結婚生活はじめました。
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よくある展開からの
目覚ましの電子音が頭上方向から聞こえてきた。
(めざまし、めざまし……)
ふかふかのお布団から手だけ伸ばして、小さな箱を手探り。その間もアラームは止まらない。
(……あれ?いつもの場所に無い……?)
そう思いながら目覚ましを探索する。
じゃあこっち、と伸ばした手を「えいっ!」と振った。
ぺしっ!
「……ん?」
掌に感じたのはプラスチックじゃない。さらさらの感触。寝ぼけた頭でもすぐ何か分かった。分かったついでに、バッチリ目も覚める。
「おはよう、フェリーチェ。目は覚めた様だな……アラームは止められてねぇが。俺の頭を引っ叩いても止まらねぇぞ」
(さらさら……)
手を動かしてリヴァイさんの髪を撫でてたら、呆れ顔のリヴァイさんが目覚ましを止めた。
「寝ぼけてるのか」
「……起きてますよ。……起きたくないけど」
二度寝か起き上がるかの、このどっちつかずの時間が、私は好き。
一人で寝てた時はただグダグダしてる時間だったけど、今は、ぬくぬく…というか…………ぬくぬくだな、これは。
おでこやほっぺたに触れるリヴァイさんの体温は、あったかくて気持ちいい。もそもそとリヴァイさんにすり寄る。猫の真似!
「お前は毎朝毎朝……人を遅刻させるつもりかよ」
「そんな気ぜんぜん無いですよー。ちゃんと時間には間に合ってるでしょ?……このぬくぬくは、一日の始まりに必要なんです。リヴァイさん補給」
「……フェリーチェ、お前は昼間ひとりで……」
「ん?」
途中でやめてしまったリヴァイさんは、私をギュッと抱き締めてくれた。
続きを待っても何も言ってくれないけど、リヴァイさんが言いたい事は分かる。
「寂しくないですよ? リヴァイさん、私が仕事辞めて専業主婦になったの嫌だった?」
「嫌な訳ないだろう」
「洗濯して掃除して、買い物行ってご飯の用意……。私に合ってるみたいです、この生活リズム」
「そうか……」
「それに、時々叔母さんに呼び出されてランチするのも楽しいし」
「なら良かった。ハンジもたまには役に立つな」
リヴァイさんが笑ったのが気配で分かって、私もつられて笑う。顔を上げたら目が合った。
「…………」
ゆっくりと重ねた唇は、ゆっくりと離す。
朝はここまで。……ここまでって言うのもおかしいけど、リヴァイさん曰く「セーブしないとスイッチが入る」らしい……。
そんなの入れられたら困りますので!
自分で言ってるくせに、ちょっと不満気な顔をするリヴァイさんは、キスの代わりにまたギュッと私を抱きしめた。
「……仕方ない。起きるか」
「……え〜……」
先に起き上がったリヴァイさんは、私の腕を引っ張って一言。渋る私を抱き起すまでが、毎日のお決まりパターンだったりする。
「今朝は何にします?」
「スクランブルエッグがいい……」
「了解!」
朝のメニューのリクエストを聞いて、改めておはようのキスを交わすのも……もちろん、毎日のお決まりだ。
いってらっしゃい、と旦那さんをお見送りして、朝食の後片付けも終了。
洗濯機は回し始めたばっかりだから……。
――少しホッとしようかな。
と、ダイニングで紅茶を淹れなおした。
今日は天気も良いから、少し離れたお店まで散歩がてら買い物に行こう——なんて思いながらお茶を啜る。
自分で言うのもなんだけど、
「主婦だなぁ、私」
口に出してみると、なんともくすぐったい。
まだその機会は無いけれど、病院とか銀行とか、そういう所で今までと違う名字で呼ばれたりしたら……結婚したっていう実感が更に増すんだろうな。
それを想像したら、くすぐったいを通り越して一人でニヤニヤしてしまった。
危ない危ない。
お茶を流し込むのと一緒に、ニヤニヤもお腹の中に押し込んだ。
「よし。やろう!」
カップを片付けて気合いを入れる。
リビングの掃除を先にして、洗濯物を干して、寝室、お風呂、と手順を頭の中で確認。
窓を開け、大きく伸びを。さぁやるよ! とリビングに振り返ったところで気付いた。
テーブルの上に、白い大きめサイズの封筒が置きっ放しになっている。
(あれ? こんなのあったっけ?)
自分には全く覚えが無いものだ。となると……リヴァイさんか。
そういえば昨日の夜、ここでパソコンいじってたなぁ……。
「えっ!?」
って事は、これ……仕事関係のものなんじゃ!?
(わ、忘れ物?)
リヴァイさんが忘れ物なんて珍しい。仕事でそういうミスする様な人じゃないし。
私は、テーブルの上の封筒を凝視してしまう。
――とある物語が浮かんだ。
旦那さんの忘れ物。電話。会社までお届け……。
「しゅ、主人がいつもお世話になってますっ!」
つい想像の中で、リヴァイさんの会社で社員の皆さんに挨拶まで済ましていた……。
(うわぁ! いきなり奥さんらしいイベントがっ!)
どうしよう。これ、リヴァイさんに電話した方が……?
すかさずスマホを持ち出して、テーブルのそばをウロウロ。車を運転中だったら? と一度考えちゃうと、タイミングに困ってますます焦る。
すると、まるでそんな私を見てたかのように着信音が鳴った。「はやくしろ」と言わんばかりの音に慌てて出る。
相手はやっぱりリヴァイさんだ。
「リヴァイさんっ!?」
『……待ち構えてたみてぇな早さだな』
驚く声が聞こえる。そうだよ! 待ち構えてたようなもんだよ!
「リヴァイさん、リビングのテーブルの上に忘れ物!」
『ああ、それなんだが』
気が付けば深呼吸していた。
届けてほしい? はい! 勿論よろこんで!
会社の人達には披露宴で会っただけだし、その時のお礼も、妻としてのご挨拶もキッチリさせていただきますよ!
心の準備は出来てます!
『さっき言い忘れてな。とりあえず色々貰っておいたから、考えておいてくれ』
「……ん?」
(考える?)
『フェリーチェ? 聞いてるか?』
「考えるって」
リヴァイさんに返事も忘れて、私は封筒をひっくり返した。
バサバサと出て来たのは、旅行のパンフレット。国内・海外……カラフルな表紙の中に、真っ青な海の写真。
見た瞬間、一気に脱力した。
「……これ、もしかして新婚旅行の……?」
『まとまった休みはちゃんと取るから、どこでも好きな所を選べよ。ある程度決めたら、週末にでも相談に行』
「――せっかく覚悟決めたところだったのに!」
『は? 覚悟?』
またリヴァイさんの驚く声。
くうぅっ、想像を裏切られた……!
『おい、フェリーチェ?』
「私……てっきり、リヴァイさんの会社だと思った!」
『何言ってんだ、お前は。新婚旅行だぞ?』
「……ですよねぇ」
洗面所からは洗濯終了のメロディーが聞こえてくる。
あまりにもタイミングが良いので「はい、お疲れさま」と言われてる気分になった。
(そうそうドラマみたいな“奥様イベント”は発生しないって事ですよね)
流石にこればかりは、お決まりパターンとはいかない――。
ゴン、とテーブルの上に頭を乗っけて、私は盛大に溜息を吐いた。
目覚ましの電子音が頭上方向から聞こえてきた。
(めざまし、めざまし……)
ふかふかのお布団から手だけ伸ばして、小さな箱を手探り。その間もアラームは止まらない。
(……あれ?いつもの場所に無い……?)
そう思いながら目覚ましを探索する。
じゃあこっち、と伸ばした手を「えいっ!」と振った。
ぺしっ!
「……ん?」
掌に感じたのはプラスチックじゃない。さらさらの感触。寝ぼけた頭でもすぐ何か分かった。分かったついでに、バッチリ目も覚める。
「おはよう、フェリーチェ。目は覚めた様だな……アラームは止められてねぇが。俺の頭を引っ叩いても止まらねぇぞ」
(さらさら……)
手を動かしてリヴァイさんの髪を撫でてたら、呆れ顔のリヴァイさんが目覚ましを止めた。
「寝ぼけてるのか」
「……起きてますよ。……起きたくないけど」
二度寝か起き上がるかの、このどっちつかずの時間が、私は好き。
一人で寝てた時はただグダグダしてる時間だったけど、今は、ぬくぬく…というか…………ぬくぬくだな、これは。
おでこやほっぺたに触れるリヴァイさんの体温は、あったかくて気持ちいい。もそもそとリヴァイさんにすり寄る。猫の真似!
「お前は毎朝毎朝……人を遅刻させるつもりかよ」
「そんな気ぜんぜん無いですよー。ちゃんと時間には間に合ってるでしょ?……このぬくぬくは、一日の始まりに必要なんです。リヴァイさん補給」
「……フェリーチェ、お前は昼間ひとりで……」
「ん?」
途中でやめてしまったリヴァイさんは、私をギュッと抱き締めてくれた。
続きを待っても何も言ってくれないけど、リヴァイさんが言いたい事は分かる。
「寂しくないですよ? リヴァイさん、私が仕事辞めて専業主婦になったの嫌だった?」
「嫌な訳ないだろう」
「洗濯して掃除して、買い物行ってご飯の用意……。私に合ってるみたいです、この生活リズム」
「そうか……」
「それに、時々叔母さんに呼び出されてランチするのも楽しいし」
「なら良かった。ハンジもたまには役に立つな」
リヴァイさんが笑ったのが気配で分かって、私もつられて笑う。顔を上げたら目が合った。
「…………」
ゆっくりと重ねた唇は、ゆっくりと離す。
朝はここまで。……ここまでって言うのもおかしいけど、リヴァイさん曰く「セーブしないとスイッチが入る」らしい……。
そんなの入れられたら困りますので!
自分で言ってるくせに、ちょっと不満気な顔をするリヴァイさんは、キスの代わりにまたギュッと私を抱きしめた。
「……仕方ない。起きるか」
「……え〜……」
先に起き上がったリヴァイさんは、私の腕を引っ張って一言。渋る私を抱き起すまでが、毎日のお決まりパターンだったりする。
「今朝は何にします?」
「スクランブルエッグがいい……」
「了解!」
朝のメニューのリクエストを聞いて、改めておはようのキスを交わすのも……もちろん、毎日のお決まりだ。
いってらっしゃい、と旦那さんをお見送りして、朝食の後片付けも終了。
洗濯機は回し始めたばっかりだから……。
――少しホッとしようかな。
と、ダイニングで紅茶を淹れなおした。
今日は天気も良いから、少し離れたお店まで散歩がてら買い物に行こう——なんて思いながらお茶を啜る。
自分で言うのもなんだけど、
「主婦だなぁ、私」
口に出してみると、なんともくすぐったい。
まだその機会は無いけれど、病院とか銀行とか、そういう所で今までと違う名字で呼ばれたりしたら……結婚したっていう実感が更に増すんだろうな。
それを想像したら、くすぐったいを通り越して一人でニヤニヤしてしまった。
危ない危ない。
お茶を流し込むのと一緒に、ニヤニヤもお腹の中に押し込んだ。
「よし。やろう!」
カップを片付けて気合いを入れる。
リビングの掃除を先にして、洗濯物を干して、寝室、お風呂、と手順を頭の中で確認。
窓を開け、大きく伸びを。さぁやるよ! とリビングに振り返ったところで気付いた。
テーブルの上に、白い大きめサイズの封筒が置きっ放しになっている。
(あれ? こんなのあったっけ?)
自分には全く覚えが無いものだ。となると……リヴァイさんか。
そういえば昨日の夜、ここでパソコンいじってたなぁ……。
「えっ!?」
って事は、これ……仕事関係のものなんじゃ!?
(わ、忘れ物?)
リヴァイさんが忘れ物なんて珍しい。仕事でそういうミスする様な人じゃないし。
私は、テーブルの上の封筒を凝視してしまう。
――とある物語が浮かんだ。
旦那さんの忘れ物。電話。会社までお届け……。
「しゅ、主人がいつもお世話になってますっ!」
つい想像の中で、リヴァイさんの会社で社員の皆さんに挨拶まで済ましていた……。
(うわぁ! いきなり奥さんらしいイベントがっ!)
どうしよう。これ、リヴァイさんに電話した方が……?
すかさずスマホを持ち出して、テーブルのそばをウロウロ。車を運転中だったら? と一度考えちゃうと、タイミングに困ってますます焦る。
すると、まるでそんな私を見てたかのように着信音が鳴った。「はやくしろ」と言わんばかりの音に慌てて出る。
相手はやっぱりリヴァイさんだ。
「リヴァイさんっ!?」
『……待ち構えてたみてぇな早さだな』
驚く声が聞こえる。そうだよ! 待ち構えてたようなもんだよ!
「リヴァイさん、リビングのテーブルの上に忘れ物!」
『ああ、それなんだが』
気が付けば深呼吸していた。
届けてほしい? はい! 勿論よろこんで!
会社の人達には披露宴で会っただけだし、その時のお礼も、妻としてのご挨拶もキッチリさせていただきますよ!
心の準備は出来てます!
『さっき言い忘れてな。とりあえず色々貰っておいたから、考えておいてくれ』
「……ん?」
(考える?)
『フェリーチェ? 聞いてるか?』
「考えるって」
リヴァイさんに返事も忘れて、私は封筒をひっくり返した。
バサバサと出て来たのは、旅行のパンフレット。国内・海外……カラフルな表紙の中に、真っ青な海の写真。
見た瞬間、一気に脱力した。
「……これ、もしかして新婚旅行の……?」
『まとまった休みはちゃんと取るから、どこでも好きな所を選べよ。ある程度決めたら、週末にでも相談に行』
「――せっかく覚悟決めたところだったのに!」
『は? 覚悟?』
またリヴァイさんの驚く声。
くうぅっ、想像を裏切られた……!
『おい、フェリーチェ?』
「私……てっきり、リヴァイさんの会社だと思った!」
『何言ってんだ、お前は。新婚旅行だぞ?』
「……ですよねぇ」
洗面所からは洗濯終了のメロディーが聞こえてくる。
あまりにもタイミングが良いので「はい、お疲れさま」と言われてる気分になった。
(そうそうドラマみたいな“奥様イベント”は発生しないって事ですよね)
流石にこればかりは、お決まりパターンとはいかない――。
ゴン、とテーブルの上に頭を乗っけて、私は盛大に溜息を吐いた。