Episode.3-7
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手足に力が入らない
視界に舞う大紫が増えて……頭の中がぼんやりとしていく
その向こうで、石田三成の血を吐くような声がした
「許さない……絶対に……!」
全身ボロボロで、それでも足取りは確かに魔王へ向かっている
居合刀を両手で持って、歩く足元には血が滴り落ちた
「唾棄すべき魔王……!
貴様などに……秀吉様の……ッ!!」
「灰燼に帰するが良いわァァ!!」
魔王の背後に浮かぶ六魔が、右手の太刀を振り下ろす
──瞬間、どこからともなく透明な数珠がいくつも飛び交った
「……何?」
数珠は光の輪となり、六魔の動きを封じていく
いったい誰が、ここには私たちしかいないはずなのに
……その時、魔王の禍々しい気で満ち溢れるこの場へ、輿がふわりと飛んできた
輿には全身を包帯で覆った男が座っている
……あれは、誰?
「賢しいわぁぁ!!」
魔王の銃が輿の男目掛けて火を噴く
蝶を象った兜が破損し、輿にヒビが入って、輿が力を失うように下へと落ちてきた
「刑部……!?
何をしている!!
なぜ貴様がここにいる、下がっていろ!」
魔王へ向かわんとしていた石田三成がそちらを振り向き、輿に乗る男の元へと駆け寄る
刑部──あれが、大谷吉継か
この場に今まで姿を表さなかったから、てっきり石田三成の留守を預かったのかと思っていたけど……
「下がれ刑部!
貴様はこれ以上苦しむな!」
大谷吉継を庇おうとした石田三成の刀に、魔王の銃弾がぶつかる
吹っ飛ばされた硝煙の向こうから、大谷吉継の輿が再び空中へと浮かび上がった
手元には数珠が七つ
「でぇやぁぁぁああ!!」
数珠は光の弾となって、動きを封じられた六魔へ降り注ぐ
「無駄と知れぃ!!」
太刀を振り下ろした魔王に呼応して、六魔が自身を拘束していた光の輪を打ち破った
そうして振り下ろされた、六魔の刀が──大谷吉継を襲って
「ぐぁぁぁ──ッ!!」
衝撃の赤い光の中で、輿は砕け、大谷吉継が飲み込まれていく
「刑部──ッ!!」
石田三成が大谷吉継を追っていく
けれど無情にも、大谷吉継は頭から地面へと落下して……
一度大きく跳ねたあとは、微動だにしなかった
「刑部──!!」
仰向けに倒れ伏した大谷吉継の体に駆け寄り、石田三成がその体に縋り付く
「刑部!
貴様が死ぬことは許さない!!
刑部ゥゥ──ッ!!」
その絶叫は……あまりにも、悲痛で
こちらが身を裂かれるような痛みを感じるものだった
石田三成と大谷吉継がどんな仲だったのかなんて、説明されなくても分かる
……この別れを見たら、誰だって
「……っ、こんな、こと──」
もう、終わりに……終わりにしなきゃ
誰かが大切な人を失って、慟哭することがないように……
皆が笑って暮らせる、天下を……!
「三成!
信長をよく見ろ!
豊臣の時代……民の目に、秀吉公が、儂らがどう映っていたのかを!」
血涙を流す石田三成が、魔王を振り向く
力に取り憑かれ、狂気に満ちた顔は、魔王も覇王もないと知らしめていた
……力を求めることに、どんな理由があろうとも
力無き民草には、恐怖にて統べんとする魔王も、武をもって統べんとした覇王も、等しく禍々しいものなのだと──
「そんな、はずは……!」
怪しく高笑いをする魔王の足元で、砕け散った数珠の破片が、突然眩く光を放った
それは何かを阻むように魔王を囲み、輝いていく
魔王の足元へ流れていた赤い光が絶たれ、六魔が苦悶の声を上げた
「な、何が起きているのですか……!?」
「あれは……!?」
私たちがいる棘岩の花の下を振り向く慶次殿と幸村につられて、私もそちらを見下ろす
そこにはあの魔の手が這い回って、一面を埋めつくしていた
「魔王さんの根っこか!?」
「あの無数の黒い手が、魔王の根となっておると!?」
「魔王はまだ復活を遂げ切っていない!
今のうちにあれを断てば……!」
「ッ、小十郎……!」
「心得ました
──ご武運を……!
綾葉……政宗様の命、てめぇに預ける!」
「承知!
必ずやお守りしてみせます……!」
片倉様が私に頷き、それから棘岩の花の下へと飛び降りていった
藤次郎様のことは私が命に代えても守ります
片倉様も、どうかご武運を……!
「佐助!
武田一軍、お前に預ける!」
「了解だけど……副将って、手当つくのかい?」
「副将じゃなかったの!?」
「勘弁してくださいよ綾葉様
俺様がそんな柄じゃないっしょ?
まあでも……今回ばかりは、やってやりますよ!」
佐助も棘岩の下へ去っていく
残ったのは藤次郎様、私、幸村、慶次殿、家康殿だ
六魔はほとんど消えかえている
数珠の輝きは増していき、魔王の動きも鈍い
右腕の痛みはもう慣れてしまった
二丁銃を両手に持ち、立ち上がる私の横で、藤次郎様も一刀を手に、魔王へ向かって一歩を進めた
藤次郎様に続いて私が、幸村が、家康殿が、慶次殿が、魔王の元へと歩みを進めていく
「今しかねぇ……!
あとは頼むぜ、小十郎……!」
「彦一郎様、ご照覧くださいませ
これが綾葉の、最期の舞にございます……!」
「お館様、お許しくだされ!
この幸村、天下の捨て石と相成り申す……!」
「利、まつ姉ちゃん
いつまでも仲良くな……!」
「儂なき後、皆が絆を結んでくれることを信じて……!」
歩いていた足は、自然と駆け足になっていく
咆哮を上げる魔王の足元に瞬いていた光が弾け、赤い光が再び魔王へと流れていった
せき止められていたせいで、その勢いは凄まじい
消えかけていた六魔も復活し、禍々しさは先程以上だ
……それでも!
この日の本を、守ることができるのなら!!
私たちは挑む以外の選択肢なんて、選ばない!!
視界に舞う大紫が増えて……頭の中がぼんやりとしていく
その向こうで、石田三成の血を吐くような声がした
「許さない……絶対に……!」
全身ボロボロで、それでも足取りは確かに魔王へ向かっている
居合刀を両手で持って、歩く足元には血が滴り落ちた
「唾棄すべき魔王……!
貴様などに……秀吉様の……ッ!!」
「灰燼に帰するが良いわァァ!!」
魔王の背後に浮かぶ六魔が、右手の太刀を振り下ろす
──瞬間、どこからともなく透明な数珠がいくつも飛び交った
「……何?」
数珠は光の輪となり、六魔の動きを封じていく
いったい誰が、ここには私たちしかいないはずなのに
……その時、魔王の禍々しい気で満ち溢れるこの場へ、輿がふわりと飛んできた
輿には全身を包帯で覆った男が座っている
……あれは、誰?
「賢しいわぁぁ!!」
魔王の銃が輿の男目掛けて火を噴く
蝶を象った兜が破損し、輿にヒビが入って、輿が力を失うように下へと落ちてきた
「刑部……!?
何をしている!!
なぜ貴様がここにいる、下がっていろ!」
魔王へ向かわんとしていた石田三成がそちらを振り向き、輿に乗る男の元へと駆け寄る
刑部──あれが、大谷吉継か
この場に今まで姿を表さなかったから、てっきり石田三成の留守を預かったのかと思っていたけど……
「下がれ刑部!
貴様はこれ以上苦しむな!」
大谷吉継を庇おうとした石田三成の刀に、魔王の銃弾がぶつかる
吹っ飛ばされた硝煙の向こうから、大谷吉継の輿が再び空中へと浮かび上がった
手元には数珠が七つ
「でぇやぁぁぁああ!!」
数珠は光の弾となって、動きを封じられた六魔へ降り注ぐ
「無駄と知れぃ!!」
太刀を振り下ろした魔王に呼応して、六魔が自身を拘束していた光の輪を打ち破った
そうして振り下ろされた、六魔の刀が──大谷吉継を襲って
「ぐぁぁぁ──ッ!!」
衝撃の赤い光の中で、輿は砕け、大谷吉継が飲み込まれていく
「刑部──ッ!!」
石田三成が大谷吉継を追っていく
けれど無情にも、大谷吉継は頭から地面へと落下して……
一度大きく跳ねたあとは、微動だにしなかった
「刑部──!!」
仰向けに倒れ伏した大谷吉継の体に駆け寄り、石田三成がその体に縋り付く
「刑部!
貴様が死ぬことは許さない!!
刑部ゥゥ──ッ!!」
その絶叫は……あまりにも、悲痛で
こちらが身を裂かれるような痛みを感じるものだった
石田三成と大谷吉継がどんな仲だったのかなんて、説明されなくても分かる
……この別れを見たら、誰だって
「……っ、こんな、こと──」
もう、終わりに……終わりにしなきゃ
誰かが大切な人を失って、慟哭することがないように……
皆が笑って暮らせる、天下を……!
「三成!
信長をよく見ろ!
豊臣の時代……民の目に、秀吉公が、儂らがどう映っていたのかを!」
血涙を流す石田三成が、魔王を振り向く
力に取り憑かれ、狂気に満ちた顔は、魔王も覇王もないと知らしめていた
……力を求めることに、どんな理由があろうとも
力無き民草には、恐怖にて統べんとする魔王も、武をもって統べんとした覇王も、等しく禍々しいものなのだと──
「そんな、はずは……!」
怪しく高笑いをする魔王の足元で、砕け散った数珠の破片が、突然眩く光を放った
それは何かを阻むように魔王を囲み、輝いていく
魔王の足元へ流れていた赤い光が絶たれ、六魔が苦悶の声を上げた
「な、何が起きているのですか……!?」
「あれは……!?」
私たちがいる棘岩の花の下を振り向く慶次殿と幸村につられて、私もそちらを見下ろす
そこにはあの魔の手が這い回って、一面を埋めつくしていた
「魔王さんの根っこか!?」
「あの無数の黒い手が、魔王の根となっておると!?」
「魔王はまだ復活を遂げ切っていない!
今のうちにあれを断てば……!」
「ッ、小十郎……!」
「心得ました
──ご武運を……!
綾葉……政宗様の命、てめぇに預ける!」
「承知!
必ずやお守りしてみせます……!」
片倉様が私に頷き、それから棘岩の花の下へと飛び降りていった
藤次郎様のことは私が命に代えても守ります
片倉様も、どうかご武運を……!
「佐助!
武田一軍、お前に預ける!」
「了解だけど……副将って、手当つくのかい?」
「副将じゃなかったの!?」
「勘弁してくださいよ綾葉様
俺様がそんな柄じゃないっしょ?
まあでも……今回ばかりは、やってやりますよ!」
佐助も棘岩の下へ去っていく
残ったのは藤次郎様、私、幸村、慶次殿、家康殿だ
六魔はほとんど消えかえている
数珠の輝きは増していき、魔王の動きも鈍い
右腕の痛みはもう慣れてしまった
二丁銃を両手に持ち、立ち上がる私の横で、藤次郎様も一刀を手に、魔王へ向かって一歩を進めた
藤次郎様に続いて私が、幸村が、家康殿が、慶次殿が、魔王の元へと歩みを進めていく
「今しかねぇ……!
あとは頼むぜ、小十郎……!」
「彦一郎様、ご照覧くださいませ
これが綾葉の、最期の舞にございます……!」
「お館様、お許しくだされ!
この幸村、天下の捨て石と相成り申す……!」
「利、まつ姉ちゃん
いつまでも仲良くな……!」
「儂なき後、皆が絆を結んでくれることを信じて……!」
歩いていた足は、自然と駆け足になっていく
咆哮を上げる魔王の足元に瞬いていた光が弾け、赤い光が再び魔王へと流れていった
せき止められていたせいで、その勢いは凄まじい
消えかけていた六魔も復活し、禍々しさは先程以上だ
……それでも!
この日の本を、守ることができるのなら!!
私たちは挑む以外の選択肢なんて、選ばない!!
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