Episode.3-4
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何事か慌てていた幸村は、政宗様の一言ではっと表情を変え、馬上で背筋を正した
家督を継いで数年、奥州を背負い続けてきた政宗様に並び立つには、もう少しかかるだろう
けれど、幸村の目に映る景色は、政宗様と同じ高さになったのだ
それを喜ばぬ者は、この伊達軍にはいない
「……如何にも」
「上出来だ
お互い用事が済んだら、祝いがてら決着のpartyといこうぜ?」
「……貴殿との決着は望むところ
なれど此度、某は、家康殿を討ちに参るのではござらぬ」
「Um?」
「確かめに参るのでござる」
俯かせていた顔を上げ、幸村は政宗様へそう言った
確かめる──とは、何を?
まさか徳川家康本人に、ここ最近の徳川軍の行動を問うつもり?
「石田軍を模倣するかの如く他国を蹂躙し、武将たちを半ば脅して関ヶ原の地へ向かわせようとしておるのが、家康殿ではないことを」
「……関ヶ原だと……?」
……あの手紙、ひょっとして、政宗様の手に渡ってないのかしら
屋敷に戻ったあと、片倉様にお渡ししておいたから、てっきり政宗様も目を通されているものと思っていたけれど
「……俺も、石田と会って確かめたいことがある」
「……」
私たちはそう呟いた政宗様の背をただ見つめるのみだ
政宗様が日の本各地で起こっている凶行に対して、責を覚えておられることは知っている
どんなに貴方様が悪いわけではないとお伝えしたところで、そんな言葉一つで背中からその荷を下ろすお方ではない
「どっちにしろ、殺り合うことに変わりはねえがな──」
政宗様の足が後藤黒の腹を蹴る
片倉様が続き、私がそれに続いて、伊達軍はゆっくりと進軍を再開させた
幸村もややあって、同じように馬を動かす
佐助は徒歩のまま付き従って──
「また会おうぜ、真田幸村」
幸村は返答をしなかった
伊達軍と武田軍がゆっくりとすれ違っていく
政宗様にしては素直に真田幸村を行かせるのね……と内心で少しだけ驚いたが、冷静に考えれば、ここで戦い合うことに意味はない
目の前のことを片付けてから、好敵手との決着を憂いなくつけていただきたいところだから、私も政宗様のご判断は正しいと思う
伊達軍と武田軍が完全にすれ違った
……と思ったその時、政宗様は後藤黒の足を止めた
「……政宗様?
如何なされました?」
私の問いに、政宗様は答えることなく
代わりに政宗様が声を掛けた相手は、先程すれ違った幸村だった
……ちょっと嫌な予感がするわね……
「そういやぁ、ここはアンタと俺が初めて戦り合った場所だよな」
「……そうでござるな」
ここは政宗様と幸村の宿命が重なった地──妻女山
たしかにここで幸村と再会したことは全くの偶然だった
だけれど……否、だからこそ、無性に嫌な予感がするのだ
私の政宗様に対する理解が正しければ、次に政宗様がおっしゃる言葉は……
「どうだい?
今、決着をつけるってのは」
「何を申され……ッ!?」
政宗様は幸村の返答を聞く前に、後藤黒の首尾を変えていた
(絶対にそう言うだろうなと思ったセリフを、まさか一言一句違わずにおっしゃるとは思わなかったわ……)
さすがにここはお止めすべきだ
私たちには、こんな所で油を売っている暇はない
「政宗様!」
「何をおっしゃっておいでです!?」
両軍がどよめく中で、私と片倉様の諌める声も聞こえているはずなのに
政宗様は自軍の間を割り開き、幸村の方へと進んでいく
「こんな所で会っちまわなけりゃあ、我慢もできたんだがな……!」
兵たちは止めることもできず、ただ政宗様へ道を開けることしかできない
ああもう本当に、これだから我慢のできない人は!
「石田 との勝負には、coolもhotもねぇ
どちらかが勝ち、どちらかが死ぬ
憎悪に塗れたdeath matchだ
Had no choice.
だから今、アンタとやり合っておきてぇんだ──真田幸村ァッ!!」
後藤黒が勢いよく駆け出していく
どうするんです、という目で片倉様を見やるけれど、片倉様は「こうなるだろうな」という顔だった
……そうよね、政宗様の性格を考えれば、ここで幸村のことを無視するなんて、無理に決まってるわよね
「大将──」
「受けざるは、生涯の悔いと相成らん!
左様な気が致すッ!!」
ああ駄目だ、佐助でも止められないんじゃ、誰も止められないわね!
私たちにできることなんて、蒼紅の巻き添えを喰らわないように、離れておくことだけだわ!
武田軍の間を駆け抜け、幸村が政宗様へと向かっていく
馬上で政宗様が六爪を抜き、幸村が二槍を構え
中空に高く跳んで、私達の頭上で、蒼い稲妻と赤い炎がぶつかり合った
初めから二人とも本気の全力だ
その威力たるや、並の兵士たちはほとんどが衝撃による爆風で煽られて、吹き飛ばされていった
もちろん例の四人組も例外ではない
どうにかあの木箱だけは死守したようだけど、みんな無様に落馬していったのが見えてしまった
……見なかったことにするのが優しさよね、これって
両者とも自身の愛馬に着地して、そのまま両軍が囲んだ中を回旋していく
後藤黒と幸村の馬が並走するその上では、政宗様と幸村の一歩も引かぬ鍔迫り合いが繰り広げられていた
激しさを増す攻防は、完全に均衡状態だ
幸村の槍を跳んで回避した政宗様の攻撃を避けて、幸村が期せずして後藤黒へ乗り上げる
政宗様が幸村の馬に飛び乗り、馬同士の喧嘩とその上に跨る人間同士の戦いにもつれ込んだ
「……片倉様」
「頃合いを見て割って入る
合図を出したらオメェも頼むぜ」
「承知致しました」
互いの馬でも人馬一体となれるらしい二人は、婆娑羅の熱を帯びて、弾き合いながら馬ごと宙へ
一段と激しく切り結んだ瞬間、後藤黒と幸村の馬は互いの背に乗せていた二人を振り落とした
やってられないとばかりにこちらへ避難してきた後藤黒を宥め、健闘を労う
蒼紅の戦いは更に激しさを増していて、もはや割って入ることなど不可能な気がしてきた
「DEATH・BITEッ!!」
「大車輪!!」
大技同士がぶつかり合うのを察して、誰もが身構える
瞬間──この場に似つかわしくない、春爛漫の風が吹いた
その気配は、私にとっても馴染みのあるものだ
はっと気が付いた瞬間には──その人は、過熱する蒼紅の攻撃を、抜き放った超刀で受け止めていた
「何者にござる!!」
「何のつもりだ、風来坊!!」
蒼紅に割って入ったのは、なんと慶次殿だ
先日、奥州にいらしていたけれど、まだ近くにいらっしゃったのね
私と片倉様だけではお二人をお止めできるか不安だったけれど、慶次殿のお力もあれば、お二人も頭を冷やしてくれるだろう
「あんたら、こんなところで何やってんの!
天下の一大事だってのに!」
「悪いがテメェにゃ関係ねぇ
どきな!」
「野暮は承知だ
けど、ここは退かないよ!」
「Haッ!!」
そう言い終わるか終わらないかのうちに、政宗様が慶次殿へ三爪を振り下ろす
超刀で弾いた、その頭上から、今度は幸村が拳に炎を滾らせて
「邪魔を致さんでくだされッ!!」
地面を割るように炎が走り、土煙が立ち込めた
その中から、政宗様と幸村が同時に慶次殿へと斬り掛かる
しかし焦りが先行していて二人とも大振りだ
慶次殿もそれに気付いていて、わざとお二人の力みを利用して軽々と捌いている
受け止めた三爪と二槍ごと、超刀の峰を蹴り上げ、二人が大きく体勢を崩した
「あらよッ!!」
超刀が振り回される度に旋風は勢いを増して、お二人の攻め手が途切れる
そうして超刀の柄を鞘に収め、朱槍としたそれを、掛け声と共にとてつもない勢いで二人の間へと振り下ろした
「気持ちは分かるけど、今はそこまでだ、お二人さん」
土煙と共に桜の花びらが舞い落ちる中で、二人の身体から闘気が消えていく
今回はここまで、決着はまた次回に持ち越しのようだ
家督を継いで数年、奥州を背負い続けてきた政宗様に並び立つには、もう少しかかるだろう
けれど、幸村の目に映る景色は、政宗様と同じ高さになったのだ
それを喜ばぬ者は、この伊達軍にはいない
「……如何にも」
「上出来だ
お互い用事が済んだら、祝いがてら決着のpartyといこうぜ?」
「……貴殿との決着は望むところ
なれど此度、某は、家康殿を討ちに参るのではござらぬ」
「Um?」
「確かめに参るのでござる」
俯かせていた顔を上げ、幸村は政宗様へそう言った
確かめる──とは、何を?
まさか徳川家康本人に、ここ最近の徳川軍の行動を問うつもり?
「石田軍を模倣するかの如く他国を蹂躙し、武将たちを半ば脅して関ヶ原の地へ向かわせようとしておるのが、家康殿ではないことを」
「……関ヶ原だと……?」
……あの手紙、ひょっとして、政宗様の手に渡ってないのかしら
屋敷に戻ったあと、片倉様にお渡ししておいたから、てっきり政宗様も目を通されているものと思っていたけれど
「……俺も、石田と会って確かめたいことがある」
「……」
私たちはそう呟いた政宗様の背をただ見つめるのみだ
政宗様が日の本各地で起こっている凶行に対して、責を覚えておられることは知っている
どんなに貴方様が悪いわけではないとお伝えしたところで、そんな言葉一つで背中からその荷を下ろすお方ではない
「どっちにしろ、殺り合うことに変わりはねえがな──」
政宗様の足が後藤黒の腹を蹴る
片倉様が続き、私がそれに続いて、伊達軍はゆっくりと進軍を再開させた
幸村もややあって、同じように馬を動かす
佐助は徒歩のまま付き従って──
「また会おうぜ、真田幸村」
幸村は返答をしなかった
伊達軍と武田軍がゆっくりとすれ違っていく
政宗様にしては素直に真田幸村を行かせるのね……と内心で少しだけ驚いたが、冷静に考えれば、ここで戦い合うことに意味はない
目の前のことを片付けてから、好敵手との決着を憂いなくつけていただきたいところだから、私も政宗様のご判断は正しいと思う
伊達軍と武田軍が完全にすれ違った
……と思ったその時、政宗様は後藤黒の足を止めた
「……政宗様?
如何なされました?」
私の問いに、政宗様は答えることなく
代わりに政宗様が声を掛けた相手は、先程すれ違った幸村だった
……ちょっと嫌な予感がするわね……
「そういやぁ、ここはアンタと俺が初めて戦り合った場所だよな」
「……そうでござるな」
ここは政宗様と幸村の宿命が重なった地──妻女山
たしかにここで幸村と再会したことは全くの偶然だった
だけれど……否、だからこそ、無性に嫌な予感がするのだ
私の政宗様に対する理解が正しければ、次に政宗様がおっしゃる言葉は……
「どうだい?
今、決着をつけるってのは」
「何を申され……ッ!?」
政宗様は幸村の返答を聞く前に、後藤黒の首尾を変えていた
(絶対にそう言うだろうなと思ったセリフを、まさか一言一句違わずにおっしゃるとは思わなかったわ……)
さすがにここはお止めすべきだ
私たちには、こんな所で油を売っている暇はない
「政宗様!」
「何をおっしゃっておいでです!?」
両軍がどよめく中で、私と片倉様の諌める声も聞こえているはずなのに
政宗様は自軍の間を割り開き、幸村の方へと進んでいく
「こんな所で会っちまわなけりゃあ、我慢もできたんだがな……!」
兵たちは止めることもできず、ただ政宗様へ道を開けることしかできない
ああもう本当に、これだから我慢のできない人は!
「
どちらかが勝ち、どちらかが死ぬ
憎悪に塗れたdeath matchだ
Had no choice.
だから今、アンタとやり合っておきてぇんだ──真田幸村ァッ!!」
後藤黒が勢いよく駆け出していく
どうするんです、という目で片倉様を見やるけれど、片倉様は「こうなるだろうな」という顔だった
……そうよね、政宗様の性格を考えれば、ここで幸村のことを無視するなんて、無理に決まってるわよね
「大将──」
「受けざるは、生涯の悔いと相成らん!
左様な気が致すッ!!」
ああ駄目だ、佐助でも止められないんじゃ、誰も止められないわね!
私たちにできることなんて、蒼紅の巻き添えを喰らわないように、離れておくことだけだわ!
武田軍の間を駆け抜け、幸村が政宗様へと向かっていく
馬上で政宗様が六爪を抜き、幸村が二槍を構え
中空に高く跳んで、私達の頭上で、蒼い稲妻と赤い炎がぶつかり合った
初めから二人とも本気の全力だ
その威力たるや、並の兵士たちはほとんどが衝撃による爆風で煽られて、吹き飛ばされていった
もちろん例の四人組も例外ではない
どうにかあの木箱だけは死守したようだけど、みんな無様に落馬していったのが見えてしまった
……見なかったことにするのが優しさよね、これって
両者とも自身の愛馬に着地して、そのまま両軍が囲んだ中を回旋していく
後藤黒と幸村の馬が並走するその上では、政宗様と幸村の一歩も引かぬ鍔迫り合いが繰り広げられていた
激しさを増す攻防は、完全に均衡状態だ
幸村の槍を跳んで回避した政宗様の攻撃を避けて、幸村が期せずして後藤黒へ乗り上げる
政宗様が幸村の馬に飛び乗り、馬同士の喧嘩とその上に跨る人間同士の戦いにもつれ込んだ
「……片倉様」
「頃合いを見て割って入る
合図を出したらオメェも頼むぜ」
「承知致しました」
互いの馬でも人馬一体となれるらしい二人は、婆娑羅の熱を帯びて、弾き合いながら馬ごと宙へ
一段と激しく切り結んだ瞬間、後藤黒と幸村の馬は互いの背に乗せていた二人を振り落とした
やってられないとばかりにこちらへ避難してきた後藤黒を宥め、健闘を労う
蒼紅の戦いは更に激しさを増していて、もはや割って入ることなど不可能な気がしてきた
「DEATH・BITEッ!!」
「大車輪!!」
大技同士がぶつかり合うのを察して、誰もが身構える
瞬間──この場に似つかわしくない、春爛漫の風が吹いた
その気配は、私にとっても馴染みのあるものだ
はっと気が付いた瞬間には──その人は、過熱する蒼紅の攻撃を、抜き放った超刀で受け止めていた
「何者にござる!!」
「何のつもりだ、風来坊!!」
蒼紅に割って入ったのは、なんと慶次殿だ
先日、奥州にいらしていたけれど、まだ近くにいらっしゃったのね
私と片倉様だけではお二人をお止めできるか不安だったけれど、慶次殿のお力もあれば、お二人も頭を冷やしてくれるだろう
「あんたら、こんなところで何やってんの!
天下の一大事だってのに!」
「悪いがテメェにゃ関係ねぇ
どきな!」
「野暮は承知だ
けど、ここは退かないよ!」
「Haッ!!」
そう言い終わるか終わらないかのうちに、政宗様が慶次殿へ三爪を振り下ろす
超刀で弾いた、その頭上から、今度は幸村が拳に炎を滾らせて
「邪魔を致さんでくだされッ!!」
地面を割るように炎が走り、土煙が立ち込めた
その中から、政宗様と幸村が同時に慶次殿へと斬り掛かる
しかし焦りが先行していて二人とも大振りだ
慶次殿もそれに気付いていて、わざとお二人の力みを利用して軽々と捌いている
受け止めた三爪と二槍ごと、超刀の峰を蹴り上げ、二人が大きく体勢を崩した
「あらよッ!!」
超刀が振り回される度に旋風は勢いを増して、お二人の攻め手が途切れる
そうして超刀の柄を鞘に収め、朱槍としたそれを、掛け声と共にとてつもない勢いで二人の間へと振り下ろした
「気持ちは分かるけど、今はそこまでだ、お二人さん」
土煙と共に桜の花びらが舞い落ちる中で、二人の身体から闘気が消えていく
今回はここまで、決着はまた次回に持ち越しのようだ
