人類最強の男が立ち向かうもの
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✽3✽
ぶははは! とハンジは大声で、我慢も遠慮もせず笑った。
腹を抱え、膝を叩き、リヴァイの気もお構いなしだ。
「怖いのは態度でも口調でもなく眉間の皺! しかも顔とか言わないでピンポイントで眉間の皺って!」
「うるせぇ。いつまで笑ってんだお前は」
「だってだって傑作だよ! 仏頂面も眉間の皺さえ無ければ多少和らぐってコト、あの子はよーく分かってるじゃないか。それにしてもやっぱり面白い……ぶふっ、眉間の皺……!」
「分隊長……。失礼ですよ」
いい加減にしてください。オロオロとした様子でモブリットは止めに入る。ハンジを睨みつけるリヴァイに気が付くと、彼は自分が悪い訳でもないのに頭を下げた。
「も、申し訳ございません。兵長」
いつも上官の行動に振り回され気苦労の絶えないモブリットは、周りから同情の声も上がる気の毒な副官だ。
そんな彼からの謝罪の言葉にリヴァイの視線がモブリットへと向く。
数秒の間の後、リヴァイは言った。
「お前もそう思うのか? モブリット」
「えっ!? あ、あの……」
「言っちゃいなよモブリット! その通りだよーって」
「テメェは黙ってろ」
派手な音とともにハンジの姿が椅子から消えた。「いたたたっ……! 酷いなぁ相変わらず!」と、転がった椅子の向こう側から声が聞こえる。
「いや。ど、どうでしょうか。自分はあまりその辺を意識した事はありませんし……」
数秒後は目の前の上官の様になるかもしれない。そう思うと、「そうですね。少しは……」など口が裂けても言えない。モブリットは焦りを隠すのに必死だった。
「隊員達はみんなそうだと思います。フェリーチェさんは聞けば引きこも……今まで表に出る機会が極端に少なかったらしいじゃないですか。世の中には様々なタイプの人間がいる事、ここに来て初めて知ったかもしれませんよ?」
フォローは出来たはず。……多分。いやこれはギリギリでアウトか?
椅子の向こうからハンジの押し殺す様な笑いが聞こえて、モブリットは嫌な汗をかいていた。あんたの所為でこっちはとんだとばっちりですよ!
リヴァイの反応が恐い。身体への激痛を想像しつつ、モブリットはそろりと脚の主を見たが、幸いにも最強の男のそれが動く事はなかった。
今まさに話題に上ってる眉間の皺を更に深くはしていたが……。
「だから厄介事はごめんだと言ったんだ。俺は」
そう機嫌悪そうに言い捨て、リヴァイはハンジの執務室を出て行った。
ドアを派手に蹴り飛ばした後ろ姿にモブリットは肩を竦め、
「ドアは私の代わりでしょうか……」
溜息まじりで呟く。
「違うよ。あれは落ち込んでるんだ」
「は? あれがですか?」
「分かり辛い男だからね。いや、あの様子だと自分でも分かってないのかもしれないなぁ」
「はぁ……」
「面白いねぇ。実に面白いよ。観察のし甲斐がありそうだ! ね? モブリット」
ニヤニヤ笑っているハンジを見下ろすモブリットからはもう一度溜息が漏れた。
(私にとってはあなたも理解の範疇を超えてる存在ですよ……)
倒れている上官と椅子を起こしながらモブリットは願う。
お願いだから、これ以上余計な事をしてリヴァイ兵長を怒らせないで欲しい。
ハンジのフォローこそ、彼の一番の悩みの種なのだった。
ぶははは! とハンジは大声で、我慢も遠慮もせず笑った。
腹を抱え、膝を叩き、リヴァイの気もお構いなしだ。
「怖いのは態度でも口調でもなく眉間の皺! しかも顔とか言わないでピンポイントで眉間の皺って!」
「うるせぇ。いつまで笑ってんだお前は」
「だってだって傑作だよ! 仏頂面も眉間の皺さえ無ければ多少和らぐってコト、あの子はよーく分かってるじゃないか。それにしてもやっぱり面白い……ぶふっ、眉間の皺……!」
「分隊長……。失礼ですよ」
いい加減にしてください。オロオロとした様子でモブリットは止めに入る。ハンジを睨みつけるリヴァイに気が付くと、彼は自分が悪い訳でもないのに頭を下げた。
「も、申し訳ございません。兵長」
いつも上官の行動に振り回され気苦労の絶えないモブリットは、周りから同情の声も上がる気の毒な副官だ。
そんな彼からの謝罪の言葉にリヴァイの視線がモブリットへと向く。
数秒の間の後、リヴァイは言った。
「お前もそう思うのか? モブリット」
「えっ!? あ、あの……」
「言っちゃいなよモブリット! その通りだよーって」
「テメェは黙ってろ」
派手な音とともにハンジの姿が椅子から消えた。「いたたたっ……! 酷いなぁ相変わらず!」と、転がった椅子の向こう側から声が聞こえる。
「いや。ど、どうでしょうか。自分はあまりその辺を意識した事はありませんし……」
数秒後は目の前の上官の様になるかもしれない。そう思うと、「そうですね。少しは……」など口が裂けても言えない。モブリットは焦りを隠すのに必死だった。
「隊員達はみんなそうだと思います。フェリーチェさんは聞けば引きこも……今まで表に出る機会が極端に少なかったらしいじゃないですか。世の中には様々なタイプの人間がいる事、ここに来て初めて知ったかもしれませんよ?」
フォローは出来たはず。……多分。いやこれはギリギリでアウトか?
椅子の向こうからハンジの押し殺す様な笑いが聞こえて、モブリットは嫌な汗をかいていた。あんたの所為でこっちはとんだとばっちりですよ!
リヴァイの反応が恐い。身体への激痛を想像しつつ、モブリットはそろりと脚の主を見たが、幸いにも最強の男のそれが動く事はなかった。
今まさに話題に上ってる眉間の皺を更に深くはしていたが……。
「だから厄介事はごめんだと言ったんだ。俺は」
そう機嫌悪そうに言い捨て、リヴァイはハンジの執務室を出て行った。
ドアを派手に蹴り飛ばした後ろ姿にモブリットは肩を竦め、
「ドアは私の代わりでしょうか……」
溜息まじりで呟く。
「違うよ。あれは落ち込んでるんだ」
「は? あれがですか?」
「分かり辛い男だからね。いや、あの様子だと自分でも分かってないのかもしれないなぁ」
「はぁ……」
「面白いねぇ。実に面白いよ。観察のし甲斐がありそうだ! ね? モブリット」
ニヤニヤ笑っているハンジを見下ろすモブリットからはもう一度溜息が漏れた。
(私にとってはあなたも理解の範疇を超えてる存在ですよ……)
倒れている上官と椅子を起こしながらモブリットは願う。
お願いだから、これ以上余計な事をしてリヴァイ兵長を怒らせないで欲しい。
ハンジのフォローこそ、彼の一番の悩みの種なのだった。