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愛は狂気的な純粋さで
薄暗い部屋、ズルズルと後退る。
背中が壁にくっ付いたところで、もう終わりだ……と思った。
「へぇ……。これは中々…」
「だろ? 売り物にする前に少し遊んでやろうぜ」
「だからあんなもん付けてんのか? お前も好きだよな、大概」
「イイ女だから画になるんだろ」
二人の男の視線がこっちに向く。背中には冷や汗。手首には手錠。……手錠って……なんでこんな目に………。
分かってる。
こうなったのは完全に自分のミスだ。「リヴァイ兵長のところの——」なんて呼び止められたから、仕事関係の人かと思ったのだ。
立ち止まり、声に振り向いてからの記憶は無い。気付いた時には此処にいて、そして、この状態だった。手首を囲う冷たいものを見た時は、愕然として一瞬思考が止まった。
あの時から時間はどれだけ経ったのか……。窓を覆う分厚いカーテンのせいで、光の雰囲気で時を知る事も出来ない。
視界も、なんだか霧がかかったようにぼやけているから余計だ。
「でも、抵抗されて騒がれたら、厄介だぞ」
「まだロクに動けねぇよ。意外に効いたからな、クスリ」
「………」
(ああ。薬のせいか、これ。どうりで頭も働かないはず)
どうなるんだろう私。働かない頭でも、それ位は考えられる。このままじゃ、きっと本部へは戻れない。リヴァイさんにまた迷惑かけちゃうな……。
明らかに愛想笑いとは違う笑みを向けてくる男が、ジリジリとこっちに近付いてくる。もう一人の男は、その後ろでやっぱり同じ笑みを浮かべていた。
――最悪な状況。逃げ道も何もかも失った。
「……こわい。リヴァイさん」
無理だと分かっている中でも「助けて」と足掻きの言葉は出る。届く訳でも叶う訳でも無いのに。
――が、そう思ったと同時に、その音は部屋に響き渡った。
ガラスが割れる大きな破壊音。
何が起こったか分からない。目の前で起こっている事が現実なのか、疑ってしまう。
床に飛び散る破片。舞い上がった濃い色のカーテン。
そして、黒い影が横切るのを一瞬視界に捉えた。
男の叫び声が聞こえたのは、その直後だ。
「ッアァッ!」
「なんだ、まだ喋れるのか。一度で済んだ筈の痛みを、二度に増やしちまう。悪いな」
「!?」
何故リヴァイさんがいるのかという驚きより、彼が引っくり返っている男を蹴飛ばす姿と、重い音への慄きの方が勝った。
「だが、すべてテメェが招いた結果だ」
私の横にいた男も同じなのだろう。ヒィッ! と短い悲鳴を上げた。その悲鳴にリヴァイさんが振り返る。
「ああ……お前は一度で済ましてやるから、安心しろ」
冷たく言い放った後は、先に倒れた男と大して変わらない扱いを。――違う。さっきより酷い。
私の足元に倒れた男にリヴァイさんは舌打ちをして、その男を人形でも投げるかの様に放る。
そんなリヴァイさんの怖い横顔を見たら、急に力が抜けて、私はその場に座り込んでしまった。
「ちょっとリヴァイッ! 立体機動で乗り込むとか無茶しないでよ! フェリーチェまで傷付いたらどうすんの!」
「お前らみたいにのんびり乗り込んでたら、逆にコイツが傷付けられんだろうが。自分のモノをどう取り返そうと俺の勝手だ」
「まったく……だからってさ~……。フェリーチェ、大丈夫? 怪我してない?」
ドアを蹴り飛ばして入って来たハンジさんに、ただただ頷いて返事をした。どうやってここを探り当ててくれたのか……。分からないけど彼等はこうして来てくれた。私は、ギリギリの所で助かったんだ……。
「どうでもいいから、サッサとそこのゴミ屑どもを牢にブチ込んでおけ。後で俺が処理してやる」
「私情タップリの拷問コースか。死なないといいけど」
肩をすくめ笑ったハンジさんは、「はい、コレ!」とリヴァイさんに何かを投げる。空中でそれをキャッチすると、手にした物にリヴァイさんの顔が厳しくなった。チラリと私の手元を見る。
「フェリーチェ。随分とイイ贈り物をもらったようだな」
「贈り物って……こ、これのことですか……?」
恐る恐る手を動かせば、ジャラと鎖の音がする。鉄の冷たさと重さが手首に纏わりつく感触は、すごく不快だ。
「俺以外の男からプレゼントなんて貰ってんじゃねぇよ」
「貰ってませんっ! 誰が好き好んでこんなの……」
「ああ、そうだな。お前がこんなモノ欲しがる訳が無い。立て、フェリーチェ」
輪と輪を繋ぐ鎖を掴むと、リヴァイさんはそれを引き上げた。
ぐっと鉄が手首に食い込む。痛い! と悲鳴を上げた時には、背中と手にドンと衝撃を受け、その大きさに軽くむせた。
一瞬足が浮いたくらいだ。リヴァイさんの力は並の男性をはるか上回る。私なんかを片手で簡単に持ち上げ、壁にぶつけるなんて造作無い。
リヴァイさんは、鎖を離さない。壁に押し付けられていると、頭上の手首には手錠がさらに食い込んでくる。
痛い。……痛くて辛い。
「……リヴァイさん、あの」
「おい」
離してほしいと私が言う前に、リヴァイさんは、怒気の籠った声で聞いてきた。
「欲しくもないこんなモンを何故簡単に受け入れた」
「知らない、内に……。あの人達、薬が効いたって言ってました。私もさっきからずっと頭がぼうっとしてて……それであの……」
「クスリ? それを使ってここに連れて来たのか……。――フェリーチェ。お前……アイツ等に隙を見せたな? 街を歩く時は、絶対に周りに隙を見せるなと、俺はいつもお前に言ってた筈だが?」
「……ごめんなさい」
それしか言えない。リヴァイさんの言う通りだ。言葉一つで安易に油断した自分が悪い。
痛みが、ぼんやりしてた頭と視界をクリアにしていた。
目の前で凄く怖い顔をしているのは、大好きなリヴァイさんだ。いつもそばに居てくれる人。あともう少しで、この人と会えなくなってしまう所だった……私。
改めて思うと、さっきまでの出来事がどんなに恐ろしいことだったかを実感する。
「でも、これはちょっと……痛いんですけど……」
「躾に必要なのは痛みだ。これは、今のお前に一番与えなきゃならねぇもんだな。簡単に解放されると思うな」
「え、うそ……ですよね……?」
リヴァイさんはそう言うと、手錠ごと私の手を捻り上げる。それまでとは比べ物にならない痛みが、頭上から爪先まで走った。
「痛っ!」
「いい加減、教えた事を身に着けろよ、フェリーチェ。お前は他の男からそんなにプレゼントが欲しいのか?」
「いらな……い! 要らないですよ! 当たり前でしょう? 何もいらない!」
「なら、忘れないよう学べ。言葉と身体で覚えろ。お前に苦痛もそれ以外のものも与えられるのは、俺だけだ。――分かったな」
「………はい」
言葉の後に痛みが少し和らいだ。それがたとえ僅かでも、ホッとして全身の力が一瞬抜ける。
でも、痛い事に変わりは無い。痛む部分が変に熱く、それにつられて目の奥も熱くなってきた。
「リヴァイさん。もう……許して」
「……」
カチリ
小さな音。ふっと両手が利く様になって、それで気付いた。
「あ……」
手首にクッキリと赤い線が出来ていた。それをさすると、ヒリヒリした痛みが指の動きに合わせ動く。
「いたい……」
「悪くないな」
「え!?」
呟かれた一言に、ギョッとした。リヴァイさんは時々凄い事をサラッと言うけど、今のそれは一体何のつもりで言ったのだろう……。
「いつも俺が付けてるモノとは趣向が違って良い。仕置きされたという事がすぐ分かるな、コレは」
「……」
「そこは頷くところだろうが」
「……いえ。頷けませんよ全然。リヴァイさん、何考えてるんですか?」
「口の利き方にも、躾が必要か」
「……もう許してください……本当に。よく分かったから……」
痛めつけられるのは、いくら好きな人相手でもイヤだ。リヴァイさんが容赦しないのは、たったいま分かったし……。
「いいや、まだ分かってない。――フェリーチェ」
あたたかな手が頬を撫でてきた。これは、リヴァイさんの合図でもある。それを受けて目を閉じれば、唇に唇が重なった。角度を変えて、何度もそこに熱が触れる。
「ん……」
「――飴と鞭は、使い分けねぇとな」
と言われ、笑ってしまった。
……ここは頷くところ?
「手錠の付け心地はどうだった」
「聞くんですか? それ。……冷たいし、重いし、最悪です」
「そうか」
私を抱きしめると、リヴァイさんが耳元でクスリと笑う。そして、
「俺も、冷てぇし重い男だが?」
そう言った。
――重いっていうのは、やっぱりそういう意味で言ってるんですよね? 意外です。そんな風に感じた事ないから。
「リヴァイさんは違うと思いますよ? それに、重いのは私の方かも……。それこそ大丈夫ですか?」
「お前は軽いくらいだ」
「え」
(それはどういう意味でしょう)
「軽く想ってるつもりなんて微塵も無いんですが」
「ああ………知ってる」
リヴァイさんが、クッと笑った。
帰るぞ
そう言いながら、もう一度長いキスをして。
離してもらえない中、私の頭には、ふとひとつの疑問が。
(リヴァイさん……。その手錠、どうするつもりなんですか?)
まさかとは思いますけど。
――まさか……違いますよね?
私の考え過ぎですよね?
薄暗い部屋、ズルズルと後退る。
背中が壁にくっ付いたところで、もう終わりだ……と思った。
「へぇ……。これは中々…」
「だろ? 売り物にする前に少し遊んでやろうぜ」
「だからあんなもん付けてんのか? お前も好きだよな、大概」
「イイ女だから画になるんだろ」
二人の男の視線がこっちに向く。背中には冷や汗。手首には手錠。……手錠って……なんでこんな目に………。
分かってる。
こうなったのは完全に自分のミスだ。「リヴァイ兵長のところの——」なんて呼び止められたから、仕事関係の人かと思ったのだ。
立ち止まり、声に振り向いてからの記憶は無い。気付いた時には此処にいて、そして、この状態だった。手首を囲う冷たいものを見た時は、愕然として一瞬思考が止まった。
あの時から時間はどれだけ経ったのか……。窓を覆う分厚いカーテンのせいで、光の雰囲気で時を知る事も出来ない。
視界も、なんだか霧がかかったようにぼやけているから余計だ。
「でも、抵抗されて騒がれたら、厄介だぞ」
「まだロクに動けねぇよ。意外に効いたからな、クスリ」
「………」
(ああ。薬のせいか、これ。どうりで頭も働かないはず)
どうなるんだろう私。働かない頭でも、それ位は考えられる。このままじゃ、きっと本部へは戻れない。リヴァイさんにまた迷惑かけちゃうな……。
明らかに愛想笑いとは違う笑みを向けてくる男が、ジリジリとこっちに近付いてくる。もう一人の男は、その後ろでやっぱり同じ笑みを浮かべていた。
――最悪な状況。逃げ道も何もかも失った。
「……こわい。リヴァイさん」
無理だと分かっている中でも「助けて」と足掻きの言葉は出る。届く訳でも叶う訳でも無いのに。
――が、そう思ったと同時に、その音は部屋に響き渡った。
ガラスが割れる大きな破壊音。
何が起こったか分からない。目の前で起こっている事が現実なのか、疑ってしまう。
床に飛び散る破片。舞い上がった濃い色のカーテン。
そして、黒い影が横切るのを一瞬視界に捉えた。
男の叫び声が聞こえたのは、その直後だ。
「ッアァッ!」
「なんだ、まだ喋れるのか。一度で済んだ筈の痛みを、二度に増やしちまう。悪いな」
「!?」
何故リヴァイさんがいるのかという驚きより、彼が引っくり返っている男を蹴飛ばす姿と、重い音への慄きの方が勝った。
「だが、すべてテメェが招いた結果だ」
私の横にいた男も同じなのだろう。ヒィッ! と短い悲鳴を上げた。その悲鳴にリヴァイさんが振り返る。
「ああ……お前は一度で済ましてやるから、安心しろ」
冷たく言い放った後は、先に倒れた男と大して変わらない扱いを。――違う。さっきより酷い。
私の足元に倒れた男にリヴァイさんは舌打ちをして、その男を人形でも投げるかの様に放る。
そんなリヴァイさんの怖い横顔を見たら、急に力が抜けて、私はその場に座り込んでしまった。
「ちょっとリヴァイッ! 立体機動で乗り込むとか無茶しないでよ! フェリーチェまで傷付いたらどうすんの!」
「お前らみたいにのんびり乗り込んでたら、逆にコイツが傷付けられんだろうが。自分のモノをどう取り返そうと俺の勝手だ」
「まったく……だからってさ~……。フェリーチェ、大丈夫? 怪我してない?」
ドアを蹴り飛ばして入って来たハンジさんに、ただただ頷いて返事をした。どうやってここを探り当ててくれたのか……。分からないけど彼等はこうして来てくれた。私は、ギリギリの所で助かったんだ……。
「どうでもいいから、サッサとそこのゴミ屑どもを牢にブチ込んでおけ。後で俺が処理してやる」
「私情タップリの拷問コースか。死なないといいけど」
肩をすくめ笑ったハンジさんは、「はい、コレ!」とリヴァイさんに何かを投げる。空中でそれをキャッチすると、手にした物にリヴァイさんの顔が厳しくなった。チラリと私の手元を見る。
「フェリーチェ。随分とイイ贈り物をもらったようだな」
「贈り物って……こ、これのことですか……?」
恐る恐る手を動かせば、ジャラと鎖の音がする。鉄の冷たさと重さが手首に纏わりつく感触は、すごく不快だ。
「俺以外の男からプレゼントなんて貰ってんじゃねぇよ」
「貰ってませんっ! 誰が好き好んでこんなの……」
「ああ、そうだな。お前がこんなモノ欲しがる訳が無い。立て、フェリーチェ」
輪と輪を繋ぐ鎖を掴むと、リヴァイさんはそれを引き上げた。
ぐっと鉄が手首に食い込む。痛い! と悲鳴を上げた時には、背中と手にドンと衝撃を受け、その大きさに軽くむせた。
一瞬足が浮いたくらいだ。リヴァイさんの力は並の男性をはるか上回る。私なんかを片手で簡単に持ち上げ、壁にぶつけるなんて造作無い。
リヴァイさんは、鎖を離さない。壁に押し付けられていると、頭上の手首には手錠がさらに食い込んでくる。
痛い。……痛くて辛い。
「……リヴァイさん、あの」
「おい」
離してほしいと私が言う前に、リヴァイさんは、怒気の籠った声で聞いてきた。
「欲しくもないこんなモンを何故簡単に受け入れた」
「知らない、内に……。あの人達、薬が効いたって言ってました。私もさっきからずっと頭がぼうっとしてて……それであの……」
「クスリ? それを使ってここに連れて来たのか……。――フェリーチェ。お前……アイツ等に隙を見せたな? 街を歩く時は、絶対に周りに隙を見せるなと、俺はいつもお前に言ってた筈だが?」
「……ごめんなさい」
それしか言えない。リヴァイさんの言う通りだ。言葉一つで安易に油断した自分が悪い。
痛みが、ぼんやりしてた頭と視界をクリアにしていた。
目の前で凄く怖い顔をしているのは、大好きなリヴァイさんだ。いつもそばに居てくれる人。あともう少しで、この人と会えなくなってしまう所だった……私。
改めて思うと、さっきまでの出来事がどんなに恐ろしいことだったかを実感する。
「でも、これはちょっと……痛いんですけど……」
「躾に必要なのは痛みだ。これは、今のお前に一番与えなきゃならねぇもんだな。簡単に解放されると思うな」
「え、うそ……ですよね……?」
リヴァイさんはそう言うと、手錠ごと私の手を捻り上げる。それまでとは比べ物にならない痛みが、頭上から爪先まで走った。
「痛っ!」
「いい加減、教えた事を身に着けろよ、フェリーチェ。お前は他の男からそんなにプレゼントが欲しいのか?」
「いらな……い! 要らないですよ! 当たり前でしょう? 何もいらない!」
「なら、忘れないよう学べ。言葉と身体で覚えろ。お前に苦痛もそれ以外のものも与えられるのは、俺だけだ。――分かったな」
「………はい」
言葉の後に痛みが少し和らいだ。それがたとえ僅かでも、ホッとして全身の力が一瞬抜ける。
でも、痛い事に変わりは無い。痛む部分が変に熱く、それにつられて目の奥も熱くなってきた。
「リヴァイさん。もう……許して」
「……」
カチリ
小さな音。ふっと両手が利く様になって、それで気付いた。
「あ……」
手首にクッキリと赤い線が出来ていた。それをさすると、ヒリヒリした痛みが指の動きに合わせ動く。
「いたい……」
「悪くないな」
「え!?」
呟かれた一言に、ギョッとした。リヴァイさんは時々凄い事をサラッと言うけど、今のそれは一体何のつもりで言ったのだろう……。
「いつも俺が付けてるモノとは趣向が違って良い。仕置きされたという事がすぐ分かるな、コレは」
「……」
「そこは頷くところだろうが」
「……いえ。頷けませんよ全然。リヴァイさん、何考えてるんですか?」
「口の利き方にも、躾が必要か」
「……もう許してください……本当に。よく分かったから……」
痛めつけられるのは、いくら好きな人相手でもイヤだ。リヴァイさんが容赦しないのは、たったいま分かったし……。
「いいや、まだ分かってない。――フェリーチェ」
あたたかな手が頬を撫でてきた。これは、リヴァイさんの合図でもある。それを受けて目を閉じれば、唇に唇が重なった。角度を変えて、何度もそこに熱が触れる。
「ん……」
「――飴と鞭は、使い分けねぇとな」
と言われ、笑ってしまった。
……ここは頷くところ?
「手錠の付け心地はどうだった」
「聞くんですか? それ。……冷たいし、重いし、最悪です」
「そうか」
私を抱きしめると、リヴァイさんが耳元でクスリと笑う。そして、
「俺も、冷てぇし重い男だが?」
そう言った。
――重いっていうのは、やっぱりそういう意味で言ってるんですよね? 意外です。そんな風に感じた事ないから。
「リヴァイさんは違うと思いますよ? それに、重いのは私の方かも……。それこそ大丈夫ですか?」
「お前は軽いくらいだ」
「え」
(それはどういう意味でしょう)
「軽く想ってるつもりなんて微塵も無いんですが」
「ああ………知ってる」
リヴァイさんが、クッと笑った。
帰るぞ
そう言いながら、もう一度長いキスをして。
離してもらえない中、私の頭には、ふとひとつの疑問が。
(リヴァイさん……。その手錠、どうするつもりなんですか?)
まさかとは思いますけど。
――まさか……違いますよね?
私の考え過ぎですよね?