王子”で、“王子の代役”じゃねぇ(ケニーの二の舞いは御免だ)
「じゃあ、お砂糖のお星さまがいい……」
「去年のアレか?」
「……うん」
“金平糖”
フェリーチェはボロボロのウサギのぬいぐるみを連れて、しょんぼりと寝室に入っていく。ダメージは明らか。
耳を掴まれ床を這うウサギのダメージも明らか。首がもげそうだ。明後日くらいには酷い状態になってるかもしれない。
「やべぇ俺泣きそう」
「泣きそうなのはフェリーチェだろ。どうすんだケニー? ありゃしばらく落ち込むぞ」
「ハァ……どうもこうもねぇよ。出ねぇもんは出ねぇ。お前出せんのか?」
「出るわけない」
「……だよな」
――と言う訳で。
プレゼントは、ケニーからは金平糖と水色のリボン、リヴァイは夜なべして作ったウサギのぬいぐるみ(予想通り一代目ウサギは二日後にご臨終となった)を渡した。
「ケニー! リボン頭につけて!」
「今度は黒いウサギさんが来た!」
第一希望が叶わなかった事はすっかり忘れてはしゃぐフェリーチェに、二人は胸を撫で下ろす。
「自分のガキじゃねぇが、なんだその……デカくなってくのをこう間近で見れるっつうのは、意外とイイもんだな」
ケニーがしみじみ呟くのを、リヴァイは聞こえなかったフリをした。
最初はバカみたいに大人しかったフェリーチェも、最近はワガママも言うしデカい声で泣き喚く。
『アンタに心を許してる証拠なのよ』と娼婦達に言われた言葉を胸に、リヴァイもコッソリとしみじみしていたからだった。
「おいリヴァイ。来年は何欲しがると思う? 今度こそ第一希望をやらねぇとなぁ」
「また王子とか言われたら今年の繰り返しになる……」
「ハハッ! 流石にそりゃねぇだろ!」
……二人はまだ知らない。
想像も出来ない。
来年のリクエストは「魔法使い」になることを。
そして、誕生日に間に合うようにと、それが一ヶ月前に発表されることを――。
フェリーチェを引き取ってから二度目の誕生日。
去年はケニーから金平糖、リヴァイからは子供サイズのマグカップを贈っている。
さて今年はどうするか……。リヴァイが考えあぐねていると、ケニーは「俺はバッチリだ」と満面の笑みを向けてきた。
「都の娘達が今ハマってるのはキラッキラのアクセサリーだ。ちっせーガキでも頭にでっけぇのをつけてるんだぜ? 今年はコレで決まりだろ」
「フェリーチェがそんなもん欲しがるのか? 四歳児なんか色気より食い気だろ」
こーんなやつ! とケニーが頭の上で大袈裟に円を描いた。絶対ありえないサイズだ。そんなの乗っけたらフェリーチェは引っくり返るに決まってる。
(クソ……思いつかねぇ)
なんてハードルの高いイベントなんだ。やっぱり帰ってから本人に直接聞くのが得策か……。
リヴァイは考えるのを諦めた――。
「フェリーチェ。誕生日プレゼントは何がい」
「ぷれぜんと!?」」
「可愛いモノだよな! な?」
「うるせぇぞケニー」
「ちがう。あのね王子様!」
フェリーチェは待ってましたと言わんばかりにバンザイ即答だった。
困ったのは男二人である。王子様……だと?
「ぜったい王子さまがいい!」
「……どうするリヴァイ! 王子は売ってねぇ!」
「……だろうな」
最近読んだ絵本の影響を見事に受け、フェリーチェは目を輝かせていた。その無垢な瞳が……怖い。
「あ〜…フェリーチェ。残念だが王子は、ただいま品切れ中だ。誕生日にはちと間にあわねぇかもな」
「えぇ〜!? やだ!」
ケニーの大嘘に何も知らないフェリーチェは絶叫、
「その代わり俺が王子の代役ってのはどうだ? なんでも言うコト聞いちゃうぞ〜」
「えぇ〜……やだ……」
そして控えめに嫌がった。
「リヴァイ〜……」
「……」
視線を感じ、さり気なくそれから逃げる。
俺が王子の代役? 普通に考えて無理だろ。あー……違う……フェリーチェのリクエストは“王子”で、“王子の代役”じゃねぇ(ケニーの二の舞いは御免だ)
「じゃあ、お砂糖のお星さまがいい……」
「去年のアレか?」
「……うん」
“金平糖”
フェリーチェはボロボロのウサギのぬいぐるみを連れて、しょんぼりと寝室に入っていく。ダメージは明らか。
耳を掴まれ床を這うウサギのダメージも明らか。首がもげそうだ。明後日くらいには酷い状態になってるかもしれない。
「やべぇ俺泣きそう」
「泣きそうなのはフェリーチェだろ。どうすんだケニー? ありゃしばらく落ち込むぞ」
「ハァ……どうもこうもねぇよ。出ねぇもんは出ねぇ。お前出せんのか?」
「出るわけない」
「……だよな」
――と言う訳で。
プレゼントは、ケニーからは金平糖と水色のリボン、リヴァイは夜なべして作ったウサギのぬいぐるみ(予想通り一代目ウサギは二日後にご臨終となった)を渡した。
「ケニー! リボン頭につけて!」
「今度は黒いウサギさんが来た!」
第一希望が叶わなかった事はすっかり忘れてはしゃぐフェリーチェに、二人は胸を撫で下ろす。
「自分のガキじゃねぇが、なんだその……デカくなってくのをこう間近で見れるっつうのは、意外とイイもんだな」
ケニーがしみじみ呟くのを、リヴァイは聞こえなかったフリをした。
最初はバカみたいに大人しかったフェリーチェも、最近はワガママも言うしデカい声で泣き喚く。
『アンタに心を許してる証拠なのよ』と娼婦達に言われた言葉を胸に、リヴァイもコッソリとしみじみしていたからだった。
「おいリヴァイ。来年は何欲しがると思う? 今度こそ第一希望をやらねぇとなぁ」
「また王子とか言われたら今年の繰り返しになる……」
「ハハッ! 流石にそりゃねぇだろ!」
……二人はまだ知らない。
想像も出来ない。
来年のリクエストは「魔法使い」になることを。
そして、誕生日に間に合うようにと、それが一ヶ月前に発表されることを――。
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