Episode.3-8
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日蝕も終わり、夕日が関ヶ原の地を染め上げる
生き残った各国の兵たちは皆疲れ果てて、そこかしこで座り込んだきり動かない
伊達も武田も、相当の人数が魔の手にやられてしまった
私たちはその中で、大鍋から吐き出されて、関ヶ原の大地に仰向けになったまま、橙色の空を見上げていた
「……秀吉様の明日を奪った罪を忘れるな」
石田三成が空を見上げたまま、藤次郎様へと呟く
「小蛇の無様を晒すようなら、私がいつなりと誅戮する
拒否は許さない」
「……上等だ
お楽しみが増えるってもんだぜ」
藤次郎様も同じように夕焼け空を見上げ、石田三成へそう返した
その時こそは、二人の決着がつくと信じて、私も待っていよう
もちろん、最後に勝つのは藤次郎様だと信じて……だけれど
「……貴様が前田慶次か」
「ああ……」
「……頼みがある」
「キ?」
「なんだい?
俺にできることなら、何なりと言ってくれ」
「私の知らない秀吉様の話を、いつか……聞かせてほしい」
石田三成の知らない豊臣秀吉……
それはひょっとしたら、私たちの知る、力のみを求めるに至る前の、豊臣秀吉の姿
それを知っているのは……旧友だった慶次殿だけ
私たちは豊臣の作る明日を否定して、豊臣秀吉を討った
それは日ノ本を力で統べることが、民の幸せには繋がらないと思ったから
けれどそうしたことで、石田三成から唯一の主君を奪うことになったのもまた、事実だ
その咎を藤次郎様は忘れることなどないだろう
時に女子供、家畜までを容赦なく撫で斬りにする苛烈さを見せながらも、藤次郎様の目指す明日は、間違いなく民のため
そしてその過程で手にかけた存在を、藤次郎様は軽んじたりはしない
「……ああ
いつでもお安い御用さ」
慶次殿は静かにそう答えた
きっと慶次殿も、かつての旧友の姿を、誰かに知ってほしかったのかもしれない
その心を私が推し量るのは無粋でもあるけれど
「……家康殿」
「なんだ、真田」
「某、此度の決意を全うできぬ時は、虎の名を返上致す所存でおり申した
虎の魂を後世に、真に受け継ぐ者たるのは、貴殿なのではないかと──」
「儂はずっと、信玄公を心の師と仰いできた
これからもそうだ
だがお前は違う
信玄公とお前の絆は、きっと血よりも濃く、熱いものだ
全身全霊で全うし、それを次代の虎へと伝えてくれ」
「……承知、致し申した……!」
ふ、と藤次郎様が笑う
それはどこか嬉しそうな笑みだった
「……三成
儂はお前と共に、いつか絆の力で天下を統べることを望もう」
「……」
「慕ってやまない人の志を継ぐことも、大切な絆だ」
「……馴れ合いはしない」
「ふ、お前らしい……」
肩で笑った家康殿が、むくりと起き上がる
その姿を、私も視線だけで追った
「ではどうだ
力づくで決めるというのは?」
「……よかろう」
石田三成も同じように起き上がり、それに応える
あれだけの死闘を繰り広げて、まだそんな元気があるなんて
私には到底、無理な話ね……
苦笑いを浮かべた横で、藤次郎様が意気揚々と立ち上がった
「俺たちもお待ちかねのpartyと洒落込むとしようぜ、真田幸村!」
「望むところにござる……!!」
ああ、こっちもか……
私は巻き込まれないように、片倉様たちのところへ避難しよう
やれやれとため息をついてから、起き上がって二丁銃を拾い上げ、太腿のホルスターへ戻す
藤次郎様と石田三成がすれ違って……
「……Good luck.」
「……さらばだ」
蒼紅と陰陽、二手に別れていく四人を、見届け人と化した私たちは見守るだけだ
「姐御、ご無事だったんですね……!」
「あんた達も、よく魔の手に襲われて無事だったわね……」
声をかけてくれた文七郎は、左馬助の肩を借りている状態だ
ふらりと足が踏ん張りを効かせられず、よろけそうになる
その私を支えたのは、片倉様だった
「片倉様──」
「政宗様をよく守ってくれた」
「当然のことをしたまでです……
礼を言われるようなことでは」
「因縁は断ち切ったか」
「はい、しかと」
ふ、と片倉様が微笑む
そうして私の肩を、孫兵衛に支えさせた
「さあみんな!
正真正銘、最後の大喧嘩だ!
恨みっこなしで白黒つけてくれ!」
慶次殿の煽りで、二組がそれぞれ臨戦態勢を取る
そうして私たちの目の前で、蒼紅が派手にぶつかり合った
「独眼竜・伊達政宗!
頂の誓い、今こそ果たしましょうぞ!」
「Be satisfied.
……簡単にgoal inさせてくれるなよ、真田幸村!」
紅と蒼の光がぶつかり合い、六爪と二槍が鍔迫り合いを繰り返して火花が飛び散る
遥か彼方へと飛んでいった二人を、私たちはぽかんと見上げていた
「どこまで行くんスかねぇ……」
「放っておきましょう、二人の世界だもの」
「それでいいんですかい?」
「そのうち帰ってくるわよ……
約束は、果たしたん、だもの……──」
不意に目の前が暗くなって、ずるりと孫兵衛から滑り落ちる
「姐御!?」と四人が慌てる姿に、何を言うこともできない
ああ──なんだか、全てが遠くに感じる……
ひどく眠たくて、目蓋を持ち上げられない
ねぇ……あとで……藤次郎様がどんなふうに勝ったか、教えてちょうだいね……
四人の顔がぼやけて、聴覚が途切れていく
そうして最後、蒼の稲妻が、竜となって空に吠えたような気がした──
生き残った各国の兵たちは皆疲れ果てて、そこかしこで座り込んだきり動かない
伊達も武田も、相当の人数が魔の手にやられてしまった
私たちはその中で、大鍋から吐き出されて、関ヶ原の大地に仰向けになったまま、橙色の空を見上げていた
「……秀吉様の明日を奪った罪を忘れるな」
石田三成が空を見上げたまま、藤次郎様へと呟く
「小蛇の無様を晒すようなら、私がいつなりと誅戮する
拒否は許さない」
「……上等だ
お楽しみが増えるってもんだぜ」
藤次郎様も同じように夕焼け空を見上げ、石田三成へそう返した
その時こそは、二人の決着がつくと信じて、私も待っていよう
もちろん、最後に勝つのは藤次郎様だと信じて……だけれど
「……貴様が前田慶次か」
「ああ……」
「……頼みがある」
「キ?」
「なんだい?
俺にできることなら、何なりと言ってくれ」
「私の知らない秀吉様の話を、いつか……聞かせてほしい」
石田三成の知らない豊臣秀吉……
それはひょっとしたら、私たちの知る、力のみを求めるに至る前の、豊臣秀吉の姿
それを知っているのは……旧友だった慶次殿だけ
私たちは豊臣の作る明日を否定して、豊臣秀吉を討った
それは日ノ本を力で統べることが、民の幸せには繋がらないと思ったから
けれどそうしたことで、石田三成から唯一の主君を奪うことになったのもまた、事実だ
その咎を藤次郎様は忘れることなどないだろう
時に女子供、家畜までを容赦なく撫で斬りにする苛烈さを見せながらも、藤次郎様の目指す明日は、間違いなく民のため
そしてその過程で手にかけた存在を、藤次郎様は軽んじたりはしない
「……ああ
いつでもお安い御用さ」
慶次殿は静かにそう答えた
きっと慶次殿も、かつての旧友の姿を、誰かに知ってほしかったのかもしれない
その心を私が推し量るのは無粋でもあるけれど
「……家康殿」
「なんだ、真田」
「某、此度の決意を全うできぬ時は、虎の名を返上致す所存でおり申した
虎の魂を後世に、真に受け継ぐ者たるのは、貴殿なのではないかと──」
「儂はずっと、信玄公を心の師と仰いできた
これからもそうだ
だがお前は違う
信玄公とお前の絆は、きっと血よりも濃く、熱いものだ
全身全霊で全うし、それを次代の虎へと伝えてくれ」
「……承知、致し申した……!」
ふ、と藤次郎様が笑う
それはどこか嬉しそうな笑みだった
「……三成
儂はお前と共に、いつか絆の力で天下を統べることを望もう」
「……」
「慕ってやまない人の志を継ぐことも、大切な絆だ」
「……馴れ合いはしない」
「ふ、お前らしい……」
肩で笑った家康殿が、むくりと起き上がる
その姿を、私も視線だけで追った
「ではどうだ
力づくで決めるというのは?」
「……よかろう」
石田三成も同じように起き上がり、それに応える
あれだけの死闘を繰り広げて、まだそんな元気があるなんて
私には到底、無理な話ね……
苦笑いを浮かべた横で、藤次郎様が意気揚々と立ち上がった
「俺たちもお待ちかねのpartyと洒落込むとしようぜ、真田幸村!」
「望むところにござる……!!」
ああ、こっちもか……
私は巻き込まれないように、片倉様たちのところへ避難しよう
やれやれとため息をついてから、起き上がって二丁銃を拾い上げ、太腿のホルスターへ戻す
藤次郎様と石田三成がすれ違って……
「……Good luck.」
「……さらばだ」
蒼紅と陰陽、二手に別れていく四人を、見届け人と化した私たちは見守るだけだ
「姐御、ご無事だったんですね……!」
「あんた達も、よく魔の手に襲われて無事だったわね……」
声をかけてくれた文七郎は、左馬助の肩を借りている状態だ
ふらりと足が踏ん張りを効かせられず、よろけそうになる
その私を支えたのは、片倉様だった
「片倉様──」
「政宗様をよく守ってくれた」
「当然のことをしたまでです……
礼を言われるようなことでは」
「因縁は断ち切ったか」
「はい、しかと」
ふ、と片倉様が微笑む
そうして私の肩を、孫兵衛に支えさせた
「さあみんな!
正真正銘、最後の大喧嘩だ!
恨みっこなしで白黒つけてくれ!」
慶次殿の煽りで、二組がそれぞれ臨戦態勢を取る
そうして私たちの目の前で、蒼紅が派手にぶつかり合った
「独眼竜・伊達政宗!
頂の誓い、今こそ果たしましょうぞ!」
「Be satisfied.
……簡単にgoal inさせてくれるなよ、真田幸村!」
紅と蒼の光がぶつかり合い、六爪と二槍が鍔迫り合いを繰り返して火花が飛び散る
遥か彼方へと飛んでいった二人を、私たちはぽかんと見上げていた
「どこまで行くんスかねぇ……」
「放っておきましょう、二人の世界だもの」
「それでいいんですかい?」
「そのうち帰ってくるわよ……
約束は、果たしたん、だもの……──」
不意に目の前が暗くなって、ずるりと孫兵衛から滑り落ちる
「姐御!?」と四人が慌てる姿に、何を言うこともできない
ああ──なんだか、全てが遠くに感じる……
ひどく眠たくて、目蓋を持ち上げられない
ねぇ……あとで……藤次郎様がどんなふうに勝ったか、教えてちょうだいね……
四人の顔がぼやけて、聴覚が途切れていく
そうして最後、蒼の稲妻が、竜となって空に吠えたような気がした──
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