Episode.3-4
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書状を頂いてから八日後
石田三成討伐を目指して出陣する伊達軍に帯同すべく、奥州美稜軍は伊達屋敷へと到着した
今回も我ら美稜衆は、領内の守備を担う
実際に行軍に帯同するのは私のみだ
「姐御、しばらくぶりッス!」
「筆頭にお顔見せてやってください!」
「お千夜ちゃんも寂しそうにしてましたよ!」
「そんじゃあ俺ら、例のブツを受け取りに行ってきやす!」
屋敷に着いた私とすれ違うように、あの四人が門を出て行こうとする
例のブツとは、政宗様にお贈りする新しい装備のことだ
せっかくだから、私もそれに付き合うことにした
……どうせ政宗様に合わせる顔なんてないわけだしね
そんなわけで鍛冶屋まで五人で馬を走らせると、気難しそうな棟梁が、小脇に抱えられる大きさの檜箱を持ってきた
「ほれ、例のブツだ
持って行きやがれ」
「お……おお〜ッ!!」
「あら、いい仕上がりじゃない」
「これなら筆頭も気に入ってくれるよな?」
「こうしちゃいられねぇ!
早いとこコイツを筆頭に渡しに行かねぇと!」
「オヤジ、ありがとよォ〜!!」
騒がしく去っていく四人に代わって、鍛冶屋に礼を告げ、報酬としての金を少しばかり多めに支払っておいた
雛菊に跨って、来た道を爆走して──今度は伊達屋敷へ
興奮した様子で馬を駆ける四人の後ろからついて行くことにして正解だったかもしれない
「待っててください、筆頭ォォォォ!!
ひっとぉぉぉぉう!!」
もう四人とも、馬の蹄にも負けない喧しさだ
これを背中から聞いていたくなかった、後ろを走ることにして本当に正解だった
「しぇぇぇけらっちょぉぉぉう!!」とよく分からない掛け声が良直から飛び出した、瞬間
「ぐふぅぁぁぁぁ!!」
「えぇぇぇえ!?」
「良直!?」
先頭を走っていた良直が、なぜか派手に吹っ飛んでいく
慌てて手綱を引いて雛菊の足を止めた瞬間、良直がすぐ脇の木に頭から激突する音が、ものすごい衝撃で響き渡った
憐れ、良直は仰向けにひっくり返って、情けない姿を晒している
「お、おおい……!」
「良直!」
「どこ打った?」
「だ、大丈夫、良直!?」
馬を降りて良直へ駆け寄ると、ひっくり返って空を向けた良直の右足に、黒い烏が降りた
烏自体は珍しくも何ともない鳥だけど、なんだって良直の足に……
「か、烏……?」
三人が烏を覗き込むと、烏は「カァ」と一鳴きして、どこかへと飛び去ってしまった
それを追いかけて背後の空を見上げれば、なんと烏に代わって現れたのは──
「えぇぇ!?」
「よう、久しぶり!」
「慶次さん!」
「どうしたんすか!?」
馬に乗ってやってきたのは、前田の風来坊こと、前田慶次殿
二年前、織田包囲網を結成せんと、奥州へ単身乗り込み、そのまま設楽原まで伊達と行動を共にしたことから、私たちとは顔見知りだ
「慶次殿、ご無沙汰しております」
「綾葉も久しぶりだな!
独眼竜とは仲良くやってるかい?」
背後で良直が「ぐはッ……」と背中から倒れた音がした
三人は良直に見向きもせず、慶次殿へと駆け寄っていく
「ちょいと独眼竜に会いたいんだ
元気にしてるかい?」
「筆頭なら、石田三成との決着をつけるって」
「俺ら、今から追っかけるんスよ」
「石田をぶっ倒したら、徳川もやっつけに行くんス!」
「えっ!?」
慶次殿が驚いたように眉根を寄せる
石田三成のみならず、徳川までをも倒しに行こうとしていることが、そんなに意外だったのだろうか
以前までは石田軍の凶行ばかりが取り沙汰されていたけれど、少し前から、徳川も似たような行動が報告されてきている
それ故、政宗様は両軍を討つとお決めになられたのだけれど……
「筆頭……責任感じてるんです
あちこちで暴れている石田軍に便乗して、今度は徳川まで……」
起き上がって胡座をかいたまま呟く良直を厳しい顔つきのまま見やり、慶次殿は頷いた
「俺も噂は聞いたけど──
家康が、そんなことをするはずが……ん?」
なにかに気付いた様子で、慶次殿が馬を降り、良直へと近寄っていく
それを視線で追いかけて……良直の姿は、慶次殿の背中に隠れてしまった
「おい、頭に何刺してるんだい?」
「えぇ?」
俯いた良直の前髪には──書状がぶっ刺さっている
大方、あの烏が咥えていた手紙だろう
思いっきりぶつかってたものね、あの烏……
慶次殿の手が、その書状を良直の長く固めた前髪から引き抜いていく
「うわぁ!?
な、なんで、そんなモンが……」
「こいつは……」
「筆頭宛ての文だ」
慶次殿の手元を覗くと、表には『伊達政宗殿』と宛名がある
そして裏返したところにある、その差出人は──
「うぇぇ!?
徳川家康からだ!」
「「ええ!?」」
「……徳川家康が、どうして政宗様に文などを」
慶次殿の表情は依然として厳しい
ひとまず私が預かろうと手を伸ばす……前に
「ちょっと見せてもらうよ」
「け、慶次殿!!」
「あああちょっと!」
「でもあの、それ!」
「筆頭宛ての!」
「まずいですって!!」
私たちが慌てるのもお構いなし
政宗様宛ての文を勝手に開いた慶次殿が、目を見開く
「こいつは……!」と零れた声は、疑念に満ちていた
石田三成討伐を目指して出陣する伊達軍に帯同すべく、奥州美稜軍は伊達屋敷へと到着した
今回も我ら美稜衆は、領内の守備を担う
実際に行軍に帯同するのは私のみだ
「姐御、しばらくぶりッス!」
「筆頭にお顔見せてやってください!」
「お千夜ちゃんも寂しそうにしてましたよ!」
「そんじゃあ俺ら、例のブツを受け取りに行ってきやす!」
屋敷に着いた私とすれ違うように、あの四人が門を出て行こうとする
例のブツとは、政宗様にお贈りする新しい装備のことだ
せっかくだから、私もそれに付き合うことにした
……どうせ政宗様に合わせる顔なんてないわけだしね
そんなわけで鍛冶屋まで五人で馬を走らせると、気難しそうな棟梁が、小脇に抱えられる大きさの檜箱を持ってきた
「ほれ、例のブツだ
持って行きやがれ」
「お……おお〜ッ!!」
「あら、いい仕上がりじゃない」
「これなら筆頭も気に入ってくれるよな?」
「こうしちゃいられねぇ!
早いとこコイツを筆頭に渡しに行かねぇと!」
「オヤジ、ありがとよォ〜!!」
騒がしく去っていく四人に代わって、鍛冶屋に礼を告げ、報酬としての金を少しばかり多めに支払っておいた
雛菊に跨って、来た道を爆走して──今度は伊達屋敷へ
興奮した様子で馬を駆ける四人の後ろからついて行くことにして正解だったかもしれない
「待っててください、筆頭ォォォォ!!
ひっとぉぉぉぉう!!」
もう四人とも、馬の蹄にも負けない喧しさだ
これを背中から聞いていたくなかった、後ろを走ることにして本当に正解だった
「しぇぇぇけらっちょぉぉぉう!!」とよく分からない掛け声が良直から飛び出した、瞬間
「ぐふぅぁぁぁぁ!!」
「えぇぇぇえ!?」
「良直!?」
先頭を走っていた良直が、なぜか派手に吹っ飛んでいく
慌てて手綱を引いて雛菊の足を止めた瞬間、良直がすぐ脇の木に頭から激突する音が、ものすごい衝撃で響き渡った
憐れ、良直は仰向けにひっくり返って、情けない姿を晒している
「お、おおい……!」
「良直!」
「どこ打った?」
「だ、大丈夫、良直!?」
馬を降りて良直へ駆け寄ると、ひっくり返って空を向けた良直の右足に、黒い烏が降りた
烏自体は珍しくも何ともない鳥だけど、なんだって良直の足に……
「か、烏……?」
三人が烏を覗き込むと、烏は「カァ」と一鳴きして、どこかへと飛び去ってしまった
それを追いかけて背後の空を見上げれば、なんと烏に代わって現れたのは──
「えぇぇ!?」
「よう、久しぶり!」
「慶次さん!」
「どうしたんすか!?」
馬に乗ってやってきたのは、前田の風来坊こと、前田慶次殿
二年前、織田包囲網を結成せんと、奥州へ単身乗り込み、そのまま設楽原まで伊達と行動を共にしたことから、私たちとは顔見知りだ
「慶次殿、ご無沙汰しております」
「綾葉も久しぶりだな!
独眼竜とは仲良くやってるかい?」
背後で良直が「ぐはッ……」と背中から倒れた音がした
三人は良直に見向きもせず、慶次殿へと駆け寄っていく
「ちょいと独眼竜に会いたいんだ
元気にしてるかい?」
「筆頭なら、石田三成との決着をつけるって」
「俺ら、今から追っかけるんスよ」
「石田をぶっ倒したら、徳川もやっつけに行くんス!」
「えっ!?」
慶次殿が驚いたように眉根を寄せる
石田三成のみならず、徳川までをも倒しに行こうとしていることが、そんなに意外だったのだろうか
以前までは石田軍の凶行ばかりが取り沙汰されていたけれど、少し前から、徳川も似たような行動が報告されてきている
それ故、政宗様は両軍を討つとお決めになられたのだけれど……
「筆頭……責任感じてるんです
あちこちで暴れている石田軍に便乗して、今度は徳川まで……」
起き上がって胡座をかいたまま呟く良直を厳しい顔つきのまま見やり、慶次殿は頷いた
「俺も噂は聞いたけど──
家康が、そんなことをするはずが……ん?」
なにかに気付いた様子で、慶次殿が馬を降り、良直へと近寄っていく
それを視線で追いかけて……良直の姿は、慶次殿の背中に隠れてしまった
「おい、頭に何刺してるんだい?」
「えぇ?」
俯いた良直の前髪には──書状がぶっ刺さっている
大方、あの烏が咥えていた手紙だろう
思いっきりぶつかってたものね、あの烏……
慶次殿の手が、その書状を良直の長く固めた前髪から引き抜いていく
「うわぁ!?
な、なんで、そんなモンが……」
「こいつは……」
「筆頭宛ての文だ」
慶次殿の手元を覗くと、表には『伊達政宗殿』と宛名がある
そして裏返したところにある、その差出人は──
「うぇぇ!?
徳川家康からだ!」
「「ええ!?」」
「……徳川家康が、どうして政宗様に文などを」
慶次殿の表情は依然として厳しい
ひとまず私が預かろうと手を伸ばす……前に
「ちょっと見せてもらうよ」
「け、慶次殿!!」
「あああちょっと!」
「でもあの、それ!」
「筆頭宛ての!」
「まずいですって!!」
私たちが慌てるのもお構いなし
政宗様宛ての文を勝手に開いた慶次殿が、目を見開く
「こいつは……!」と零れた声は、疑念に満ちていた
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